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デジタル指紋によるビデオ共有サイトのフィルタリングは「機能していない」:NewTeeVeeの実験

ビデオ共有サイトではデジタル指紋を利用したフィルタリング技術の導入が進んでいる。MySpace、Microsoftは、既に自社のビデオ共有サービスに対して、Audible Magic社の技術を利用してフィルタリングを行っているし、Dailymotionも同様の技術を利用したフィルタリングを導入する予定である。そして、YouTubeはGoogle独自の技術を採用したフィルタリングを行うとしている。しかし、そのフィルタリングが現状では、どの程度有効であるのかは不明である。ということで、NewTeeVeeが実際に著作権侵害的なクリップをアップロードし、本当にフィルタリングが有効かを試しているよ、というお話。結果としては、当該のクリップが削除された後も、全く同じクリップがアップロードできた、ということで、どうやら現状ではそれほど機能してはいないようだ。

原典:NewTeeVee
原題:Does Digital Fingerprinting Work?: An Investigative Report
著者:Liz Gannes
日付:June 8, 2007
URL:http://newteevee.com/2007/06/08/does-digital-fingerprinting-
work-an-investigative-report/

著作権で保護されたビデオの音声、映像への電子指紋は、侵害を抑制するための最高の手段であると考えられている。しかし今週、NewTeeVeeが複数のサイトを対象にしたテストの結果、それはうまく働いていないことが明らかとなった。我々がホスティングサイト、電子指紋プロバイダに、著作権を侵害されているビデオが存在することを伝え、彼らがそれを削除した後も、全く同一の著作物を複数回アップロードできたことには脅かされた。

以下は、我々が行った手順の詳細である。これは、教育的な目的のためだけに述べられるということを明確に断っておく。

Microsoftは、同社の提供するユーザ投稿ビデオサイトSoupboxAudible Magicのフィルタリング技術を実装するまで、サイトを一時的に停止していた。先週金曜、それはリローンチされ、おそらくは上記の技術が実装され、著作権で保護されたコンテンツを回避する用意がなされたのだと思われた。そこで、我々の恐れを知らぬリポーター Craig Rubensに、どのようにシステムが機能しているかを、Daily Showのクリップを使ってテストして欲しいと依頼した。

全く驚いたことに、クリップは、見事にアップロードされてしまった。我々は起こったことについてたずねるために、Microsoftに連絡を取った。彼らの返答は「あなたはAudible Magicに向かって話すべきでしょう。我々のシステムは、彼らのインデックスに由来しているのですから。」

そこで我々は、Audible Magicに同社のソフトウェアの音声バージョンを実行させるためだけに、連絡を取った。

その後、レポーターはそれらの企業からコメントを引き出す準備に取り掛かった。それには1週間の大半を費やした。

昨晩になってようやく、クリップはSoapboxから削除され、著作権違反通知と差し替えられた。システムが修正されたかどうかを確認するため、我々は再び同じクリップをアップロードした。そして、それは40分後に投稿されてしまった。

今現在、全てが仮定されたとおりであれば、そのビデオは禁止クリップのインデックスに自動的に追加されているはずであり、その後に我々がアップロードを再現したときには、拒絶されなければならない。しかし、再び我々は問題なくアップロードしてしまった。

本当にデジタル指紋が実用に値するのか、という懸念は未だにぬぐいきれない。YouTubeは、同社の「Claim Your Content」システムの完成を進める一方、それを導入することを躊躇している。しかし、デジタル指紋技術に対する信頼は、これまで楽観的に評価されてきたように思える。BusinessWeekによって伝えられるように、MPAA副会長Dean Garfieldは「この技術は機能する」と発言している。

Audible Magicは、ビデオフィルタリング技術に関して、MySpace、DailyMotion、Break.com、そしてGoFish、Boltとの大きな取引を成立させてきた。

Audible Magic代表は、同社の技術はMySpace上でより完全な形で実装されると発言している。MySpaceでは最近、「Notice Down Stay Down」機能をローンチしており、それはフィルタリングシステムとしてAudible Magicシステムを用いている。そこで、我々はMySpaceでもクリップをアップロードしてみることにした。

面白いことに、ここでも問題なくアップロードできてしまった。ほら、こんな具合に。

以下にCraigが、Soapboxにアップロードした際に手順を述べる。彼はおよそ50分の「processing」の後、クリップはオンラインになり、視聴可能となったという。MySpaceの場合はもっと早く、5分程度であった。

  1. YouTube上で「Daily Show」を検索する。
  2. Jon Stewartの本物のDaily Showの最初のクリップを選択肢、Peekvid.com経由でダウンロードする。
  3. Soapboxにアップロードできるフォーマットに変換する(ひどいことにMicrosoftは.flvを好きではないようだ)
  4. SoapboxにDaily Showのクリップをアップロードする
  5. Soapboxが処理し、変換し、そして(おそらく)著作物かどうかのスキャンのためにかかる時間を待つ

昨日になって届けられたMicrosoftおよびAudible Magicの公式声明を以下に掲載する。

私たちは、コンテンツパートナーの要望に最大限こたえるために、Audible Magicの積極的な自動的フィルタリングサービスを、Audible Magicと協力し、調整を繰り返しながら機能させていこうとしております。無許諾の著作物のクリップが(フィルターを)すり抜けたという事実は残念なことです。しかし、だからこそ、我々は無許諾のコンテンツを特定し、削除するプロセスを自動化し、促進する、より機能するNotice & Take Downツールをコンテンツプロバイダーに提供しようと考えております。私たちは、消費者とパートナーのためのテクノロジー、ソリューションを発展させ続けるために、産業と協力して働くことをお約束します。
Rob Bennett, general manager for Entertainment and Video Services at MSN

Audible Magicのテクノロジーは、問題の「Daily Show」のクリップのようなコンテンツを特定する能力があります。我々は、MicrosoftのSoapboxサービスのビジネスニーズに対応し、我々のソリューションをカスタマイズするために、Microsoftとともに密接に働いています。
Vance Ikezoye, founder and CEO of Audible Magic

これら全てのシステムは、いったんそのコンテンツが特定されれば、将来にわたってブロックできると、少なくとも宣伝されている限りではそういうことになっているが、我々のDailymotionへのクリップのアップロードは特定されなかった。そして、我々がそれを適切な人たちに知らせ、彼らがそれを削除した後でも、我々は全く同じファイルをアップロードすることが可能であった。

この記事を読んで2つほど思ったことを。

1つは、依然として電子透かし技術、電子指紋技術を利用した違法アップロードの抑制は、なかなか難しいのだなぁということ。もちろん、導入してすぐに完璧を求めるというのも酷な話で、今後精度を高めるための開発が進められると思われる。また、現時点ではデータベースも貧弱であるだろうし、それが適切なフィルターとして働くかどうかも難しいのかもしれない。ただ、アレだけ宣伝しておいて、全く同じクリップのアップロードを許してしまったのは、ちょっと問題がありすぎるかもしれない。

そしてもう1つ思ったこととして、MicrosoftのNewTeeVeeへの最初のレスポンスである。「あなたはAudible Magicに向かって話すべきでしょう。我々のシステムは、彼らのインデックスに由来しているのですから。」という言葉は、Audible Magicのデータベースに欠陥があるだけで、それを採用している我々には責任はない、といっているようなものかと。

まぁ、単純にいってビデオ共有サイトが求めているゴールと、ライツホルダーの求めるゴールは違うということかと。ライツホルダーにとってのゴールというのは、言うまでもなくビデオ共有サイト上での著作権侵害の撲滅だろう。でも、ビデオ共有サイトにとってのゴールはそうではない。彼らのゴールは、ライツホルダーから文句を言われないこと、つまりは、法的な責任を回避することに他ならない。

多くのビデオ共有サイトが採用したAudible Magicの技術、全ての責任はそこに帰することができる。もし、それがうまくいかないとしても、現状では、フィルタリングツールとして有効なのは他にはないのだからしょうがないでしょ、ウチはNotice & Take Downにも応じているわけだし、漏れがあるのなら、その都度報告してよ、削除するからさ、と主張することも可能なわけだ。少なくとも、ビデオ共有サイトとしてはフィルタリング技術を導入することで責任は果たしている、ということも可能なのである。

となると、ますます話は入り組んでくる。登場人物を最も減らしたとしても、違法アップロードに関連して4者が登場することになる。ビデオ共有サイト、ライツホルダー、フィルタリング技術ベンダー、そして違法アップローダ。こうなると、ライツホルダーは、誰をターゲットとするべきだろうか。ビデオ共有サイトはフィルタリング技術を導入しており、それ以上の努力といっても難しいところだし、フィルタリング技術ベンダーは技術とデータベースを提供しているだけであり、そのサービスに不備があろうと法的な責任を負うものでもない。文句を言うならお前がやれよ、競争しようぜ、というだけの話である。とすれば、違法アップローダになるのだろうか。しかし、それだって効率の極めて悪いいたちごっこにしかならない。

ただ、YouTubeに関しては、自社の独自技術を導入するということで、そのフィルタリング精度に対する責任は一手にGoogle/YouTubeにのしかかってくるのかもしれないけれど、それはそれでいいのかしら?

それでも、フィルタリングの精度が上がれば、次第に解決されていく問題かもしれないけれどもね。

関連エントリ
YouTube利用者数の推移とその利用実態:ビデオ共有サイトの行く末を考える
YouTube、フィルタリングツールのテストへ:ビデオ共有サイトとフィルタリング
著作権侵害ビデオに依存するYouTube、依存しないMySpace:著作権保護技術導入の相違を考える
MPAA:電子透かし技術を用いた違法アップロードビデオの特定

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