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LimeWire CEO Mark Gorton、「ISPがP2Pファイル共有を取り締まる」よう米国議会に求める

LimeWire先日の監査政府改革委員会の公聴会において、ボコボコにされてしまったLimeWire CEOのMark Gorton。その彼が同委員会に提出していた宣誓書において、P2Pファイル共有の児童ポルノ、著作権侵害の問題を取り締まれるのはISPだけだとして、米国議会に対してそれを可能にするよう求めているよ、というお話。そもそも、この公聴会の議題は「P2Pネットワークにおける機密情報漏洩が国家安全保障上の脅威となる」というものであり、何とも的外れな主張のようにも思える。また、LimeWireが、かつて自身のクライアントにフィルタリング機能を実装しようとしていたこと(RIAAとの折り合いがつかずご破算にされたが)や、現在海賊行為とコンテンツの販売の並行したサービスによるビジネスモデルを模索していることからすれば、何ともおかしな話ではある。その辺の何ともつじつまのあわない感じがなぜ主張されているのかを考えてみたい。

原典:Committee Holds Hearing on Inadvertent File Sharing over Peer-to-Peer Networks
原題:Testimony of Mark Gorton
著者:Mark Gorton
日付:July 24, 2007
URL:http://oversight.house.gov/story.asp?ID=1424 (pdf)

このたびは、私に話す機会を与えてくれたCommittee on Oversight and Government Reformに感謝を申し上げたいと思います。私の名前はMark Gorton、LimeWireファイル共有プログラムのメーカー、Lime Wire LLCの創設者、CEOです。

LimeWireは、不注意なファイル共有の問題を深刻に受け止めています。私たちは、LimeWireファイル共有プログラムを、理解が明確で容易なものとするよう努めています。不注意なファイル共有に対する警告は、LimeWireウェブサイト上に、目立つよう掲示されています。

LimeWireプログラムは、不注意なファイル共有を防ぐための複数の特徴を持っています。ライブラリラブでは、ユーザはどのファイルが共有されているか、それぞれのファイルが何度アップロードされているかを見ることができます。また、それらはファイルごとに、フォルダごとに共有、非共有にすることができます。LimeWireクライアント上のモニター/ログタブでは、どのファイルがアップロードされたかを確認することができます。ユーザが、Windowsマシンの「マイドキュメント」フォルダのような機密情報を含むかもしれないフォルダを共有しようとすると、警告が表示されます。ステータスバーは、常に共有されているファイルの数、現在アップロード中の数、現在の使用しているアップロード帯域についての情報が表示されます。

私たちは、LimeWireにおいてこれだけの警告や予防措置を設けているにもかかわらず、一部の少数のユーザが、プログラムに備わった安全なデフォルトセッティングを越えて、不注意にもプライベートにしておきたい情報を流してしまうことを残念に思います。これらのインターフェースを、ユーザがどのファイルを共有しているのかを確認するのをより容易にし、利用可能なコントロールを直感的に理解できるようなものにします。

私は、この委員会に「Inadvertent Sharing Precautions in LimeWire(LimeWireにおける不注意なファイル共有の予防措置)」と題された文書を提出しました。これは、LimeWireが思いがけないファイル共有を防ぐためにとる措置のより包括的なリストになります。また、私たちのWebサイトに行き、LimeWireクライアントをダウンロードし、どのファイルがLimeWireに共有されているかを確認するのが、どれほど容易であるかを、実際に確認するようお勧めします。

不注意なファイル共有の問題に加えて、P2Pネットワークは児童ポルノや著作権侵害に悩まされています。インターネットは、これまでになかった新たな行為を可能にするテクノロジーです。残念なことに、これらのいくつかの新たな行為は、社会にとって有害なものです。インターネットを取り巻く制御フレームワークは、テクノロジーの進歩と足並みを揃えてはきませんでした。現在に至っても、P2Pネットワーク上の違法な行為に対処するための効果的な施行メカニズムが存在してはいません。

インターネットサービスプロバイダ(ISP)は、インターネット上のあらゆるコンピュータにとって唯一の基点となります。大学はしばしばそれ自身がISPとしての役割を果たします。そして、一部の大学は、違法行為に対する複数回の警告を無視するユーザをネットワークから切り離すという、通知に基づく警告システムを実装しています。これらの大学では、そのキャンパスネットワーク内の児童ポルノ、著作権侵害を激減させています。

同様のポリシーを、米国の全てのISPに対して命じることが可能です。しかし、このようなポリシーは、施行によって加入者との関係が悪くなることを嫌うテレコム、ケーブル会社にとって認め難いものです。以前テレコム産業は、ISPを施行プロセスに組み込もうとする試みに盛んに反対しました。そして、インターネット上の違法行為に対処するための、緩やかではあるが効果的な施行メカニズムを確立しようするポリシーに対しても、反対を続けています。

インターネットを取り締まるための、効果的な施行の作成を命じる権限を持つアメリカ合衆国唯一の機関は、アメリカ合衆国議会です。米国議会のリーダーシップによって、インターネットに対する適切な取締りメカニズムを確立することができます。それによって、児童ポルノや著作権侵害の問題は大幅に軽減することができます。

さて、ここでGortonの主張の流れを簡単に纏めてみよう。

  • LimeWireは不注意なファイル共有を防ぐための機能を既に備えている
  • が、一部のユーザは不注意から望まない情報を誤って共有してしまう
  • そのユーザに合わせた不注意なファイル共有の抑制方法を模索、実装しようとしている
  • それに加えて、P2Pファイル共有は児童ポルノ、著作権の問題がある
  • それに対処できるのはISPだけ
  • DMCA通知などに基づくネットワークの遮断によって、児童ポルノ、著作権侵害は激減
  • このような施行ができるのは米国議会だけ

さて、お分かりいただけただろうか。前段と後段が余りに趣旨違いなことに。この公聴会は、「不注意なファイル共有による国家機密漏洩の問題」を扱っているわけだが、Gortonは何か思い違いでもしているのだろうか?

前のエントリにもあったが、この公聴会ではMrak Gortonは一部の議員から痛烈な批判を浴びている。それは、ここでGorton述べたLimeWireに実装されている不注意なファイル共有を防ぐための手立てが不十分であることを指摘したものである。まぁ、そのことから考えても、LimeWireにとってこの問題は、これまでそれほど重要視してこなかったものであり、それほど強い主張ができないというのが本音だろう。そこで、批判そらしのために、P2Pファイル共有における著作権侵害と児童ポルノの問題を、ISPが規制すべきであるという主張を持ち出してきたのだろう。これはLimeWireへの矛先をそらすために、ISPを、他のP2Pプログラムを身代わりにした、ともいえる。

Gortonの主張のまずさはいくつか挙げられる。彼は、通知に基づいてネットワークから遮断するという大学の措置を挙げ、ISPもそれに見習うべきだとしている。名言はしていないが、RIAAやMPAAによる通知に基づいて、ISPもその顧客をネットワークから遮断せよ、ということだろう。しかし、欧州において、著作権団体による調査手法の是非やその信頼性の問題などが取り沙汰されている中、それを全肯定することを前提としたソリューションはあまりに短絡的としかいいようがない。要は、RIAAやMPAAの調査自体が信用に足るものではない、ということだ。

また、安易にISPに責任を課すという議論を進めることも危険が伴うだろう。現在必要な議論は、ISPに何かしらの施行をさせてもよいのかどうか、という議論である。ISPに何をさせるか、という議論ではない。もし、ISPに何かしらの施行をさせてもよい、ということになれば、RIAAやMPAAの求めるものは個々のユーザの遮断などではなく、ISPによる違法ファイル共有のフィルタリング、それが不可能なのであれば、P2Pネットワーク全体の遮断を要求するだろう。RIAAやMPAAにしてみれば、複数回の通知による遮断という効率の悪い方法に頼らずとも、訴訟によってユーザを追い詰めることができるのである。それより一歩進んだ対策を求めると見るのが妥当だろう。既に大学に対しても、当該のユーザの遮断ではなく、ネットワーク全体に対するフィルタリングを求められている

まぁ、ISPに対してフィルタリングを求めることになれば、次はそのソースであるP2Pネットワークのフィルタリングに目が向くだろう。少なくとも、LimeWireに対してもフィルタリングを実装するよう求められるだろうが、その辺はどう考えているのだろうか。LimeWireの考えるビジネスモデルは、海賊行為を基盤としたものであることは間違いない。それを考えると、そのビジネスモデルを生き残らせたいがために、まずISPに責任転嫁をしたというところだろうか。要は最終的には自分たちの首を絞めることになるかもしれないが、防壁としてISPを持ち出してきたというところか。実際にISPに対して対処を求める段になれば、その議論は著作権団体とISPでかなりシビアに行われるだろうから、その間は安泰だという思惑なのかな。更にいえば、他のP2Pファイル共有プログラムを巻き込むことで、それを防壁にすることもできると。なんだかなぁ。ちなみに、BitTorrentは、今回の情報漏洩に関する議論にはあまり関係がないと思うのだけれどもねぇ。

余談ではあるが、かつて、LimeWire自身が自らフィルタリングを導入するという話になっていたが、RIAAとの議論が平行線に終わったことでご破算になってしまった経緯がある。時計の針を戻すことはできないのね。

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