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DRM考:DRMは「誰がリスナーを支配するか」を決めるだけのツール

Digital Rights Management: The Problem of Expanding Ownership Rights (Chandos Information Professional)

コンテンツ配信において、DRMは常に産業内に論争を巻き起こし、そしてユーザからの非難を浴びる。しかし、それが改善される兆しはなかなかない。確かに、Steve Jobsは現行のDRMスキームを批判し、それによって多くの人々に賞賛を浴びている。しかし、彼自身が現行のDRMスキームの勝者であり、見方によっては現行DRMの守護者にも映る。結局は、Steve Jobsも音楽産業も、DRMスキームの中で如何にしてユーザを支配するかを決める、ビッグブラザー争いをしているだけに思える。どちらが勝っても、ユーザに利益はもたらされない。以下に、DRMスキームによって奪われている、私たちの利益を取り戻さんとする活動を紹介しよう。見様によっては、効果のないアジテーションにしか映らないかもしれない。しかし、私はそこに意味を見出す。たとえ、制御ができないとしても、人々には力があるのだ。それが結果論だとしてもね。

原典:Defective By Design.org
原題:The harm being caused by DRM, and those with their heads In the sand
日付:July 20, 2007
URL:http://www.defectivebydesign.org/actions/media_execs_
have_their_heads_sand

Digital Restrictions Managemant(DRM)を、市民に錠をかけるために使用することは、単に非倫理的なことです。それは、私たちが所有するデバイスとコンピュータを制御する私たちの自由を剥奪します。

DRMは、私たちの社会における電子的モニタリングの危険な先例ともなり、所有する音楽やビデオに関して私たちが伝統的に持っていた権利を奪い去ります。私たちの社会には、このような手錠は必要ありません!私たちは、DRMスキームがこれまで喧伝されてきたようには、うまく働かない事例を何度も見てきています。DRMは偽造を食い止めるといわれていますが、それに関連した組織的犯罪は、DRMの影響を受けずに続けられています。音楽やビデオを大手メディアからお金を支払って購入する市民こそが、DRMによって罰せられる唯一の人です。HD-DVDやBluRayのようなDRMスキームがどれほど早くクラックされるかに関するいかなる証拠にもかかわらず、テクノロジー、メディア、エンターテインメント産業の人々は未だに、より大きな手錠を我々につけるか、より複雑なビッグブラザー(独裁的な権限による)としてのモニタリングスキームを考案しようと躍起になっています。そのようなわけで、彼らは、DRMスキームを回避することを犯罪とするような-つまりはあなたのコンピュータをコントロールするということ-著作権の拡大やDigital Millennium Copyright Act(DMCA)を求めるロビー活動を行っています。

DRMの押し売りは、DRMこそが答えであるという考えを押し付け続けます。他の選択肢-DRMは非倫理的であり、壊れている-は、私たちを彼らのチャンネルにロックし続けるという彼らの願望にフィットしないため、彼らは、ダチョウのことわざにもあるように、彼らの頭を砂に突っ込み(訳注:ダチョウは恐怖が高まると、砂に頭を突っ込むという、単に問題から目をそらし現実逃避しているさまを表していることわざ)、彼ら自身や社会を誤った方向に導き続けています。

しかし、市民をロックすることを保証する方法があったとしたら-つまり、私たちがデジタルファイルをどのように利用しているかをコントロールし、モニターすることを可能とする堅固なDRMスキームが構築されたとしたら、どうなるでしょうか?私たちのコンピュータはエンターテインメント産業によって所有されることになることを意味します。それで彼らは何をするでしょうか?社会的なコストはどうなるでしょうか?彼らは配慮してくれるでしょうか?

さぁ、今すぐ行動を起こしましょう:直接メールを送るのです。


このブログでは、これまでにU2のBonoやSteve Jobs、Warner CEOのEdgar BronfmanにDRMの撤廃を求めるメールを送付している。上記のリンクには、送付したメールの内容がそれぞれ書かれている。見た限りでは、反応があったのはBonoだけのようだが(それでも、DRM撤廃のために共に立ち上がってくれ、という要請には応えないというスタンスであるようだが)。

このような活動をアジテーションだ、とか、やっても意味がないという人もいるだろうが、個人的には、やれるだけのことをやってみるのも悪くはないと思っている。現在のところ、この活動が功を奏している感じはしないが、それでも、このブログに限らず、アンチDRM活動を続けることで誰か反応してくれる人がいれば(それが著名人であれ、名もなき匿名の人々であれ)、それに意味があると思う。

ここで述べられているように、DRMは彼らの主張しているような効果をもたらしてはいない。海賊行為対策だといっても、彼らがもっとも懸念しているP2Pファイル共有ネットワーク上での海賊行為や、露店やインターネット上で行われている商業的海賊業者に対しては、何ら効果を上げていない。とすれば、残された人々、つまり、一般市民がカジュアルコピーをできなくすることを阻害するだけにとどまる。しかし、実際に彼らのPCやデバイスに入っているコンテンツのうち、どれくらいの割合のものがDRMが施されたものであるか、を考えるとそれほど効果があるとは考えにくい。

そう、DRMは、『彼らの主張していない効果』をもたらしているのだと考えるべきだろう。わかりやすい例で言えば、AppleがiTunesをiPodで囲い込んでいるように。ただ、勘違いしてはいけないのは、AppleはDRMスキームの正しい使い方をしているだけなのだ。というと、誤解を招きそうであるが、そもそもDRMとは競争を阻害するため、独占のためのスキームである。音楽業界は、音楽配信サービスを利用してデバイスをコントロールすることができると踏んだのだろうが、実際にはデバイスが音楽配信サービスをコントロールしているのが現状である。つまり、音楽業界は(少なくとも音楽配信という領域において)デバイスに負けたのだ。それも、iPodという1つのデバイスに。

それゆえに、今のAppleの独占体制は『現行の』DRMスキームから考えると、音楽業界、デバイス産業がそれにそって争った結果としてあるのだと考えられる。その意味で、正しい。しかし、それはビッグブラザー同士の覇権争いであり、決してユーザの利益には繋がらない。当然、どちらのビッグブラザーが勝利を収めても、不利益しか生み出さない。つまり、『現行の』DRMスキームは正しくないのだ。少なくともユーザにとっては。

以前、私はAppleが如何にしてDRMフリーを唱導しつつDRMスキームにおいて勝者たらんとしているか、についての妄言を述べた。こう書くと、いかにもAppleを批判しているようにも見えるかもしれないけれど、私自身、このエントリの中でAppleを非難する意図はない。むしろ、Appleは正しくDRMスキームを活用しているのである。問題は、そのDRMスキームが正しくない、ということだ。

では、その『正しくない』『現行の』DRMスキームがどのような流れを形成しているかというと、EMIによるDRMからの半分の逸脱と(結局はDRMスキームの中でDRMフリーからインセンティブを得ようとしているようにも見える)、UniversalによるiPod(デバイス)からの逸脱である。私の視点からは、どちらもDRMスキームから抜け出してはいない。結局は、DRMスキームの中でのビッグブラザー争いでしかない。つまり、結果的には誰がユーザを支配するのかが異なるだけなのだ。

個人的には、上述の理由から、現行のDRMスキームで勝者となったAppleにはそれほど嫌悪感を抱いてはいない。むしろ応援しているくらいだ。もちろん、その理由は、Appleの行動が、DRM問題の何たるかを教えてくれるから、という穿ったものであるが。Appleが頑張れば頑張るほど、多くのユーザが私と同様に、DRMスキーム自体の問題を理解することになるだろう。

では、そうなったときに、ユーザは、リスナーはDRMスキームがどうあるべきか(非DRMというソリューションを含むとして)、を考えなければならない。確かに、行動を起こしたとしても、あまり効果が期待できないことのほうが多いだろう。それでも私は多くの人に訴えることが必要だと思う。それは、アジテーションでも意味のないことでもない。一緒に考えようぜ、と訴えることに意味がある。大企業の力の前には、一個人のできることなんてたかが知れているだろう。でも、人々が持つ力は、大企業にすら影響を及ぼし、動かすことだってある。

『現行の』DRMスキームを作り出したのは、他ならぬ音楽業界である。しかし、彼らが勝利者たらんとして作り出されたこのDRMスキームは、結果的にiPod/iTunesに勝利をもたらした。では、Appleの勝因はなんだったのか。それはユーザがiPodを選んだからに他ならない。音楽業界やでAppleが砂の中に首を突っ込み、ユーザを無視している部分はあるにせよ、利益を上げるという点においてはユーザを無視し得ないのである。とはいえ、このような人々の力を意図的に行使することなど、現実的に不可能だろう。しかし、人々には力があることは事実だ。だからこそ、訴えるということに意味がある。

 

さて、最後に余談ではあるが、私がDRMについて考えるとき、頭をよぎる問題を述べることにする。これはDRMを考える上で、避けることのできない問題でもあると思う。

私はDRMフリーな世界を望んでいる。それは確固たるものだ。しかし、その考えが少し揺らいでしまう疑問が頭をよぎることがある。『今』の問題ではない、『未来』の問題。今以上に音楽配信が盛んに行われ、そして多くのデバイスがそのディスクスペースの飛躍的に伸ばしているであろう未来の問題。多くの人が、購入した全ての楽曲を、自身のデバイスに全て入れることができる未来。その時代になっても、DRMは不要なのだろうか。その明確な答えはなかなか見つからない。

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Comment

ふと思ったんだけど | URL | 2007.07.24 06:26 | Edit
レコード会社がコンテンツの再生関連機器を頑張って独占的に販売して利益をあげればいいんじゃないだろうか。
そうすれば著作権無視されまくっても再生機器で利益あげればいいんだし。

与太話だけど。
Ripple | URL | 2007.07.24 19:33
音楽業界のDRMについて毎度思うのだけども、何故CSSやAACSの様に出来なかったんでしょうね。当事者(メジャーと大手ハードメーカー)が協議することがなかったのが本当に不思議でした。音楽配信だけでなく、CCCDにもきっといい結果になったはずだと思うんですよ。

自分はDRM賛成派です、ただし縛りのないDRMになりますが。私的複製が許されるのは勿論、「標準化」されることが何よりも重要だと考えています。DRMフリーであってもいいと思いますが、そうなるとセットとして違法行為やカジュアルコピーをどうするかの問題解決が必要ですね。

>Appleの勝因はなんだったのか。それはユーザがiPodを選んだからに他ならない。
ユーザーが選んだのはiPodでなくiTunes、自分はそう思います。
heatwave | URL | 2007.07.24 23:23 | Edit
ふと思ったんだけどさま

コメントありがとうございます。

それが難しかったからこそのDRMスキームだったのかもしれません。また、本当は音楽配信なんてしたくないんだ、という音楽産業の本音を考えると、如何に読天敵スキームとはいえ、積極的に乗り出すつもりはないのでしょうね。

Rippleさま

たびたびコメントいただきまして、ありがとうございます。

DRMが音楽業界のごり押しで進められているのは、おそらく上記のエントリにある理由を考えているのですが、個人的に、映像の分野でそれがうまく言っているのは、ベータマックス訴訟などデバイス(テクノロジー)対コンテンツ産業の戦いを済ませているから、ということが考えられるのではないかなと思っています。少なくともその不毛さには両者が気づいており、ではその中でどうやって妥協点が見出すか、に関するコンセンサスが存在するのかも知れません(AACSの場合は特にそれが強かったかもしれません)。

私は、上記エントリにあるようにDRM否定派です。個人的には、私的複製に関しては完全に阻害されないことが望ましいと思っていますし、友人間のカジュアルコピーに関しても、多少は黙認されてもいいとすら思っています。もちろん、その意味するところは、かつてのCDを買ってテープやMDに落として友人にあげる、といった、比較的狭い範囲での話ですが。確かに、違法なコピーになるかもしれませんが、それでも音楽や映像コンテンツを楽しむという文化に人々を繋ぎとめておく、という点では、コンテンツ産業の思っているほどに被害を与えるものではなく、文化として育てることにも繋がるのだと思います。文化というのは、おおよそ共有されてこそ、発展していくものだと思っています。それが人々の間で共有されなくなったとき、それは文化ではなくなってしまうのではないかと。これは、大してよくもないのに売れるモノを見ているとそう思ったりします。よい売れるのではなく、共有されているから売れるのだ、と。

ただし、そのような狭い範囲での話であっても、このエントリの最後に書いたように、そのコピーが膨大な量に及ぶ場合、狭い範囲のカジュアルコピーだからいい、ということにはならないとも思っています。では、そのための枠組みをどう考えるべきか、ということが私の宿題でもあり、1つのブレークスルーでもあるのかなと思っています。1つにはウォーターマークのような緩い枠組みがありますが、これもプライバシー問題があり、その運用次第ではあまり好ましい結果を生み出さないとも思えます。うーん、どうあるべきなんですかねぇ・・・。

>ユーザーが選んだのはiPodでなくiTunes、自分はそう思います。
個人的には、iTunesが選ばれるのは、iPodを所有しているからだと思っています。iTunesを利用したいからiPodを買う、という人はあまりいないのではないかと考えているためです。その点で、Appleは『現行の』DRMスキームを正しく利用しているのだなぁと思っている次第です。
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