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RIAAの前訴訟的和解戦略:身に覚えのないファイル共有に対して警告状が送付されてきたという学生の訴え

RIAAはこれまで、全米の大学に対し、キャンパスネットワーク上から違法ファイル共有を行ったとされる学生に和解を要求する前訴訟的和解警告状を転送するよう求めてきた。それによって、RIAAは大学生を実際に訴えるというリスクを冒すことも、その証拠を集めるためのコストをかけることもなく、多くの大学生から和解金をせしめてきた。それに対しては、確固たる証拠を提示することも無く、大学に対して一方的に学生の個人情報の開示を要求することに対しては、強い批判もなされてきた。そして、今回、とあるペンシルバニアの大学に通う大学生が身に覚えのない異邦ファイル共有に対して、和解金を支払うよう求める警告状が4通も、しかも彼がそのような行為を行っていないという確固足るアリバイがあるにもかかわらず、送られてきたよ、というお話。

原典:The Something Awful Forums
原題:I have 38 days until the RIAA files suit against me
著者:Post Modern Meta
日付:August 18, 2007
URL:http://forums.somethingawful.com/showthread.php?threadid=2596741&userid=0&perpage=40&pagenumber=1

これはあまりに不条理なことなのです。私は今日、1通ではなく4通の著作権(侵害を訴える)警告状を受け取りました。私の大学が私の名前を提出することを強制させられるまでに、8月15日から40日の猶予しかありません。その後、私は訴えられるでしょう。

これのおかしな点は、問題の曲と、いつ、ということです。申し立てでは、私は3月最終週の木曜と金曜の夜の50の楽曲をダウンロードしたとされています。私は決してこれらの曲をダウンロードしてはいません(したこともありません)。

 Song List

その容疑のかけられている時間帯には、私は友愛会に参加していたのです。私は図書館ではなく、それらの晩、出なければ行けなかったパーティに参加していました。私の無実を証明するものは目一杯あります。また、IPアドレスは私の部屋のものではなく、大学の図書館のものでした。どうして私の大学は、私が知りもしない罪を、私になすりつけたのでしょうか。私は、警告状を送付してきた(大学の)サイバーセキュリティの責任者にメールを送りました。私は不安のまま、彼の反論を待っています。

和解警告状はここにあります。

Letter
Letter

また、私はp2plawsuits.comをチェックしました。彼らは3,000ドルで和解に応じてくれるようです。

そのような和解を4つも抱えているなんて、なんて恐ろしいことでしょう。私は、ファイナルカウントダウン(訳注:彼がダウンロードしたとされる楽曲)のために12,000ドルを無駄にしなければなりません。

これに続く彼のレスを見ると、彼はアップロードもダウンロードもしていない、4つの警告状には2つの異なるIPアドレスが記載されている、彼がその二晩、家にいなかったことは、一緒に友愛会に参加していた40名の同窓生が証言してくれる、大学図書館のIPだということはWHOISで調べた、EEFに連絡し助けを求めた(が、EFFですらRIAAに抗しうるのかはわからない)、RIAAは経済的に反撃する余裕のない大学生を付け狙っているのだろう、MACアドレスって何だ?ってなことを発言している。

このような事態に対して、私は批判してきたのだけれども、やはりそれが実際に起こってしまったというところだろう。この学生は、疑いをかけられている時間帯の確固たるアリバイを持ちえているために、強く主張することが出来るのだけれども、それがない学生ではどうなっていたかと思うと恐ろしいことだ。

この件に関しては、GIGAZINEにも取り上げられており、その反応が数多く見られているけれども、しばらくこの件について追いかけている私からも少しコメントを。

・このような誤った警告状の送付は脅迫であり、RIAAを訴えるべき

私もそうできればそれがいいと思うのだけれども、RIAAが狡猾なのは、今回の件に関してRIAAには責任がないということである。例え今回の件でRIAAを訴えたとしても、RIAA側の言い分としては、彼らは当該のIPアドレスを割り当てられたユーザに対して警告状を転送するよう、キャンパスネットワークを管理する大学に要請しただけであり、その過程で誤りが生じたいのだとすれば、大学当局にその責任がある、というだろう。確かに、今回の件は大学当局が送付する相手を間違ったことに起因する。しかし、このようなエラーが生じるのを承知でRIAAはこのような警告状を乱発しているのだ。少なくとも、IPアドレスは個人と特定する手段として万能のものではない

また、たとえRIAAに責任のあるケースだったとしても、莫大な資金力、弁護士軍団、法的ノウハウを擁するRIAAに個人が立ち向かうというのは、現実的なオプションではない(かなり腹立たしいけどね)。これまで、RIAAの誤りを法廷で認めさせ、法的費用の補償を求めたケースですら、ほんのわずかなケースでしか勝利を掴んではいない。たとえ正当な主張であっても、法廷は正しいものの味方ではなく、法律や裁判を如何に操るかに長けているものの味方でしかない。

・ダウンロードは違法ではない

これに関しては、同意したいところなのだけれども、今回の件はどうもBitTorrentの使用に関わるもののようだ。そうなれば、BitTorrentの仕様上、ダウンロードとアップロードは同義ということになる。ただ、私はBitTorrentを使用していたからといって、アップロードの意図があったのかどうか、は明確には出来ないと思うけどもね。もちろん、それは法廷で争うべきことだと考えている。その辺の曖昧さを残したまま、このような法的な手続きを経ない方法を用いていることには憤りを覚える。

・日本のJASRACに当たるRIAA

細かい突っ込みだけれども、JASRACは著作権者から許諾を得て、著作権使用料を徴収する団体。米国で言えば、ASCAPやBMI、SESACに当たる。RIAAは、レコード産業の業界団体であり、Warner(米国)、EMI(英国)、Vivendi Universal(フランス)、Sony BMG(日本およびドイツ)といった4大メジャーがイニシアチブを握っている。日本で言えばRIAJに当たる。

もちろん、著作権(利権)ビジネスをより拡大しようとしているところは同一ではあるのだけれども、JASRACがほぼ同組織のために活動を行っているのに対して(もちろん、大手クライアントたちの意向も存在するのだろうが)、RIAAはよりダイレクトにレコードレーベルの意向を受けている。むしろ、RIAAは意向を受けているというよりも、4大メジャーの行動そのものだったりもする。なぜ、RIAAという団体が矢面に立っているかといえば、4大メジャーが先頭を切ってこのような活動を行うことはブランドイメージを損ねることになるためである。もちろん、批判されることにはなるが、RIAAをいう便利な存在が槍玉にあがってくれるおかげで、致命的な非難を浴びることはないのである。

まぁ、その辺はJASRACにも通ずるところはあるのだけれどもね。日本でも実際に、著作権ビジネスを牛耳っているのはJASRACではない。JASRACはそのあまりにきわどい取立てや過度の著作権の拡張に尽力しているために批判されることが多いが、著作権ビジネスを利権化し、そこから利益を吸い上げているのは、アーティストから著作権を奪うレコードレーベルであり、原盤権を独占し、実演権を奪うレコード製作会社なのである。ある意味では、そのような構造から目を背けさせてくれる存在としてJASRACは著作権使用料の徴収以外にも重宝されているのかもしれない(音楽を出版することはいわゆるギャンブルであり、それゆえに保護される対象でもある、という議論は理解しているが、それでも過度に行き過ぎれば問題であろう。存在意義を理由に、その運用の全てを肯定するような議論は個人的には好きじゃない)。

・日本でも同様のことが・・・

既に起こっている。2005年、IFPIの一斉訴訟戦略の一部として、RIAJがファイル共有ユーザ44名のISPに対して、当該ユーザの身元開示請求を行ったというもの。そうして開示された個人情報を元に、RIAJは和解or訴訟を迫っている。もちろん、この一件は小規模なものであり、ISP側も相当な注意を払って個人を特定したことが考えられるが、上記のRIAAの戦術と同様にたとえIPアドレスから個人が特定されたとしても、その個人が実際にファイル共有を行い著作権を侵害していたかどうかは定かではない。もちろん、侵害を行っていた可能性はきわめて高いのだけれども(RIAJ側も調査した中でも確実といえるものを選別してリストアップしたものと考えられる)、もし、RIAJの調査、またはIPアドレスからの個人の特定の過程で誤りが生じていたとしても、訴えられた個人には、何が問題なのかは理解できるものではない。ともすれば、ことを大きくしたくないがために、和解に応じるということも考えられなくはない。

 

いかにしてインターネット上の著作権侵害を抑制するのか、という議論は必要だし、そのようなユーザに如何にして責任を取らせるか、という手段を考えることも必要である。しかし、だからといって、それが疑われているというだけでどう扱ってもよいというわけではない。そのようなユーザを如何にして正確に特定することが出来るのか、それを如何に実現していくのか、についてもっと突っ込んだ議論が必要である。少なくとも、多少のエラーはしょうがない、という姿勢でこのような戦略をとりつつ、その責任は一切負うつもりはない、というRIAAのやり方にを私は認めない。

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