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欧州各国:著作権団体のP2Pネットワーク上での独自調査は認められない

EUスイスのアンチ海賊行為団体Logistepは、ドイツ、英国、フランス、イタリアなどヨーロッパ中の至る国の法廷で、P2Pユーザを脅迫し、虐げている。彼らは、ファイル共有ネットワーク上をモニター、ユーザの情報を取得し、それを元にユーザを訴え、ISPに対してユーザの個人情報の開示を求めている。しかし、欧州各国でそのような手法を、信頼性、妥当性が低く、裁判に採用できる証拠ではない、またISPに対するユーザの照会も無効である、という判断を下され始めているよ、というお話。これは先日の欧州司法裁判所での法務官の勧告とも一致する。もちろん、著作権侵害に対して然るべき措置を取ること自体は彼らの権利であり、それが否定されてよいわけはないのだが、その手法に問題があり、それによって無実の人々のプライバシーが侵害され、冤罪が発生する可能性があり、さらに法廷での審理を行うことが許されない手法であるのだとしたら、それは是正されるべきことである。

原典:TorrentFreak
原題:Anti-Piracy Outfit's Business Model On Life-Support
著者:enigmax
日付:July 23, 2007
URL:http://torrentfreak.com/anti-piracy-outfits-
business-model-on-life-support/

TorrentFreakではこれまで幾度か、スイスのアンチ海賊行為団体Logistepの活動を報告している。彼らのビジネスモデルは、悪名高いDream Pinbollとほぼ類似している。彼らは、メディア企業(たとえばZuxxezTechlandPeppermint Jam)と共に活動している。彼らは、可能性のある著作権侵害に関するフォレンジックな情報を収集する、ハリーポッタースタイルのマジックソフトウェアを用いて、P2Pネットワークをモニターしている。この情報はその後、弁護士事務所に渡され、違反容疑者の身元を明らかにするようISPに強制させるために、裁判官を説得する耐えの材料として用いられる。ひとたび、ユーザの情報が彼らの手に入れば、彼らは被告人からお金を巻き上げようとする。もし、数百ユーロまたはポンドを支払わなければ(あるケースでは、1曲を共有していたとして)、法廷に連れて行かれ、支払いを強制されることになる、更にはそのコストが更に高くなると暗に示すことで、警告する。

我々は、Logistepのこのヨーロッパ旅行が、彼らが望むほどにうまくいっていないことを非常に喜んでいる。虐げられたファイル共有ユーザは立ち上がり、主張を始めた。そして、政府-さらには裁判所も-それを聞き入れ、強い措置を取っている。

イタリア

数ヶ月前、Peppermint Jam(ドイツのレコード企業)とTechland(ポーランドのテレビゲーム会社)は、イタリアでの大規模なアンチP2Pキャンペーンを促進するために、Logistepを招いた。いつものように、彼らは被告人のISPに対して、彼らのモニタリングソフトウェアのデータ収集は完璧であるという保証した。そして、北イタリアの比較的なの知られていない弁護士事務所を通じて、彼らの著作権を侵害したとして訴えたP2Pユーザに3,636通の脅迫状を送付した。

それぞれの脅迫状の受取人は、1曲のダウンロードされた楽曲に330ユーロ(約5.5万円)を支払い、二度と著作物をダウンロードしないことを約束する宣言書へのサインを求める「pay up or else」レターを受け取った。

多くの人々がこれらの要求に怯え、支払うことにしたが、支払うことが罪を明確に認めると見られることだとは理解してはいなかったようだ。しかし、このニュースは報道され、国内のマスコミが注目し始めた。それ以外にも、消費者および市民権利団体、果ては政府に至るまで。

7月18日、イタリアの大手ISP(WindとTelecom Italia)が、Logistepソフトウェアを利用した同ISPの顧客への追跡を行った会社のアプローチに対して、消費者の個人情報の保護を求めていた申し立てをローマ法廷が認めることで、Logistepのビジネスモデルは大きな打撃を受けることになった。

法廷は、Logistepソフトウェアがその監視によってプライバシーを侵害しているために、それによって得られた情報は裁判に用いることはできないと決定した。イタリアにおいて、電子通信のプライバシーの侵害が認められるのは、極めて重大なケースにおいてのみである。P2Pはそれに含まれるものではない、と判断された。

プライバシー法によれば、市民および企業は、法廷において彼ら自身の権利を擁護する目的でのみ、個人情報の収集が認められている。そして、これは、その収集方法が合法的なものであり、競合相手が(今回の場合はPeppermint JamとTechland)が既にデータを得ることに成功している場合にのみ、許されるとしている。明らかに今回の場合では、Peppermint JamとTechlandがISPに複数の情報を請求していたように、彼らは全ての情報を得ているわけではなかった。

これは、イタリアにおいて著作権の強要をせんとする人々の大きな敗北といえよう。イタリア法廷は、P2Pネットワーク上におけるプライベートな調査を行う人々が違法にそのような行為を行っているのであり、ISPにその顧客の個人情報を要求できる法的立場にはないことを確認したとも考えられる。ISPから情報を得ることができないのであれば、彼らは脅迫状を送付することはできない。脅迫状が送られなければ、公正な審理を与えられることなく、法外な請求への支払いを強制させられることもなくなるだろう。

フランス

2007年7月7日付けのプレスリリースは、ポーランドの出版社『Techland』の『Call of Juarez』をダウンロードしたとして訴えられているフランスのP2Pユーザに朗報をもたらした。Techlandは、パリの弁護士を通じて同社が訴えた人々の氏名と住所を取得し、いつもの脅迫状を送付した。このケースでは、犠牲者(訳注:ファイル共有ユーザ)を見逃してやる代わりに、400ユーロ支払え(約6.7万円)、というもの。

しかし、弁護士とフランスISPによる申し立てによって、TechlandがP2Pユーザを特定し、住所を取得することを可能にした命令は撤回された。基本的に、フランスでは、電子上のプライバシーがアンチ海賊行為活動よりも遥かに重要であるとするイタリアのスタンスと同様である。

プレスリリースによると、「侵害容疑または現実侵害における個人に関するデータの処理は、CNIL(Data-processing National Commision and Freedom)による事前の許可が必要であると考えられる」としている。Techlandはフランスのインターネットユーザをモニターするための許可を得てはいなかった。

加えて法廷は、「P2Pソフトウェア使用のフレームワークにおける判断に際して、全ての利害関係者に利用可能な相反する手順」を与えられなかったことから、フランス法律制度の認める範囲において、市民が彼らの権利を行使することが認められないということは望ましくないと判断したとも思える。言い換えると、人々は公正な裁判を与えられなかったけれども、既に違法な罰金を支払った人々にとって、全てが失われるわけではない、ということだ。Techlandが個人情報を得るよりどころとなった命令が撤回されたということは、被告人が現在、彼らのお金を取り戻す可能性のある、適切な公聴会を求める法的権利を行使できるということを意味する。

今後は、インターネット上でファイル共有ユーザをモニターすることでプライバシー法を破らんとする企業、個人は、その活動をまず裁判官によって認可されなければならない。

英国

英国におけるLogistepのアクションに関する包括的なレビューはないが、それでもこれまでと同様の路線を進むのであれば、それは時間の問題だろう。Slyckフォーラムでのユーザの発言によると、政府が運営する、高い評価を受けているUK Trading Standardsは、(訳注:ファイル共有ユーザを訴えている)弁護人が「ゲームが実際にハードディスク内のあったという証拠を提示できない」としたこと、「当人、または当人のコンピュータがゲームのダウンロードに関係していたという証拠はない」ことを認めていることから、英国市民に対する申し立てを「非常に疑わしい」と明言している*1。明確な証拠もないままに人々を訴えている弁護士たちの図々しさには驚嘆する。本来であれば、法廷での訴訟というのは最後の手段なのだが、それを逆手にとって彼らはいじめ戦術に依存しているのだろう。

ドイツ法廷においても、イタリアやフランスと同様に、Logistepや彼らのパートナーたちによって多くの訴訟が起こされている。UK Trading Standardsが、英国市民に対する訴訟が「非常に疑わしい」ものだと述べたように、Logistepのビジネスモデルにとっては非常に風向きは悪くなりつつある。

加えて、先週EU司法裁判所の法務官の声明もある。彼女は、EU法は、ISPがファイル共有を行ったとして訴えられた人々の個人情報を明らかにするよう強制されることを認めていない、としている。これは、Logistepと彼らのパートナーの敗北が差し迫っていることを示しているだろう。

*1 これはSlyckフォーラム上でのユーザが受け取ったとされる文書をソースとしている。そのユーザは、この件に関して、UK Trading Standardsに質問をし、それに対する回答が上記のもののようだ。ちなみに、弁護士が認めたのは、当該のIPアドレスが侵害に対して「使われたかもしれない」と回答したとのこと。事実かどうかを判断しうるほど、信頼性の高いソースではないことを明記しておく。

まぁ、何というか、RIAA的なやり方がまかり通らなくなりつつあるということだろうか。

この点に関しては、おおよそTorrentFreakが考えているように、権限を持ち得ない団体による独自の調査を元に法的施行を行うことはベターだとはいいがたいと考えている。信頼性の低い調査(少なくとも、その信頼性を判断されていないという点で)を元に、当該のユーザに対して和解を求めることは、脅迫とされても仕方のない部分がある。

さらに、各国で述べられている通り、その調査手法の信頼性以外にもその妥当性を疑問視されており、その点に関してもクリアしなければならないだろう。この手法は、ユーザのプライバシーを侵害する可能性の高いものであり、著作権侵害が行われているのだから、それくらいいいだろうというのは、利害関係者が主張できることではない。

ただし、これら著作権団体による申し立て自体を否定するものではない。ほぼ間違いなく、彼らの著作権が侵害されていることは間違いない。しかし、だからといって、信頼性の定かではない手法を用いて人々を脅し、プライバシーの侵害の可能性のある妥当性の低い手法を持って法廷に申し立てるというのは、許されるべきではない。

それを回避するためにも、著作権団体には然るべき手順を経た上で、法的施行を行うことを望む。正しい手続きを経て、正しく当該の違法共有ユーザを特定し、当該のユーザに責任を取らせるのであれば、現在のような批判を浴びることもないだろう。少なくとも、そのような手法を続けていれば、(海賊行為が減少するかどうかはわからないが)人々に理解されないということもないだろう。そのような環境を作ってこそ、彼らの啓蒙を含めたアンチ海賊行為キャンペーンは効果を持つような気もするのだけれどもね。

ただ、このような傾向がこれからも続くという保証はどこにもないし、NewTeeVeeのJankoが指摘しているように、民事訴訟を行うために、大量の刑事訴訟を起こし、ユーザを特定するという手法も残されており、直接の民事訴訟という手段を失うことで、そのような手法に全体として移行するということもありうる。もちろん、刑事訴訟を起こすこと自体は、法的手続きに則っているものであり、批判されるべきものでもないが、その目的が余りに利己的なのであれば、あまり好ましくは思えないけれどもね。

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