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英国:2007 Digital Music Survey、デジタルミュージックの現状

Entertainment Media Reserchという会社と、知的所有権弁護士のOlswangが英国で行った、デジタルミュージックに関する包括的な調査のレポートThe 2007 Digital Music Surveyがリリースされたよ、というお話。これはTorrentFreakで知ったのだけれども、非常に興味深い内容となっている。トピックとしては、デジタルミュージックとSNS(Bebo、MySpace、YouTube)、ライブ、音楽を知る情報源、音楽の購入行動、合法的なダウンロードの利用、デジタル音楽プレイヤー、違法ダウンロード、モバイルでの音楽ダウンロード、DRMに対する態度など、デジタルミュージックを取り巻く問題や話題について、包括的な調査を行っている。それぞれのトピックごとに複数の質問項目を構成しており、一度に紹介するのが難しいくらいのなので、今回は、トピックと質問項目の概略を紹介して、その中でも違法ダウンロードに関して考えてみることにする。レポートはこちら(pdf)からダウンロード可能。

原典:TorrentFreak
原題:Downloading More Than Ever Before, Brits Care Less About Getting Caught
著者:enigmax
日付:July 30, 2007
URL:http://torrentfreak.com/downloading-more-than-ever-before-brits-care-less-about-getting-caught/

英国人は、これまで以上に無料の音楽をダウンロードしており、そして、彼らが昨年にも増して、捕らえられることを心配していない。なぜ、彼らは来年もダウンロードを続けるのだろうか?91%の人々がこう回答する。「それが無料だから!」

Digital Media Survey 2007によると、無許可のメディアをダウンロードすることは、若い英国人の間で急増している。Entertainment Media Researchと知的所有権弁護士のOlswangによって行われた調査によると、質問に回答した人々の43%がBitTorrentやLimeWire等を利用して無料で音楽をダウンロードすることを認めている。これは、2006年では36%、2005年では40%であった。

回答者の男性のうち、47%が無許可のダウンロードを認め、2006年の43%から上昇していることが示された。また、女性では40%がそれを認めており、これも2006年の29%から上昇している。

来年のダウンロード習慣を予測するため、今後はどうなるかについて尋ねたところ、18%が増加しそうである、と回答し、2006年の8%、2005年の6%から上昇している。また、41%の人々はダウンロードする数は来年も変わらないだろうと回答し、それと同数の人々が、来年は減るだろうと回答した。

より翌年もダウンロードするだろうと回答した人々に理由を尋ねたところ、最も多かった回答は、「それが無料であるので」で、91%にも上った。42%が、ファイル共有ネットワークには多数の選択肢があるため(訳注:数多くのジャンルの楽曲があるということかと)だと回答した。しかし、女性の55%が無料のP2Pによって目当てのものを見つけることができ、その選択肢に満足していると回答した一方、男性ではその割合は28%であった。

法的な問題について質問されると、33%の人々が訴えられることに対して心配していると認めた。しかし、2006年の40%からは減少している。(訳注:来年はよりダウンロードしなくなるだろうと回答した人のうち)25%の人々が法律をより理解するようになったためと回答する一方で、(来年はよりダウンロードするようになるだろうと回答した人のうち)5%の人々がそれを気にしてはいないと回答している。また、(訳注:来年はよりダウンロードすると回答した人のうち)4%が、おそらくつかまることはないだろうと考えていることが示された。

来年はよりダウンロードしなくなるという理由について質問されると、51%が、主にウィルスとスパイウェアを懸念してのことだと回答した。これは、2006年の59%から減少している。このレポートでは、どのファイル共有ネットワークのユーザがもっともマルウェアを懸念しているかについて言及されてはいないが、おそらく、大多数の心配性の人々はLimeWireのようなをサービスのユーザであろうと考えられる。なぜなら、BitTorrentではそれほどウィルスやスパイウェアに引っかかるということは稀であるためである。

ちなみに、このレポートは無許可のダウンロードを主に扱ったレポートではなく、デジタルメディア(特に音楽)全般の調査であることを述べておく。ここで紹介されている海賊行為への態度などに関しても興味深いのだが、それ以外の項目も非常に興味深い内容となっている。レポートは全89ページと結構なボリュームとなっており、その質問項目は多岐にわたり、60項目強となかなかのボリューム。扱っているトピック、質問項目の概略は以下の通り。

Usage & Impact of Social Network (p.21)

SNSと音楽の購入の関連、Bebo・MySpace・YouTubeそれぞれが音楽購入等に与えるインパクト、SNSへの態度、SNS/ネット上のアーティストサイトの利用など

Live Music (p.37)

ライブへの関心、webキャストへの関心

Sources (p.40)

新しい音楽の情報の入手元、利用するラジオの種別

Purcahse Behavior (p.44)

今後のCD購入の予測、CDアルバムへの選好と態度、USBメディアでの音楽リリースについて

Legal Downloading (p.48)

合法ダウンロードサービスの利用状況、 合法ダウンロードを利用しない理由、デジタルダウンロード購入の頻度、デジタルダウンロード購入数、ダウンロードで購入する理由、ダウンロード後の行動、合法ダウンロードサイトの活用状況、ダウンロード購入された楽曲の別の望ましい利用方法、ダウンロード行動について、ダウンロードされた楽曲の聴取率、ダウンロードがCD購入に与える影響、ダウンロードが音楽への支出に与える影響、ダウンロード購入への支出、今後のダウンロード購入への支出、デジタルダウンロードの価格設定に対する態度、1曲単位でのダウンロードに対する態度、音楽ビデオのダウンロード

Personal Digital Music Player (p.67)

デジタル音楽プレイヤーの所有率、年齢層別のデジタル音楽プレイヤー所有率、デジタル音楽プレイヤー年齢層ごとの市場浸透率、所有デジタル音楽プレイヤーのブランド、ストレージスペースの問題

Unauthorised Downloading (p.73)

無許可の音楽ダウンロードの現状、無許可のダウンロードの今後の意図、よりダウンロードするようになると回答した理由(全体、男女別、年齢層別)、よりダウンロードしなくなると回答した理由(全体、男女別、年齢層別)

Mobile Downloading (p.80)

モバイルでの音楽ダウンロード、モバイルでダウンロードしない理由、モバイルでダウンロードする理由、モバイルでのダウンロードへの選好

Familiarity & Attitudes Towards DRM (p.85)

DRMについての知識、DRMへの態度、DRMフリーの割増料金についての態度

と、ずいぶん長くなってしまったが、これだけのトピックと、これだけの項目を扱っている。なお、括弧内は該当ページ。もちろん、これは英国に限定される調査結果ではあるものの、デジタルミュージックイシューに興味のある人達を満足させるだけの、包括的な内容になっているだろう。個人的にも非常に興味深い内容だと思う。

今回、TorrentFreakで扱っているトピックは、73ページ目からのものとなる。注目すべきは、これからの違法ファイル共有活動の意図であろう。上記に記されているように、頻度が増すだろうと回答した人々は、2005年、2006年から増加を続けており、一方で頻度が減るだろうと回答した人は、減少を続けている。まぁ、現状維持と増加群が6割、減少群が4割という結果になっている。

増加するだろうとした人々は、無料だから(91%)、探しているものが見つかる(42%)、ブロードバンドを利用しているから(15%)、品質が向上している(10%)、違法性を気にしていない(5%)、逮捕されるとは思っていない(4%)、という理由のようだ。

一方で、減少するだろうとした人々は、ウィルスが心配(33%)、訴えられるのが心配(33%)、法律に詳しくなった(25%)、アーティストに対してフェアではないから(25%)、スパイウェアが心配(18%)、合法サイトよりも品質がよくない(17%)、時間がかかりすぎる(10%)、探しているものを見つけにくい(8%)、という理由のようだ。

まぁ、頻度が増すにしても、減るにしても、利己的な理由が上位を占めている部分がある。ただ、減るだろうとした人々のうち、25%はアーティストに対してフェアではない、という態度を持っており、それによって(たとえ意図であったとしても)減少するだろうと考えていることは、なかなか興味深い。

個人的な推測としては、全体的に昨年に比べてリーガルな側面に対する懸念が減少しつつあるように思える。IFPIをはじめとする著作権団体の訴訟戦略が影を潜めているか、というと、そのようなことはなく、昨年の終わりにはこれまでで最大規模の8,000件を超える訴訟を行っているし、その訴訟戦略の継続も約束している。 にもかかわらず、自分は捕まらない、気にならない、という割合の増加、訴えられると思っている人達の減少などを考えると、その時々の要因による誤差も考えられるが、ただ訴えるだけの戦略というのは、一定以上の効果はなく、その継続によって効果は鈍化していくことが考えられる。数十万人でババ抜きをしていて、誰が自分にジョーカーが廻ってくると予想するだろうか(トランプは53枚しかないよ、という突っ込みはナシで)

まぁ、フェアな言い方をすれば、これは私の持論であるのだが、違法ファイル共有に対する戦略を行いつつ、それに代わるオルタナティブなものが一般的な魅力を持たなければ、海賊たちの活動を抑制することはできないと考える。オルタナティブの存在(たとえばJoost)がより充実していくことが、海賊行為以外の選択肢を選択させる。P2Pの特性上、ユーザの減少はネットワーク規模の縮小にも繋がる(もちろん、絶対的にではないにしても)。

良くも悪くも、デジタルミュージックはフロンティアであり、従来のモデルを無理やり当てはめようとするには、あまりにも自由すぎる。しかし、その自由度の高さがあればこそ、ここまで(まさに良くも悪くも)繁栄しているのだろう。それを殺すようなやり方をすれば、失敗するのは当然のこと。たとえ違法ではあっても、人々の中には、それを活かす方法が既に存在しているのだから。

この調査に関しては、それぞれのトピックごとに何度か考えてみたいので、折に触れて紹介してみたいと思う。1度に紹介しきれるだけのボリュームじゃないってこれ。まぁ、それだけに素晴らしい調査でもあるんだけどね。

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