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米国ISP Comcast、暗号化されたBitTorrent転送の帯域制御を開始か

Comcastこれまで多くのISPが、P2Pファイル共有によるトラフィックに悩まされており、その解決のためにP2Pファイル共有プロトコルに対して、帯域制御を行ってきた。ただ、制御とは言うものの、実質的には利用できない程度まで規制されていた、というほうが正しい表現かもしれない。しかし、それに対してユーザやクライアント側は、パケット監視の目を逃れるため、プロトコルの暗号化を施すことで、その規制を回避してきた。しかし、このたびComcastが、そのプロトコルの暗号化によっても回避できない方法を用いて帯域制御を行ったことで、同社のサービスを利用する多くのBitTorrentユーザがBitTorrentでの転送を出なくなっているよというお話。ちなみに、このお話はGIGAZINEでも紹介されていたので、まぁいっか、と思っていたのだけれども、はてブ上でリクエストを頂いたので、書いてみることにしました。なかなか嬉しいものです。

原典:TorrentFreak
原題:Comcast Throttles BitTorrent Traffic, Seeding Impossible
著者:Ernesto
日付:Ausugt 17, 2007
URL:http://torrentfreak.com/comcast-throttles-bittorrent-traffic-seeding-impossible/

先週、より多くのComcastユーザが、BitTorrentでの転送が切断されることに気付いただろう。大部分のユーザがダウンロード速度の激減を報告しており、更に悪いことに、ダウンロードしたものをseedできないという状況に陥っている。プライベートトラッカーでのBitTorrentの転送速度を上げるために、ポジティブなRatio(訳注:1以上のratio)を維持したいと考える人々にとっての悪夢といえよう。

ISPは、ここ2年の間、BitTorrentトラフィックを制御してきた。大半のISPは、BitTorrentトラフィックに利用されるバンド幅を制限するだけであった。しかし、Comcastはさらに一歩進んで、彼らの顧客がSeedするのを妨げている。Comcastはこれに関しては唯一のISPではなく、カナダのISP、CogecoやRogersも(Comcastよりは)小さい規模のISPながらも同様の手段を用いている。

残念なことに、これらの積極的な制御手段は、単にBitTorrentクライアントを暗号化することによって回避することが出来ない。Comcastは、BitTorrentトラフィックを制御するために、Sandvineのアプリケーションを使用していると報告されている。Sandvineは、接続された新たなPeerはComcastユーザでない場合には、2,3秒の後に、その全ての(seed)接続を切断する。これは実質的に、ファイルの転送を不可能にする。特に、他にComcastユーザの存在しない小さなSwarmにおいては。一部のユーザたちはそれでもまだ少数のPeerに接続できると報告している。しかし、大部分のComcastユーザがアップロード速度の激減に直面している。

制御はこのようにして働く。Swarm内の誰かに接続した数秒後、SandvineアプリケーションはPeerリセットメッセージ(PSTフラグ)を送り、アップロードは即座に停止する。比較的小さなSwarmにいるユーザは、ファイルをアップロード可能なほんの2,3人のPeerしかいないために、最もその影響を受ける。Seedだけが防がれるようで、ダウンロードが行われている間はアップロードが可能である。しかし、いったんダウンロードが終了すれば、アップロード速度は0にまで低下する。また、一部のユーザはダウンロード速度の激減を報告しているが、これは広範囲にわたるというものではないようだ。プライベートトラッカーでは、おそらくより小さなSwarmのサイズのために、更に悪いことになる。

BitTorrentプロトコルの暗号化が帯域制御の多くの形式に有効であるとされているが、この特定のケースではその助けとはならない。VPN、まはたSSHを介した、セキュアな接続をセットアップすることが、唯一の解決方法であるようだ。SSHを介したBitTorrentのセットアップ方法に関しての詳細な情報はこちらから。

昨年、我々は帯域制御の是非について議論をした。そしてISPがBitTorrentのようなアプリケーションを好ましく思っていないということは明白であった。「実際、(私の見解では)P2Pは疫病-癌-です。それは私たちが提供しうる全ての帯域幅を消費しつくします。それは飽くなき欲求です。」また別の者は、「P2Pアプリケーションはネットワークを麻痺させることが出来ます。それらはまるでヒルのようです。1.5-3.0mbpsの回線に49,99ドルを支払うことは、ISPのネットワーク上で、全てのユーザにとっての良いネットワークエクスペリエンスに悪影響を及ぼす、いかなるプロトコルをも利用する権限を与えられる、ということを意味しているわけではないのです。」

一方で、消費者は自分の回線をフルに使うことを好ましく思い、帯域制御が正しいソリューションであることには同意しない。ある読者はコメントする。「インターネット回線に支払いをするのであれば、それはISPからインターネット回線を取得しているということである。Webブラウジングしたり、メールチェックをしたりする以外には、ほとんど利用してはいけない。ISPが消費者が転送するデータの量の問題を抱えているのであれば、ISPはその顧客の問題に対処する必要があります。あるクラスのトラフィックで、全てのユーザを制限するのではありません。」

私は、この戦いがまだまだしばらく続くように思える。少なくともComcastユーザにはこの帯域制御を回避するためにVPN接続をセットアップするようお勧めする。他のISPのユーザでも、帯域制御されていることがわかったら、まずはじめにBitTorrentの暗号化を試してみるといいだろう。大抵のケースでうまく働くようだから。

Sandvineアプリケーションについての詳細はこちら

なんだか不思議な帯域制御にも見えるけれど、それでもComcastユーザ同士のアップロード以外を認めていないこと、ダウンロードが終了したあとにはアップロードは停止することなどからも、この制御によって抑制されるトラフィックは相当なものだろう。つまり、他ISPとの間の転送を防ぎ、かつダウンロード終了後のSeedを防ぐことで大幅に帯域が抑制されるのだということ。

このような帯域制御とプロトコル暗号化に関する議論は、上述の記事にリンクされている記事を元に、以前いろいろと考えてみた。今でも、その考えは変わっていないので、帯域制御の是非、帯域制御の是非に関しては、こちらのエントリをば。

このような暗号化すら通用しなくなる帯域制御に関して、BitTorrentプロトコルの開発者、Bram Cohenは以前、暗号化による帯域制御の回避は一時的な回避策に過ぎないことをインタビューの中で語っている。実際、そのような「帯域制御回避」回避は、既に、たとえばカナダのISP、Rogersによって行われている。今回の件はそれが更に大規模なISPによって現実のものとなった、ということだろう。

Bram Cohenは暗号化による帯域制御回避ではなく、ISPに対して直接的なアプローチによって状況を改善することがベターだとしている。つまり、ISPに対して、帯域制御をやめるよう求め、それが受け入れられないのであれば、そのISPを離れろという。それによってユーザの考えを示すべきだと。確かにそれは正しい。ただ、実際にはほとんどのISPで帯域制御が行われているし、ユーザにはその詳細があまり伝わってこない。ユーザ同士での情報交換によって、程度の概要はつかめるものの、それでも確実な情報とはいいがたい部分がある。

確かに、ISPがP2Pファイル共有によって負担しているトラフィックは膨大なものとなっている。それゆえ、帯域制御、帯域規制を行うことに関しては、致し方ない部分がある。限られたリソースを利用者の間で共用しているわけだから、一部のユーザが過剰に使うことで他のユーザの利用にネガティブな影響を与えるという状況は改善する必要があるだろう。

ただ、それでも帯域制御は適切なバランスを保つために用いられるべきである。決して、P2P転送を出来なくする、その効率を意味のないものにするという立場で行われるべきではない。P2Pファイル共有を認めつつも、一定の限界の中でそれを制限しなければならない、というスタンスでなければ、単純にP2Pを塞ごうという発想に陥ってしまう。PlalaなどはまさにそうしたISPだっただろう。

比較的、インターネットトラフィックが増大する時間帯にもフルでP2Pファイル共有を利用できるくらいに、バックボーンがしっかりしていればいいのだけれども、現状は実際にはそうではない。もちろんそれは、ISPの設備の問題でもあるが、一方では激増するP2Pトラフィックの問題でもある。少なくとも、2つの問題がある以上、片方がだけが(強制的に)譲歩せざるを得ない状況というのは好ましくない。現状では、規制を回避するためには暗号化に頼るか(Comcastはそれすらもできなくしようとしているが)、ISPを変えるかしかない。

しかし、上述の問題から、ISPを変えようとしても適切な情報がもたらされてはいない。 結局、ISPを変えることが確実な解決法とは限らないのである。帯域制御が必要なことは認めるけれども、でれば個々人がどの程度それを必要としているか、という点から、そのISPを判断しうるだけの情報が提供されてしかるべきである(DTIのように1日15GBまでのアップロード、とか。ただ、そのDTIもダウンロードに対して帯域制御を行っているという指摘もあるが、それは公式には公表されていない)。

なかなかにP2Pファイル共有に対する帯域制御の問題は根が深い。現状のP2Pファイル共有を眺めるとやはり違法ファイル共有のためのツールとして利用されている場合がほとんどである。しかも、一部の人達に、という認識の下で。そして、その一部の、違法ファイル共有ユーザが、帯域幅を占有していると指摘されている。そうした状況が、ISPに帯域制御を過剰なものとするのを正当化させる。違法ファイル共有ユーザだからいいだろう、とは明示しないにしても、その背景にはそういった認識が暗黙のうちにあるのだと考えているのだろう。

このような状況があるがゆえに、P2Pファイル共有に対する安易な帯域制御が可能となっている。一方で、P2P同様に過剰な負担を強いているYouTubeなどのビデオ共有サイトが生み出すトラフィックに対しては、規制せよ、制御すべきだという発言は見られない。もちろん、インフラただ乗り論争などもあるが、それを規制によって何とかしようという方向を向いてはいない。

個人的な意見としては、やはり現状ではP2Pプロトコルの暗号化は必要だと思う。少なくとも上述の理由で、通常の利用さえままならない状況であることは否定し得ない。その中で利用していくためには、その帯域制御を回避するための手段は必要不可欠である(むしろ、そういった状況が作り出されている)。

しかし、それはBram Cohenの言うように、一時的な対処に過ぎない。結局のところ、何がしかの方法(Bram Cohenは暗号化されたとしても、転送パターンを利用することで帯域制御は可能であると述べている)での制御が行われることになる。だからこそ、彼はISPに対して声をあげ、それに対処するコストを生じさせることが、ISPを動かすことに繋がるのだ、と述べている。

個人的には、上記のような短期的、長期的な2つのソリューションがあるのだと考えている。しかし、その短期的な解決方法はこのようにしてふさがれつつある。もちろん、それは望ましいことだとは思ってはいないが、現実的にはこのようなことが起こりうるのは不可避である。また、Bram Cohenの言うように、ISPに対して声を上げるという解決方法は確か望ましいことではあるが、上述の通り、現状では単に違法ファイル共有ユーザの戯言と一蹴されてしまうかもしれない。ファイル共有が転送プロトコルとしてスタンダードとなることはなかなかに考えにくいことではあるけれども、それでも転送のために一般的に利用されるプロトコルとなること、それがこのような帯域制御をより妥当なものとするためには必要な要素なのだと考えている。そのためには、BitTorrentなりその他のP2Pファイル共有プロトコルを、合法的な用途で、誰にはばかることなく多くの人が利用している、そんな状況が必要になってくるのかな、と思ったりもする。

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| | 2008.04.22 22:43
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けん | URL | 2009.11.05 01:36
「不kな王にする」はおかしいです。
heatwave | URL | 2009.11.07 03:46 | Edit
けんさん

「不可能にする」のミスタイプでした…。ご指摘に感謝しつつ、修正させてもらいました。ありがとうございました。
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