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ドイツ、P2Pファイル共有訴訟における音楽業界の行き詰まり:民事訴訟のための刑事訴訟は認められない

Germanyドイツでは2006年までに20,000人以上のファイル共有ユーザが訴えられている。そして今年から、毎月1,000人規模の対P2Pファイル共有ユーザ訴訟を行うとも明言されている。その手法は、まずP2Pファイル共有ネットワーク上で違法ファイル共有ユーザの情報を収集し、それを元に刑事訴訟を起こす、そのプロセスで特定された当該のユーザの情報を元に、音楽産業が民事訴訟を起こす、というもの。しかし、このような民事訴訟のための刑事訴訟の乱発は、その訴訟件数の多さから数百万ドル規模のコストがかかり、それは税金によってまかなわれている。

原典:P2P Blog
原題:German P2P lawsuits hit roadblock
著者:Janko Roettgers
日付:July 31, 2007
URL:http://www.p2p-blog.com/item-340.html

先週後半、ドイツ地方法定がP2Pファイル共有ユーザへの刑事訴訟は法的根拠を持ち得ないと判断したことで、ドイツのエンターテインメント産業は、P2Pダウンロードに対する法廷闘争に障害を抱えることとなった。ドイツオッフェンブルグ法廷は、検察官は、単にP2Pユーザがライツホルダーの許諾なく数曲のMP3を共有していたというだけでは、そのユーザの個人名を提出するようISPに命ずることはできないと判断した、とheise.deは報じている。

ドイツは、P2P訴訟の最前線であった。ドイツ音楽産業は、2006年までに20,000人以上のファイル共有ユーザを告訴し、今年は毎月1,000人のユーザを告訴すると約束していた。

これらの訴訟は、米国よりも若干複雑となっている。ドイツでは、ライツホルダーは氏名不詳の被告に対する民事訴訟を起こすことはできない。それが、ライツホルダーたちが、まずはじめに著作権侵害の容疑をかけられた各ユーザに対して、刑事訴訟を起こす理由である。検察官はこれら刑事事件においてユーザの身元を明らかにする。そして、産業はその後、それに続く民事訴訟においてユーザを追い詰めるためにその個人情報を利用する。

しかし、検察官は次第に、音楽業界に汚れ仕事を押し付けられることを快く思わなくなったようだ。昨年後半、地方州検事総長はこれらの訴訟には納税者の税金が数百万ドルも浪費されていることを明らかにした。地元当局は、より深刻な訴訟に対応するため(訳注:無駄な訴訟を切り捨てて、適切な効率を維持するために)、数多くの訴訟を取り下げ始めた。オルデンブルグの判決は、法廷がこれらの感情にはじめて呼応したことを示すだろう。そして、複数正面で音楽業界の議論が徐々に弱体化している。

さらに、ユーザがダウンロードしたものを再配布するよう仕込む、または強制するP2Pソフトウェアに関して、産業はその意図を証明することはできない、とも述べられた。ついに、産業の二重訴訟戦略に対しても疑問が呈された。法廷では、これによって第一に得られないであろうデータへのアクセスを目的とした策略である可能性がある、と述べられている*1

判決は他のP2P訴訟においても自動的に優先されるというわけではない。しかし、heise.deは、ドイツ国内での他のP2P訴訟においても、類似した判決がすぐにでも下されるかもしれない、と述べている。このことは、ドイツ音楽産業の訴訟キャンペーンが行き詰りつつあることを示すのだろう。

*1 P2Pファイル共有ネットワーク上での調査では、IPアドレスと共有しているファイル、そしてその時間などの情報を得ることはできるが、当該のユーザを特定できるだけのデータは取得できない。しかし、それを元に刑事訴訟を起こし、そこで得られた個人情報を元に民事訴訟を起こすという戦略を産業側はとっている。それを指して、刑事訴訟を起こした本当の目的は、(P2Pネットワーク上の調査だけでは得られない)ユーザの個人情報の取得なのではないか、と懐疑的に見ているということ。

個人的には、身から出た錆かなと。もちろん、刑事責任を問える犯罪なのだから、刑事訴訟を起こすことは何ら問題はないのだが、そこに潜む本来の目的が民事訴訟(と、その後の和解)であるのだから、やはり問題となる。個人的には、訴訟キャンペーンを起こすのであれば、刑事訴訟のみにしておき、それによって抑制効果を期待する方が、よっぽど合理的だと思うのだが、こと音楽産業の法務の方々は、法が禁じていないのであればそれハックしてもかまわないと信じてやまないのだろう。

端的に言えば、欲張りすぎたのだ。調子に乗ってやりすぎたら、薮蛇だったと。もちろん、法が認めている権利を行使しているだけでもあるのだが、それも度が過ぎれば今回のような結末をもたらすことになる。単に彼らの手法が認められなくなりつつあるばかりか、彼らの主張すら認められなかったのである。

今回の判決で興味深いのは、アップロードを強制する類のP2Pソフトウェア(たとえば、WinnyやBitTorrent)においては、産業側がユーザの意図性を立証できていない、ということを指摘している。このことは、P2Pネットワーク上で著作物をアップロードしている事実だけでは、その意図性は判断し得ない、ということである。つまり、BitTorrentでいえば、ユーザはそのファイルをダウンロードするためにBitTorrentを利用しているのであり、アップロードする意図はないかもしれない、ということ。さらに、Winnyの場合はダウンロードにすらユーザの意思が反映されないこと(中継)もあるわけで、更にその意図性の判断が難しくなる。

ユーザのへの追及が難しくなりつつある以上、著作権団体が次にターゲットとするのは、ISPといったところなのかしら?これまでのP2Pファイル共有ユーザに対する法的措置によって海賊行為が継続的に抑制されたということはなく、むしろ増加の一途をたどっていることを考えると、単純に取締りを強化するだけでは違法ファイル共有を減少させることは不可能であるということを、うすうす彼らも感づいてはいるだろう。そうなれば、元を断つという意味も込めてBitTorrentサイトなどへのアクセスの遮断や、P2Pトラフィックのフィルタリング、ブロックを求める流れがよりいっそう強まってくるかもしれない。

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