スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

著作権侵害未遂も違法化へ:米国強化版知的財産権犯罪取締法2007は誰にターゲットにしている?

アメリカ著作権法入門 CNET Japanでも報道されているので、多くの人が知っているかもしれないのだけれども、著作権法違反の厳罰化、拡張、著作権侵害の未遂であっても既遂と同様の罰則が科せられるという条項などが 盛り込まれた法案、強化版知的財産権犯罪取締法2007が、米国下院議員によって提出されたよ、というお話。ここでもっとも気になるのは、この法案は誰をターゲットとしているか、である。それに関して、ars technicaはこれは刑事犯罪を扱ったもので、その要件の中に利益取得のために行われたもの、という条項が存在する以上、通常民事訴訟の対象となるP2Pファイル共有ユーザがターゲットになることはないんじゃないの?と述べている。一方で、EFFは、これがiPodやTiVoなど大量のコピーを扱った場合には相当危険なものになるとして批判しており、さらに、P2Pファイル共有ユーザに対する損害賠償請求の拡大を狙っているかもしれない、ともいう。

原典:ars technica
原題:"Attempted infringement" appears in new House intellectual property bill
著者:Nate Anderson
日付:July 30, 2007
URL:http://arstechnica.com/news.ars/post/20070730-attempted-infringment-
appears-in-new-house-intellectual-property-bill.html

話は5月に遡る。司法省は米国知的財産権法を強化し、「未遂の侵害」を違法とするための法案を提出した。現在、この法案に基づく審議が、Steve Chabot下院議員(オハイオ州選出、共和党)によって議会にもたらされた。それは違反者に対するより厳しい懲役、議論の多い「未遂の侵害」条項などが含まれる。

H.R. 3155, the Intellectual Property Enhanced Criminal Enforcement Act of 2007(訳注:PDF)は、幅広い目的を持っている。全てはセクションごとに記載されており、劇場での無許可の映画の撮影、コピープロテクションの回避、偽造商品の取引などを対象にしている。また、この法案は、香港やブダペストに在住している人々を捜査するために、司法長官が連邦捜査官を送り込むことを可能にもする。さらに、その際のFBI調査チームの人員数や構成までも指定している。

ここで扱われているほとんどのケースで、この法案は単に既存の罰則を2倍にしているようにも思える。たとえばセクション12だけを見ても、10年の懲役を20年に、3年を6年に、5年を10年に、6年を12年にしている。なんとまぁ!より長い刑期だこと!

この法案で主に議論をかもしている点としては、たとえ、そのような侵害が実際に起こらなかったとしても、人々が刑事的著作権侵害の容疑を受けるということである。「パラグラフ(1)において、犯罪を犯そうと試みるいかなる人においても、その犯罪に対して定められている罰則と同じ罰則の主体となり、その罪は、試みた対象となる。」と法案にはある(訳注:つまり、実際に侵害行為を行った場合と同様の刑罰が下される)。

著作権侵害はしばしば民事の問題だけであると思われがちだが、そうではない。米連邦法典 セクション506 (a) では、政府が実際に施行することのできる刑事的侵害の条件がつづられている、そしてそれは非常に限定されている。侵害は計画的でなければならず、当該の材料は1,000ドル以上の総小売価値を持たなければならない。これを、多くのP2Pファイル共有ユーザに対する取り掛かりとするのはさほど難しいことではない。ただし、このセクションが「商業的利益または個人の財政的取得のために」なされた侵害を要件としているということを除いてではあるのだが。

未遂の侵害条項は、実際には刑事的侵害法規に含まれることになる。これが意味することは、裁判所が突如として「商業的利益または個人の財政的取得」を非常に広範囲に解釈しない限りは、ファイル共有には当てはまらないということである。政府には、そのようなケースに対する新たな関心があるようには思えない。

この法案は、EFFのような団体が嫌いそうな種類のものが山盛りである。実際、EEFはこの法案を批判する声明を既に公表している。彼らが懸念している1つのものは、この法律のわずかな変化が、別の理由付けによって、カジュアルP2Pユーザに大きな影響を及ぼしかねないというものである。つまり、法令の損害賠償が拡大された後に、P2Pユーザが侵害に対する、より多大な処罰を科せられる可能性がある、ということである。

この法案は、「派生的著作物、またはコンピレーションを、1つの作品をみなすのではなく、それぞれに損害賠償を振り分けることを裁判官に許すものである。たとえば、アルバム全体をコピーすることは個々の楽曲に対する侵害とされる。たとえそれらの楽曲が、それぞれ分離されていないとしても。」と、(訳注:EFFの)Derek Slaterは述べている。

なぜ、EFFのSlaterが侵害を個々の対象に振り分けていることに不満を覚えているか、については、2点ほど理由がある。

1点目は、レコードレーベルが侵害を訴え、それに対する損害賠償を求める際には、本来彼らが受けた損害を証明する必要はなく、著作権法に基づき750ドルから30,000ドルに設定することができると主張する。もちろん、これは裁判によって調整されるのだろうが、下限は750ドルである。ある人が10曲入りのアルバムを10枚共有していたとしよう。普通に考えれば、10枚のアルバムの著作権を侵害した、という感覚かもしれないが、レコードレーベルは合計100曲の著作権が侵害されたとして訴える。そうなれば、賠償額は一気に10倍、最低7,500ドルから75,000ドルに一気に跳ね上がる。ただ、1つ1つの楽曲が著作物だと思われる人もいるかもしれない。それは正しい。しかし、こと損害賠償ということになると、やはりおかしい、おかしすぎる。

別の例を出そう。1枚の映画のDVDと、1枚の音楽のCD(10曲いり)があったとしよう。それに対する損害賠償を求めるとして、前者だと最低750ドル、後者は7,500ドル。この数字は果たして損害を妥当に反映しているのだろうか?さらに、これがTiVoやiPodなど大量のコピーを扱う製品に向けられた場合、相当な額が提示されることになるだろう。今回の法案は損害賠償額を吊り上げる狙いもあるのだとEFFは考えているようだ。

2点目は、一方でアルバムを個々の著作物に分割しておきながら、レコードレーベルにとって都合のいいときにだけ、アルバム全体を1つの作品として扱っているという事実をアンフェアだと指摘する。これは、レコードレーベルがアーティストの復帰権を剥奪するために、1つの作品としてアルバムを登録するというやり方に由来する。どうもこれは、RIAAが2000年以降、著作権法改正の際に滑り込ませてきたものらしく、アルバムを『編集盤』、または『総体的な作品』とすることで、『借り物としての作品』として、レーベルが完全に所有することになり、アーティストに権利が復帰しない仕組みになっているのだとか。この辺は読み違えがあるかもしれないので、原典のEEF Deep Linkを参照してほしい。

と、このようなレーベル側のご都合主義が非難されている。ただ、EEFは今回の法案をP2Pファイル共有ユーザへの民事訴訟(それとも刑事訴訟?)にまで拡張して話を進めている感もあり、arsの解釈とは異なる部分もある。この点に関しては、法案をよく読んでみないとわからないのかもしれないのだけれども、それもなかなか難儀だったりする・・・。手抜きでごめん。

この法案の補足として、CNET Japanの記事によると、「未遂の侵害(著作権侵害を企てる行為)」とは、たとえば2人以上で著作権侵害の「陰謀」をたくらんだ場合に適用される、としている。また、罰則に関しては終身刑が科される場合もあるらしく、「仮に犯罪者が自らの行為を通じて、故意に、あるいは無謀にも人の死を招いた、あるいは招こうとした」ケースでは、終身刑も適用される。個人的には、それがもはや著作権法違反なのかすら、怪しいと思うのだが。

上述されたように、この法案ではコピープロテクションの回避に関しても扱っている。DMCAに規定される罰則は10年以下の懲役、100万ドル以下の罰金となっているが、それに加えて、侵害者が犯罪行為に使用した財産、犯罪行為によって直接的、間接的に取得した利益の全てが没収される。更にこの没収規定は、他の著作権関連犯罪においても規定されている。

今回の法案に関して、MPAAや、Copyright Alliance(MPAAやRIAAが最近組織した著作権ロビー団体)は、この法案の提出を称賛している。

ただ、この法案が通過するかどうかに関しては、本家のCNETでは、司法長官を嫌う民主党が優勢の議会にあっては、その成立はどうなるかはわからないだろうとした上で、下院知的財産権小委員会の委員長Howard Berman民主党議員をハリウッドフレンドリーな人物だと評し、『政治的に強力な有権者』が彼の元に要望を持ち込むだけの十分な時間がある、としている。場合によっては・・・ということだろうか。

個人的には、侵害の未遂に関しては、映画盗撮を劇場での取り締まりを超えて更に拡大せんとする商業海賊行為への対策という側面が強いようにも思えるのだが、これまでのRIAA等著作権団体のやりようを見ていると、単純にその枠内だけでの運用にとどまらない何かを仕掛けていそうな気もしないでもない。まぁ成立しないことを祈るばかりだが。

Trackback

Trackback URL
http://peer2peer.blog79.fc2.com/tb.php/621-cc1bd1cd

Comment

Comment Form
公開設定

プロフィール
heatwave Author
:heatwave

RSS Jamendo twitter tumblr Creative Commons Attribution 2.1 Japan
ブログ内検索
記事リスト
最新の記事
全記事一覧
他所で書いてるブログ

P2Pとかその辺のお話@はてな

アーカイブ

カテゴリー
最近のコメント
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。