2007.08.04 Sat
米国:19歳の少女、映画を20秒間録画したとして逮捕
映画『トランスフォーマー』を見たがっていた弟に、私は見てきたよ、と自慢するためだろうか、映画のクライマックスシーンをデジタルカメラで撮影した19歳の少女が、映画への海賊行為の容疑で逮捕され、最高懲役1年、罰金2,500ドルの可能性に直面しているよというお話。彼女が撮影した場面は20秒。海賊盤を作成するためでも、YouTubeにアップロードするつもりだったわけでもない。そして、彼女を逮捕することで、映画産業が声高に訴えてきた甚大なる損害を回復されるものでもない。
原典:TorrentFreak
原題:Teen Arrested for Recording 20 Second Movie Clip
著者:Ernesto
日付:August 02, 2007
URL:http://torrentfreak.com/teen-arrested-for-recording-
20-second-movie-clip/
19歳の少女、Jhannet Sejasは、彼女の弟に見せるために映画『Transformer』を20秒間のクリップを録画したと同時に、警察に逮捕された。彼女は現在、最高1年の懲役、最大2,500ドルの罰金を科せられる可能性がある。
Sejasは、アーリントンの劇場で彼女のボーイフレンドと19回目の誕生日を祝っていた。彼女が短いクリップを録画した数分後、警察が飛び込んできて、「海賊行為」の容疑で彼女を拘留した。Sejasとボーイフレンドはすぐさま警察に付き添われて映画館の外に出された。何が起こったのかすら理解できず混乱したまま。「私は叫んでいました。私はこれまでこんなトラブルにあったことはなかったのですから。」と、彼女は警察署に連行されている最中のことを話す。
もちろん、Sejasにはその600ミリ秒のクリップを販売するという意図はなかったし、YouTubeにアップロードするつもりもなかった。彼女がしたかった唯一のことは、彼女の13歳の弟に見せることだった。彼女の弟は映画を見たくて仕方がなかったのだそうだ。不幸なことに、劇場のオーナーは誰しもが海賊になりうるとして、新たに、いかなる違反をも許さないポリシーを導入したばかりだった。
米国映画館主組合(National Association of Theater Owners)代表のKendrick Macdowellはこれに関して、「私たちは、劇場のマネージャーに対して、何を許容べきかという裁判官や陪審員であるよう教育することはできません。劇場マネージャーはその(映画の)窃盗の良し悪しを区別することができないのです。」と語る。
盗みの良し悪し?イカれてやがる!こいつは、自分が何について話しているのかわかっちゃいない。もし、全ての劇場オーナーがこのように観客を扱うのであれば、いまよりずっとお金を失い始めるだろう。彼らが批判しているのは誰だ?そう、海賊だ。
S
ここでは、詳細は割愛されているが、当初劇場の従業員がそれに気づき、マネージャーがカメラを取り上げ、警察を呼んだ、というのが事の顛末らしい。警察の発表によると、劇場側の要請に基づき、立件したとのこと。
冒頭にも記したが、彼女は弟に見せるために、デジタルカメラでクライマックスシーンを20秒間撮影した。もちろん、これは違法行為ではあるのだが、しかしそこまで躍起になって逮捕だ裁判だと騒ぎ立てるほどのことだろうか。
劇場のオーナーも取り上げたデジカメを見て、たかだか20秒の動画であることは確認しただろう。それでも彼は訴えることにしたのだろうか?そこに何のメリットが存在するというのだろうか?
MPAAは映画海賊行為によって甚大なる侵害を受けているとして、ロビィ活動の末に(そして他の条項との抱き合わせの甲斐もあって)Family Entertainment and Copyright Actを成立させた。これによって、映画の盗撮や上映期間前、期間中の映画のファイル共有などを禁じることができた。しかし、その背景にあったのは、MPAAが声高に訴えてきた(あるんだかないんだかわからない)甚大なる損害であった。
では今回のケース、デジカメで映画を20秒間撮影したSejasを検挙することで、映画産業の損害が1セントでも回復するのだろうか。残念ながらそんなことはないだろう。むしろ、善良な(そして少し羽目をはずしてしまう)2人のカップルを失い、この報道を知った多くの人に不信感を与えることになっただけだろう。
このケースが示す教訓は、結局のところ、法案成立当初の高尚な目的と、それが妥当な範囲で運用されるなどという口約束はいつだって忘れ去られる、ってことかもね。いったん可決されれば、ほとぼりの冷めたころにそれを最大限に利用することになるのだろう。たとえそれが何のメリットがなかったとしても。なぜなら、彼らにとって著作権ってのは一般市民には絶対不可侵なる神聖なもの、なんだろうからね。触れるだけでもおこがましい、ってところかしら。
ちなみに、このデジカメはボーイフレンドの妹のものなんだとか。19歳の誕生日の記念を収めようとしたカメラで、ちょっと画面を写してみた、その程度の他愛ないことなんだろうけどね。
**追記**
はてブ以下のようなコメントをもらった。
最大値で量刑を書いている時点で煽り臭がにおってくるわけだけど。/でもってこれが通ったら今度はバカが「20秒までの撮影は合法」とか言い出す予感。
OK、煽ってるよ。それでも判決が出されていない以上、最大量刑で語ってもいいんじゃない?
で、後半。「20秒までの撮影は合法」なんていいだしたとしても、拘束力なんてないんだから、実際には何の意味もない。たとえば、速度超過で捕まって、他の奴らだってみんなスピード違反してるじゃないか、というのが何の意味もないように。別に認めろといっているわけじゃない、ただ、ちょっと羽目を外した程度なら、厳しく注意してその映像を削除させるだけでもいいじゃないかということ。それでも「20秒までの撮影は合法」なんて言い張って拒むのであれば、それは然るべき措置をとってもいいとは思う。
そもそも、この法律、FECA自体が海賊業者(やネット上への海賊版の流出)を防ぐために成立したわけで(さらに、DVD規制への反発を緩和するためのご都合主義的な側面もあるし)、市民の私的複製まで制限していいのか、という議論だってある。映画海賊天国と揶揄されているカナダでも同様の議論があるし、しかもそれは現在進行形だ。
ともすれば、市民の私的複製を制限してしまうけれども、それを隠れ蓑にした海賊業者が跋扈しているからこそ、劇場での盗撮行為を原則禁止にしようという話になっている。あくまでもターゲットは海賊業者、そんな中で、結局は一市民が私的複製のために(羽目を外したとはいえ)20秒程度撮影したくらいで逮捕、というところまで行き着けば、やはりこのような議論は考え直さなければならない、という流れができるかもしれない。少なくとも、EFFあたりはそう考えるだろう。
結局、誰にとってどのようなメリットがあるのかを考えれば、杓子定規でこのような運用をすること自体が馬鹿馬鹿しいと思える。
ちょっと言い足りなかった部分もあったので、補足って感じです。
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Re: 米国:19歳の少女、映画を20秒間録画したとして逮捕
有名な言葉「法律というのは杓子定規でなければならない。役人というのは融通が利いてはならない、一箇所緩めば全てを許すことになる」
これは法というものを他者に守らせる上での根本原則みたいなものです。
たとえば「30秒ぐらいいいだろう」というのであれば「じゃあ、35秒は?」「1分は?」「1分30秒は?」と様々な事例を引き合いに出され、収拾が付かなくなるからです。
万引きに例えれば、何百円以下のものであれば罪にならない、といった類の話ではないはずです。
もちろん、被疑者の心情や背景などを考慮に入れて判決を下すことは重要です。ですが、この場合「私たちは1秒であろうと、子供であろうと盗撮行為を許しません」という明確な意思表示として捉えるべきだと思います。
| ttn | 2007/08/07 18:53 | URL | ≫ EDIT