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Allofmp3.com、ロシア政府の圧力により閉鎖

Allofmp3ロシア政府がWTO加盟に絡んで、米国からの要求に従い、Allofmp3.comを閉鎖したよ、というお話。音楽団体ロビイストの期待を一身に受けた米国通商代表が、ロシアとの会談の席上でAllofmp3.comの閉鎖を要求したことが、この背景にあると考えられている。これによって、これまで間接的にのみ、打撃を与えるにとどまっていたレコードレーベルの直接的な勝利が確定したといえる。ただ、その歴史的大勝(と彼らは言うであろう)の背後に、再びAllofmp3と同じビジネスモデルを持つサイトが登場してきてもいる。運営会社は、MediaServices、そうAllofmp3を運営していた企業だ。

原典:Time Online
原題:Russia shuts down Allofmp3.com
著者:Tony Halpin
日付:July 2, 2007
URL:http://www.timesonline.co.uk/tol/news/world/
europe/article2016297.ece

先週から、Allofmp3ユーザたちは、同サイトへの接続ができなくなったり、「for maintenance」の文字のみが表示されるサイトを目にしていた。しかし、実際にはそれはメンテナンスではなく、ロシア政府の圧力によってAllofmp3が存続を諦めざるを得ない状況になっていたことを意味する。

The Timesが取材したところによると、Allofmp3の元従業員は、ロシア政府からの圧力によって同サイトを閉鎖せざるを得なくなったと説明する。

これまでの経緯

Allofmp3は、2000年に6名のプログラマによって設立された。当初は、パーソナルユースを目的に作られていたものの、その後それをビジネスとして運用するようになった。一説によると年間3000万ドルの利益を上げていたと推測される。

もちろん、その怪しいビジネスモデルには、著作権団体から批判的な主張がなされていた。2005年にはロシア当局による家宅捜索が行われ、この2年間捜査が続けられてきた。しかし、現在のところ、Allofmp3関係者が逮捕、起訴されるというところにまではいたってはいない。しかし、その後もAllofmp3は順調に運営を続けてきた。なぜ、彼らはこれまで運営を続けることができたのか、彼らの主張を振り返ってみる。

Allofmp3によると、彼らはロシアの著作権団体ROMSに著作権使用料を支払っており、決して無許可で音楽配信を行っているわけではない、と主張する。むしろ、正規のライセンスを取得していているのだとすら主張する。このROMS(Russian Multimedia and Internet Society)なる団体は、著作権者からの許諾を必ずしも必要とせず、ライセンスの公布を行い、その著作権利用料を徴収し、それを著作権者に分配するのだという。つまり、ROMSが定める著作権使用料を正規に支払って配信を行っているのであり、もし著作権使用料が支払われていないのだとすれば、それはROMSの問題である、ということ。

一方、RIAAによると、ROMSからの著作権使用料の支払いは一切なされておらず、ROMSが彼らの財産を代表する一切の権利を持ち合わせていない、つまり無断で彼らの著作物へのライセンスを交付し、それによって利益を得ているという。従って、そのようなビジネスモデルに立脚しているAllofmp3は運営を停止しろ、と主張する。

しかし、問題を複雑にしているのは、Allofmp3のこのようなカラクリは、ロシア国内法に照らしてみれば、適法であり、罰すること、停止することができない、ということである。再三にわたって、ロシア政府に対応を求めてきたものの、一向に改善することは無かった。そうして、先述した米国通商代表の発言にまで至ったのである。

ロシア政府から閉鎖するという確約を得たものの、著作権団体の側としては、世界中から利用可能なAllofmp3を野放しにし、ロシア政府が対応してくれるまで悠長に待っているというわけにはいかなかった。

彼らは何とかしてAllofmp3を実質的に利用不可能にしようと画策した。その第1段として、Allofmp3への支払いに最も利用されていたVisa、Master Cardに要請を行い、同サイトへの支払い処理を停止させることに成功した。これによって、世界中のユーザがAllofmp3の利用を遮断されることになる。利用したくても、世界的に利用可能なカード会社からこのサイトへの支払いには利用できないといわれるのである。ユーザも困っただろうが、それ以上に困ったのはAllofmp3であろう。

その後も、著作権団体は攻勢の手を緩めず、他のカード会社にも同様の要請を行い、徐々にAllofmp3は干上がりつつあった。もちろん、迂回手段も無いわけではなかったが、それでも多くのユーザが利用できなくなったことから、効果は絶大だったといえる。さらにその迂回手段も徐々に制限されていくこととなる。

また、それと前後して、著作権団体は、Allofmp3に対して各国で民事訴訟を起こしている。その中でも、最も注目されたのは、RIAAによる200兆円の損害賠償を求めたものだろう。もちろん、彼らはその訴訟に応じることなく、ロシアでの運営を続けることになる。少なくとも、ロシアでの裁判に負けなければ、その責任を逃れることができるのである。

さらに、それ以外の動きとしては、各国のISPや政府にAllofmp3.comへの接続自体を停止するよう求めてもいた。たとえば、デンマークではIFPIがAllofmp3への接続を遮断するようISPに要求する訴訟を起こしていたし、スウェーデンでもISPが(おそらくはIFPIの要請にしたがって)Allofmp3へのアクセスを遮断するとした(しかし、これはThePirateBayの圧力と検閲行為への非難によって、撤回されることとなる)。

そのような状況の中、6月1日を迎えた。そう、6月1日というのは、ロシア政府がAllofmp3を閉鎖するとした期限の日であった。しかし、それ以降もAllofmp3は運営を続け、一部ではまだいけるんじゃないか、ロシアは確約をご破算にした?そもそも最初から履行する気は無かった?というユーザたちの希望的観測が散見されたものの、その1ヵ月後に閉鎖に追い込まれることとなった。

Allofmp3の現状

上述したように、Allofmp3は年間3000万ドルの利益を上げていたともされている。また、そのユーザは世界中に550万人とも言われており、国内での利用に限定されることの多い他の音楽配信サービスに比べて、グローバルな利用によってもユーザ数をのばしていた。もちろん、そのユーザの大半はロシア国内のものであったものの、それでも英国ではiTSに次ぐ、第2位のダウンロード数であったという。

なぜ、それほどまでにユーザをひきつけたかというと、安さ、それに尽きるだろう。Allofmp3.comの料金体系は、通常の音楽配信サイトとは異なり、1曲単位での購入ではなく、従量制をとっている。簡単に言えば、楽曲の数に関わりなく、転送量によって課金されるというもの。ユーザは予めクレジットを購入し、購入された容量の分だけ楽曲を購入できる。容量の大きい楽曲(高音質とか時間が長いとか)が高くつく、ということ。それでも平均すると、1曲につき、10~20セント程度であったという(これは最終的に値上がりした時の値段であり、当初は1曲4~10セント程度であった)。AppleのiTSでは1曲99セントであったことを考えると、非常に安いのがおわかりだろう。

もちろん、その安さの秘訣は、著作権使用料の安さにあると思われる。おそらくROMSに支払っているのだろうけれども、それは通常のものと比べるとはるかに安いものであることが推測される。

新たな闇

The Timesによると、Allofmp3.comを運営していたMediaServicesが、新たな音楽配信サイト、mp3sparks.comがサービス提供を行っているという。彼らは、これまでと同様の主張(というか手口)を行い、ロシア国内のRussian Licensing Societiesという著作権管理団体に著作権使用料を支払っているという。同団体は、ロシア国内法に基づき、「著作権者から許諾を必要とすることなく、ライセンスを付与し、音楽の使用に対して著作権使用料を徴収する」権利を持つとのこと。

mp3spark.comでも、Allofmp3同様に楽曲の容量で値段が決まるようだ。たとえば、現在のベストセラー、『White Strips - Icky Thump』は、1曲10~20セント程度であり、アルバム1枚で2.08ドルの価格で提供されている。

The Timeは、MediaServicesに対して、そのビジネスモデルは、法的にAllofmp3.comとどう異なるのか(つまり、どのように法的問題を解決しうるか)について質問を投げかけているが、明確な回答は得られていはいない。

さまざまな思惑が渦巻いているこのAllofmp3問題ではあるが、Allofmp3.comとしては、これで1つの区切りを迎えたといえる。しかし、残された訴訟や、同様のビジネスモデルで新たなサービス展開を始めたMediaServices、WTO加盟に向けて一応の責任を果たしたロシア政府、そしておそらくはこの現状を許さないであろう著作権団体。このAllofmp3.comの閉鎖という1つの区切りを迎えたものの、問題の解決には程遠いのかもしれない。

関連エントリ
AllofMP3: 敵対の構え
RIAA、AllofMP3に「Come To Clean」を求める
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