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BitTorrent社長Ashwin Navinが語る「BitTorrent」の今後

BitTorrent社社長 Ashwin Navinのインタビューです。ここで彼は、BitTorrentの未来について語っています。なかなか含みのある言葉で語っているところが多いので、実際に読んで見て、その本意を探ってみてください。

原典:smh.com.au
原題:Torrents of users turn P2P leaders towards licences, sales
日付:November 7, 2006
著者:Kate Bulkley

Kate Bulkley(KB) BitTorrentは、コンテンツの違法な共有を推奨しているとして、放送局や映画会社を含めたコンテンツオーナーにとって「悪」としてとらえられています。それについて、あなたはどう応えますか?

Ashwin Navin(AN):BitTorrentは、ユーザがライセンスを得ていないTVショーや音楽を公開するために使われたことで、ここまで成長してきた。そして驚くべきことに、TVショーや音楽、映画をダウンロードするような人たち、そのような人たちは現在では、8000万人にものぼるとされています。今現在、私が考えているのは、このユーザベースをペイイングカスタマーに変えることです(つまり、何がしかの方法でユーザから支払いを徴収できる形に変えるということ)。もともと、BitTorrentは、コンテンツを盗むことに特化して設計されたわけではありません。しかし、コンテンツを効率的に配信するようは設計されてはいます。もし、BitTorrentを利用してコンテンツの配布するのであれば、全ての競争相手よりもBitTorrentは効果的でしょう。うまくいけば、配信者にとっての(配信による負担への)余裕と、消費者にとってのよりよい品質を同時に得ることが出来るでしょう。

KB:それはよいことだと思います。しかし、多くの人たちは、P2Pネットワークとコンテンツ保護は矛盾しているといいます。

AN:今後5年間、あらゆるオンラインサービスが何らかのP2P配信技術を用いることが予測されるので、5年先も私たちは笑っていられるでしょう*1。今後、ファイルサイズがより豊かにより大きくなることは、不可避でしょう。そのとき、インターネット自体を崩壊させること無く、インターネットを介してコンテンツを配信することの出来る唯一の方法は、P2Pであるといえます。BitTorrentは、コンテンツ保護を妨害するものではありません。実際それは、別次元の話です。

KB:それは非常に合理的で大人な意見です、そして、あなたがBitTorrentのために作り出そうとしている将来でもあるでしょう。しかし、BitTorrent2001年にBram Cohenによって設立されたとき、BitTorrentは(あなたの語っている未来像とは)異なるストーリーでした。むしろそれは、よりNapsterに近いものでした。もちろん、私の意味するところは、初期のNapsterのことです。

AN:実は、Bram CohenがBitTorrentを立ち上げた日から、BitTorrentはウェブパブリッシングツールであり、きわめて制御可能で、かつ実行可能にするのに必要とされるサービスやテクノロジーは、他の競争相手から区別されるものでした。Bram Cohenが犯した重大な罪は、この強力なツールを無料で配布したことでしょう!彼がBitTorrentの利用から何の利益をも生み出さなかったことによって、誰しもが彼の行為を罪であると考えるでしょう。我々が膨大な数のBitTorrentユーザを獲得した現在、私たちはコンテンツ配信において、莫大な商業的価値を見出しています。

明白なことは、ファイル共有はP2Pアプリケーションの一つの形態に過ぎません。Napster、Grokster、Kazaaなどは基本的に、他の人たちのディレクトリを得るのと引き換えに、自らのディレクトリを他の人にも利用可能にするという構造です。BitTorrentは全く持ってそのような構造を持ってはいません。BitTorrentは単にダウンロードする手段として、P2P技術を利用します。ですから、ディレクトリはユーザからは見えないのです*2

KBBramが会社を設立した3年後の2004年、あなたはBitTorrentに加わりました。あなたは、ビジネスモデルを創り上げるために会社に来た、間違いないですよね?

AN:えぇと、私がBitTorrentに加わる前、Bramは驚くほどに成功したTシャツ会社を所有していたとしましょう(その当時、BitTorrent社が利益を得ていた唯一の方法は、寄付とTシャツの売上だけであった)。実際に、BitTorrent社を商業的な団体とするような方向に彼を仕向けることには、ある程度の確信はありました。

KB:米国の司法制度は、P2Pをあまり快く思っていないようです。実際、Groksterは倒産しています。なぜBitTorrentは未だに存在し続けているのでしょうか?

AN:もし、あなたのテクノロジーが違法な目的のために設計されたとされるなら、あなたはそれに対して責任があるとみなされます。それは、あたかもポルノの基準のようなものです。私はそれを定義することは出来ませんが、それを見るときに知ることは出来ます。そして、それは基本的には、法廷が言い渡すものです。BitTorrentが始まった頃から、BramはBitTorrentを用いての海賊行為を思いとどまらせるよう声高に主張してきましたし、ユーザには匿名性が無いことも警告してきました。

KB:今現在の計画は、コンテンツのライセンスを取得し、それを売ることであるようですが、あなたが持っているトラフィックをお金にするということについて、どうお考えですか?あなたにはすでに、広告収入があります。それは今後どうするのでしょうか?

AN:BitTorrentには多くのトラフィックがあり、私たちは広告から幾許かの金銭を得ています。しかし、それによって莫大な利益を得ているとも思えません。

KB:あなたのおっしゃった「莫大な利益」とは、コンテンツのライセンスを取得することで、得られるということですね。今までのところ、あなたはWarnerBrosとのライセンス契約にこぎつけています。しかし実際は、未だに有料コンテンツの配信を行う気配みられません。それはなぜですか?

AN:まず、私たちが世界に示したいのは、BitTorrentがコンテンツ配信に最も効果的な方法であり、コンテンツ配信のための魅力的な合法的な目的があることです。そして第二段階で、BitTorrent配信システムのコアコンポーネントを運用し、ウェブサイトを持ち、コンテンツの効果的な配信を望む全ての人から、料金を徴収することです。

KB:これまでにあなた方と契約を結んだのは、WarnerBros一社だけですが、それはなぜでしょうか?

AN:他の企業との交渉はアナウンスはしていませんが、彼らとの交渉においても全てうまくいっています。

KBAppleは、ABCLostDesperate Housewivesといったテレビ番組のライセンスを取得しました。さまざまなサイトでさまざまなコンテンツが、日に日に配信されています。なぜ(各映画会社との契約を)待っている状態なのでしょうか?それとも、あなた方の抱えている訴訟が、WarnerBros以外との契約にこぎつけることが出来ない理由なのでしょうか?

AN:私たちは、広範囲にわたるカタログを得ることを考えています。私たちはまた、高品質で高速なダウンロードを提供することを望んでいるのです。そして、メジャーなコンテンツだけではなく、インディペンデント(自主制作)な高品質コンテンツを発見するよい経験をも、提供したいと考えています。

KB:そして、あなた方は、まだテクノロジーに取り組んでいます。明らかに、その努力の大部分は、著作権保護のなされたソフトウェアに向けられています。どのようにして、世界のWarnerBrosの商品を保護することができると、WarnerBrosに信じさせるのですか?

AN:今のところ、完全に正しく動作するDRMは存在しません。いうなれば、75ドルのドアロックがあなたの持っている全ての財産を守ってくれるかを予想するのと似ています。基本的に、90%のユーザにうまく働く徐行帯とならなければならない。10%のユーザが、1ドルの売上に利用可能なものを破壊することに興味や時間を持つかもしれないが、大半の人(90%の人)はそのようなことは気にしないでしょう。我々の試みでは、WindowsDRMを用いており、それは今日認められた標準的なものです。我々は常に、独立して創造されるクロスプラットフォーム*3のスタンダードを求めています。そして、それは映画会社も同様でしょう。特に、彼らが、AppleやMicrosoftが業界団体の支配を脱し、自らユーザを囲い始めてるのを見るにつけ。

KBAppleMicrosoftによるそのような状況の打開策は、何でしょうか?

AN:私は、次の段階には、DRMフリーであるべきだと思っています。それは透かしをいれるアプローチともいえるようなもので、それによって、コンテンツには「自分のもの」というラベルがつけられます。実際に自分で代金を支払ったものなので、P2Pネットワーク上で共有することはあまり魅力的ではないし、また、他の人も(それを手に入れたとしても、自分のラベルが貼られていないため、実際に利用するためには)おそらく、代金を支払わなければならないでしょう。それに、自分の名前入りのコンテンツが、ウェブ一面にあることを望むでしょうか?答えはNOだろう。そのようにして、電子透かしアプローチ*4は、コピー防止の非常に効果的な形態に違いありません。

KB:この種のサービスを提供するに当たって、価格設定はどのようにお考えでしょうか?つまり、あなた方の獲得した8000万人のユーザは現在、無料でBitTorrentを利用しています。

AN:一つ明らかなことは、消費者は一貫した価格設定の枠組みを必要とするということです。価格設定は、デジタルダウンロードを得ることの価値ある提案に釣り合っていなくてはなりません。そして我々はそれを他のサービスから学び、具体的な形を模索しているところです。

KB:ユーザの作るコンテンツ(user-generated contentUGC)はどうなりますか?

AN:我々は自らのコンテンツを持つユーザを非常に好ましく見ています。ただ、自らの作ったものではない、もしくは所有していないコンテンツを投稿する人たちはその限りではありませんが。現在、招待された人たちだけがコンテンツを提供できるサブミッションツールがあります。

KB:コントロールされたUGCですね。GoogleYouTubeを買収するのに16億ドルを費やしたのを考えると、あなたはそれを未来としてみていないようにも思えます。

AN:人々は自分たちのサイトにUGCを掲載するためにBitTorrentを利用します。それから我々のWebcrawlerがそれを拾います。そして、自分自身のサイトに投稿するのを許す代わりに、私たちのサイトに投稿するのを許します。それゆえ、私たちはアーティストとファイル共有者のよりよい関係を望んでいます。BitTorrentについて一ついえることは、我々が同様に全てのユーザであるということです。

KB:とすれば、みんな25歳以下ということですか*5、本当に?

AN:まぁ・・・、BitTorrentスタッフの平均年齢は29歳だったかと・・・・。でも、私たちは、ある意味ではこの先もフォーカスグループ*6の必要はありません。なぜなら、私たちがフォーカスグループなのですから!

*1BitTorrentが法廷闘争に負けて、ネット上から駆逐されることはないよ、ということを暗に意味しているのかと。

*2事実、BitTorrentは他の人の共有しているファイルディレクトリを覗くことは出来ない。ただし、インデックスサイトがその代わりを果たしているともいえる。

*3OSなどの環境に依存せず、異なる環境においても互換性をもつソフトウェアや技術のこと。

*4その代わり、プライバシーの問題を抱えることになる。不正な利用者の特定が可能であるということは、たとえ不正がなくとも、配信者が利用者について把握することが可能となり、利用者のプライバシーが侵害されたりする可能性もある。また、そのような情報の管理はどのように行われるのかについても問題はある。そのため、そのような問題を解決すべく開発が進められているものの、全ての配信者がある程度のハードルを乗り越えた技術だけを採用するわけではないだろうし、悪意ある配信者が存在したときには、どう対処できるのかという問題もある。利用者が、配信者の採用している電子透かし技術のレベルを精査しなくてはならない、というのではあまりに企業本位であるなぁと思う。そう思う自分はユーザ本位なのかも知れないけれど。

*5BTユーザの平均年齢が25歳ということだろうか?よくわからない。ただ、このやり取りはジョークかと。

*6複数のユーザによるディスカッション。ユーザに意見を求めることで有意義な情報を得ることが出来る。比較的、議論は整理されて行われ、他者の意見を聞くことで、聞いている人が新たな意見を生み出すという効果もある。ここでは、自分たちもユーザの一人であり、BitTorrent社のスタッフはユーザとともにありますよ、というところだろうか。

彼の主張で明確だったのは、以下の2点だろうか。

◆BitTorrentは、配信のための手段であること
◆BitTorrentを用いた著作権侵害は、その副産物でしかないこと


個人的な感想としては、結局のところ、BitTorrentの明確な先行きはわからないというところ。BitTorretを配信のための技術としてビジネスを進めていくのはわかったけれど、その具体的な有り様というものが見えてこない。

配信によって利益を得る、とか、配信者から料金を徴収するといった発言があった一方で、有料の配信サービスを行わないのは、そのコンテンツがまだ十分ではないからだといっている。私が引っかかるのは、BitTorrentは、誰から直接利益を得るのか、というところである。BitTorrent社がコンテンツプロバイダーとして、コンテンツホルダーからライセンスを取得し、ユーザに配信することで利益を上げるのか、コンテンツホルダーがコンテンツプロバイダーとしてユーザに配信する際に、BitTorrentの配信技術を提供することで利益を得るのか。

もちろん、結局はユーザの懐から出たお金ではあるのだけれど、まずはじめにそのお金がどちらの懐に入るのか、それがわからない。どちらを選択するにせよ、現状からは全く異なる形態になるのだろうけれど、どちらの選択肢を選ぶかによっても、未来は大幅に異なってくるだろう。コンテンツ配信企業となるのか、配信技術提供企業となるのか、その選択で全く異なる未来となるだろう。

ただ、このインタビューからわかったことは、BitTorrent社は、これまでの方針を転換して(Ashwinは一貫しているというだろうが)、企業寄りの展開を行うことで利益を上げていくこと、または訴訟の脅威を低減させることを模索しているということだろうか。少なくとも、BitTorrentによって、有料コンテンツが配信され、それに対価を支払うという形にはなるということだろう。

しかし、これはBitTorrent社の未来であって、BitTorrentプロトコルの未来ではないような気もする。いかにBitTorrent社がこのような方向で行きますと、明言し、そうしたとしても、オープンソースであるBitTorrentプロトコル全体がその流れに従うわけはない。しかも、DHTというトラッカーレスの技術までBitTorrentクライアントに実装されてきている。

さて、どうなるんでしょうね。AshwinはBitTorrentの未来を語っているようにも見えるし、単にBitTorrent.Incの未来を述べているだけなのかもしれない。

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