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英国保守党党首、著作権保護期間の延長を著作権団体に約束

よくわかる音楽著作権ビジネス―基礎編 3rd Edition英国保守党党首、Devid Cameronが、英国音楽団体の会合で、保守党の方針として、著作権保護期間の延長を計画しているとして、BPIの支持を取り付けようとしているよ、というお話。以前にも、英国において著作権保護期間延長の問題が湧き上がったものの、結局は結論は出ず、現状維持されることとなった。しかし、保守党党首のこの発言により、英国保守党が政権を担った場合、著作権保護期間延長の議論は、ライツホルダー寄りの改正がなされることが予測される。とはいえ、彼の語った延長の根拠は非常に軽薄なもので、結局理由はどうあれ、レコード産業の望む方向に話を進めることでその支持を取り付けたいだけ、のようだが。ちなみに、このスピーチの後半では、先日ベルギーで下された、ISPは著作権保護のためのフィルタリングを実装せよ、という決定に賛同し、英国においてもそのような責任をISPに対して課すべきであると発言している。これに関しては、次のエントリで。

原典:TorrentFreak
原題:UK Conservatives Plan to Extend Copyright
著者:Ben Jones
日付:July 07, 2007
URL:http://torrentfreak.com/uk-conservatives-plan-to-extend-copyright/

英国レコード産業の会合での最近のスピーチおいて、保守党党首David Cameronは、音楽の著作権保護期間を延長し、さらに先日ベルギー法廷で下された判決に賛同して、著作権保護対策の矛先をISPに向けることを誓った。

Cameron氏はそのスピーチの中で、1998年のSony Bono Copyright Term Extention Act(米国における著作権保護期間の20年の延長を定めた法律)を踏襲し、著作権保護期間を50年から70年に延長することが保守党の方針であることを明らかにした。しかし、この新たな方針の背景にある理由付けには、いささか奇妙な点がある。

「著作権保護期間の延長は、ミュージシャンにとっても消費者にとっても非常に素晴らしいことである。ミュージシャンにとってよいことは、作曲家に与えられる保護期間と、制作者、パフォーマーに与えられる保護期間のズレを軽減できるということだろう。そして、著作権保護期間の延長は消費者にとっても良いこととなるだろう。もし、我々が著作権保護期間を延長するならば、その産業側へのインセンティブによって、過去の作品やニッチな作品のレパートリーをデジタル化し、人々は追加コストなくそれらを楽しむことができる。」

Cameron氏は、このスピーチにおいて、明らかにある考えが抜け落ちている。作品がパブリックドメインとなったとき、レコード会社がそれを許せば、(訳注:下線部分は当エントリの公開当初、引用・翻訳者の見落としによって、記載されていなかった部分である。)誰しもが過去のメディアをコストなく(追加コストなく、ではない)デジタル化することができるという事実に、彼が気づいていないためであろう。

Cameron氏はまた、貧しいパフォーマーを擁護することを根拠としている。彼は、今後10年で7,000人のパフォーマーが彼らの楽曲の著作権使用料を失うのだと言う。しかし、なぜ、どうして、過去10年間に著作権使用料を失った7000人くらいの人達よりも、今後10年間にそうなる人達の方が重要であるか、ということに関しては、述べられることはなかった。そして、その著作権使用料の終わりが差し迫っていることを知っている人達が、突然に更なる20年の収入が必要になったのかも述べられてはいない。もし、他の労働者グループが彼らの賃金を浪費するとして、政府は彼らに救いの手を差し伸べるよう約束してくれるのだろうか?

ごもっとも。パブリックドメインとなれば、追加コストどころかコストを必要とすることはなくなる。ただ、ここでいわれているのは、パフォーミングライツに関することなので、それが切れることがパブリックドメインとなる、ことにはならないんじゃないかなと思われる。いずれにしても、パブリックドメインとなるのは、作詞、作曲の著作権が切れてから、になるのだと思われる。

まぁ、私なりにこの主張に対して考えることは、ズレを軽減する必要は一切ないということ。現状でも現在の保護期間が長すぎると言う批判を浴びているわけで、それを無視して、その基準に合わせようというのはあまりに無分別。そもそも、ディズニーのパワーによって延長が続けられているだけで、本質的に延長すべき理由などはどこにも存在しない。さらに、ズレがあることで問題が生じているとも考えにくい。まぁ、このようなズレが存在することで、不公平感があるというのであれば、上限にあわせるのではなく、下限にあわせるというソリューションだってあるだろう。現状ですら、保護期間が長すぎると言う批判があるのだから、それすらも考慮に入れて検討すべきだろう。その上で、短いほうを延長するのか、長いほうを短縮するのか、明確な根拠(感情や尊敬などというレトリックを用いずにね)を用いて議論するのが筋だろう。

さらに、延長によって得られるインセンティブによってデジタル化が進むというのも、単なる可能性に過ぎないわけで、ニッチな需要、過去の作品に対する需要に対して、音楽産業が応えるかどうかは、著作権保護期間の延長に関係のない話。たとえ保護期間が延長されたとしても、需要の小さい、ニッチな作品をデジタル化してくれるかどうかは保証されない。そもそも、この著作権保護期間延長議論は、その保護期間が終了してもなお利益を生み出し続ける作品から利益を上げ続けたいという動機から起こっているわけで、彼らの目的はそこにしかない。もともと、ニッチな作品を利用するという目的ではない。逆に、保護期間が長すぎるあまり、たとえ需要があっても、権利関係に縛られて供給されない可能性の方が問題になっているわけで。

また、TorrentFreakも指摘している通り、なぜ突然にパフォーマーの利益を拡大すべきだ、と言い出したのかの明確な理由が存在しない。これまで、著作権が失効することでどのような問題が起こったのか、それを根拠に話を進めるべきだろう。

もし、それで彼らが利益を失ったことで困窮している、というのであれば、金が足りないなら今働け、とアドバイスする。

もし、 音楽業界ってのは明日も知れない業界なので、保護を厚くしてくれないといけないのだ、というのであれば、音楽業界には業界の自浄努力によってそのような体質を改善せよ、というし、ミュージシャンにはそれを覚悟し得ないのであれば、安定した職に就け、とアドバイスしよう。

少なくとも、現状ですら50年の保護期間が設定されているのである。20歳のときの作品であれば70歳まで保障される。その間、利益は生まれ続ける。なら、それを蓄えろ。それを使い果たしたのなら、生活保護を受けるなり、野垂れ死ぬなりしろ。

まぁ、現実的にはそのような困窮したパフォーマーはいないわけで。たとえ、そのような主張をするパフォーマーがいたとしても、著作権団体の道化だろうしね。

文化のためだ、未来の創作のためだ、という主張が散見されるが、現状の保護で何が足りないかを明確な根拠に基づいて主張されていることはまずない。結局は、ミュージシャンのためでも、消費者のためでもなく、その中間にいる音楽産業が利益を上げたいだけ、といえる。

関連エントリ
英国:楽曲の著作権保護期間、「現状維持」の見通し
英国:音楽著作権保護期間を延長せず、一方で違法な複製の禁固刑を10年に引き上げ

アーティストから著作権を譲渡された団体が、アーティストの著作権を保護・拡大すべきだと主張する狡猾さ
著作権保護期間延長問題:ビジネスの拡大という本音を隠されては議論は進まない
デジタル時代の私的複製を考える:低迷の原因を考えず、どうしたら搾り取れるかを考える音楽産業

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Comment

謎工 | URL | 2007.07.12 15:50
って言うか、相変わらず著作権と隣接権をごっちゃにして書いている頭悪いソースばかりなのはどうしてなんでしょうね。米国は隣接権の概念が無いから読者に隣接権の概念を一から説明するより自国の制度に合わせて「著作権」と表現したがる傾向が有るのかとも思いましたけど。
heatwave | URL | 2007.07.12 23:22 | Edit
謎工様

コメントありがとうございます。

ご指摘いただいた(と思われる)箇所に私の読み落とし部分がありましたので、
修正いたしました。それでも、少し理解しにくい表現にはなっていますが。

確かに、著作権と著作隣接権は別のものであり、それぞれの延長問題は別個のものとして
考えなければならないという点には賛同いたします。
また、私の上記、関連エントリのタイトルにおいても、それを同一にとらえているかの
ような表現がなされているため、ご指摘の点については、私も反省すべき点も
あるのかと思われます。

私自身に対して、頭が悪いとおっしゃられるのであれば、それは認めるところです。
法律に関してもそれほど詳しいわけではありませんし、日々調べごとをして知識を
固めているところでもあります。
ただ、上述のソースに対して、「頭が悪いソース」とするのであれば、あまり
気持ちの良いものではありません。
私が紹介する記事やソースは、たとえどちらにベクトルが
向いているにせよ、リスペクトを持って紹介しています。
そのソースそのものに「頭が悪い」と言われれば、不快に思うのです。

確かに、著作権制度は各国で異なりますし、各国内でも複雑です。
(なお、TorrentFreakを運営するErnestoはオランダ人、この記事の筆者
 Ben Jonesはイギリス人です。)
それゆえ、表現を理解しやすいように変えたり、誤認や誤解を招く表現になることも
あるでしょう。それによって、正確さを欠くこともあるかもしれません。
しかし、正確な知識は、各人自らが自発的に調べることによって構築されるべき
ことでしょう。

もちろん、ソースそのものが正確である方が望ましいことは確かです。
しかし、私はそれ以上に、大幅な逸脱が行われない限りにおいては、
それが伝えられることにこそ、意義を見出しています。
たとえ、そこに不正確さが存在したとしても、それは各人がそれをきっかけに
さまざまな議論や知識に触れることで、補完されるのではないでしょうか。
もし、それがなされていないのが問題なのであれば、私を含め、
不正確なまま、思考を停止してしまう人達にこそ、その責を求めるべきではないか、
と思うのです。
謎工 | URL | 2007.07.15 18:35
まず、当初のコメントに不適切な表現が有ったことを謹んでお詫びし、該当部分を「不勉強な」に訂正致します。この表現であれば執筆者が外部から指摘の有った事典で著作権と隣接権の相違点を勉強して正確な記述に努めるよう心がけることを期待する、との趣旨で不適切ではないと考えます。

そのうえで再度、問題提起をすると元々「米国には隣接権の概念が無く~」の部分は米国人であるLessigが再三、地震のBLOGで本来「Related rights」と書くべき所を「Musical copyright」と表現しており、このような不正確な表現を使用する理由に何かしら合理的な理由が有るとすれば隣接権の概念が存在せずレコード会社が著作権の1/3を録音後95年間保有する米国の特異な制度が背景に有るのではないかと考えざるを得なかったからです。他方、米国と異なりEU加盟国は(英国もその例外では無く)隣接権の概念が存在し、ここで問題になっているのは(そして、BIやIFPIが口を極めて罵倒しているGowers Reviewで取り上げられているのも)明らかに隣接権(特に、レコード会社が保有する原盤権)でせあるにも関わらず「音楽の著作権」という誤った表現が用いられている点には米国と同じ背景が有るとは考え難く、執筆者の(或いは、発言者であるCameron自身の)不勉強に起因しているのではないかとしか思えないのです。

そもそも、現在ではメキシコがその最先端を突っ走っている不毛な延長合戦の火蓋を切って落としたことで悪名高い1993年のEU指令が「域内の著作権保護期間を何が何でも統一すること」が目的であり隣接権に関してはこの時も棚上げされ、それから11年を経た2004年には隣接権延長が断念されているにも関わらず英国だけ指令を巡るそうした背景を逸脱する形で隣接権延長に踏み切るのは非現実的ではないか、との指摘も外部からは為されている訳ですが。
heatwave | URL | 2007.07.16 20:39 | Edit
謎工様

ご返信ありがとうございます。

いささか私も感情的に反論した部分がありました。
ごめんなさい。

さて、問題提起していただいた件に関してですが、二点ほど。

まず、第一点としては、私も含め、著作権法に詳しくない、不勉強なものが隣接権に関する話題を取り上げることによる事実誤認や不理解が存在すると言うことは、ご指摘の通りだと思います。Lessigのように法に詳しい方が、その表現を変えていることに関しては、ご推察の通り、理解を容易にするためだと考えられますが、報道やブログを含め、一部には不理解によるあやまったレポートが存在するもの確かだと思われます。また、完全に理解していない、というわけではなくても、それが正しく著作権に関することなのか、それとも著作隣接権に関することなのかを理解し得ないとき、より平易な言葉として、著作権という言葉を用いてしまうということもあるのかもしれません。

それに関連して、もう一点考えられるのは、そもそも読み手が著作隣接権を理解していないのではないか、と言う考えから、表現を改めている、ということもあるかもしれません。確かに、それは誤りではあるのですが、Lessigが別の言葉で表現しているように、より平易な言葉を用いることで理解を容易にしたい、ということもあるのかもしれません。ご指摘されているように、米国では著作隣接権が存在しないわけですが、では、それが存在する他の国々でも著作隣接権、と言う言葉を用いて、すんなりと読み手に伝わるか、と疑問があります。それは、英国、そしてEUに限らず、日本でも同様のことかも知れません。

おそらく、多くの人は著作権という言葉とそれが意味するであろう(たとえ正確ではなくとも)概念を持っているでしょう。しかし、著作隣接権といわれれば『?』となるでしょう。それほど一般的な言葉ではなく、それが示すものを理解しているという状況にはないのではないか、と思うのです(IMEの変換でも「りんせつけん」は「隣接県」としかでなかったりします)。そのようなわけで、米国以外にも言い換えをする人達がいる、ということも考えられるわけです。もちろん、今回のケースがそうだというわけではありませんが。

もちろん、そのような意図があったとしても、誤りは誤りであることは理解しておるのですが・・・。
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