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映画『トランスフォーマー』を20秒間録画した女の子の逮捕は「見せしめ」?

以前に紹介した、19歳の女の子が映画『トランスフォーマー』を弟に見せるために、20秒間、彼女のデジカメで撮影したことで、逮捕されてしまった、という事件は、彼女が罪を認め、71ドルの罰金を支払うという結末を迎えたようだ。このようなあまりにも厳しい事態を引き起こしたのは、その現場となったReagal Cimenasという映画館の館主が、群検事に起訴するよう強く要求した、という背景があるようだよというお話。まぁ、更にその背後にもいろいろな存在があるのだろうけれども、もともとが商業的な映画海賊行為を取り締まるはずの法律が、それとは無関係の事態にまで適用されることは違和感を覚える。

原典:TorrentFreak
原題:Regal Cinemas Make Example out of Teen for 20 Second Transformers Recording
著者:Ernesto
日付:August 24, 2007
URL:http://torrentfreak.com/regal-cinemas-make-example-out-of-
teen-for-20-second-transformers-recording/

先月、地元映画館で映画「トランスフォーマー」の20秒間のクリップを録画したとして逮捕されていた女の子、Jhannet Sejasは、罪を認め、71ドルの罰金を支払うことに同意した。Regal Sinemasは、アーリントン群検事に対しSejasを告訴するよう圧力をかけた。彼らは彼女を見せしめにしたかったようだ。

バージニア州アーリントンのティーンエイジャーSejasは、彼女の兄弟に見せてあげるために、彼女の携帯電話でほんの少し映画を録画した。新たな非寛容方針のもと、Regal CinemasはSejasを逮捕させるために警察を呼び、彼らはすぐさま駆けつけた。

この録画によって、Regal Cinemasにもトランスフォーマーの制作者にもいかなる損失を生み出しはしなかった。しかし、Regal Cinemasは、彼女を見せしめのために、起訴することにした。

アーリントン群検事官のRichard Troddenは、Wiredブロガーに対して、Regal Cinemasは繰り返し、起訴するよう要求してきたと応えた。「彼らはこういっている。『あなた方は、彼女にそれが正しいことではなかったと認めさせることが出来る』。彼らはそのメッセージを現実のものとしたかったようだ。」

確かに、Sejasは後にこう述べている。「私は、それが許されていないことを、すっかり忘れていました。明らかに思慮を欠いてそれをしたのです。」

司法取引で、Sejasは罪を認め映画の違法な録音録画を行ったことに対して71ドルの罰金を支払った。その行為は、最大で罰金2,500ドル、懲役1年の計が下される可能性のあるものであった。この法律は、映画産業に圧力をかけられているバージニア州やその他37の州に存在する。

Regal Cinemasにもトランスフォーマーの制作者にも、Sejasが20秒間の携帯電話程度の画質のクリップを(訳注:弟と)共有することで、いかなる損失をも被るものではない。Sejasがそれが誤った行為であるということを思い出だせなかった理由は、彼女には犯罪を犯そうとする意図がなかったということである!Sejasの弟に20秒間の低画質のクリップを見せてあげることがフェアユースに含まれていたとすれば、彼女はいかなる著作権侵害の容疑を受けることもなかった、ということを考えて欲しい。

数年前、MPAAは著作権法は彼らが賛同するには不十分なものである、と述べている。その代わりに、産業はいかなる行為をも著作権侵害とする新しい著作権法を構築し、Sejasのような罪の無い犠牲者がそれに引っかかるのを待ち、そしてそのような人達を見せしめに仕掛ければならないようだ。

以前のエントリのコメントでも、少なくとも違法とされている以上、それは犯罪であり、彼女が逮捕されるというのは妥当だ、という意見を頂いた。しかし私が言いたいのは、このような映画海賊行為とは無関係で、映画産業に損失を与えないような瑣末なものにまで厳しい措置を取るのであれば、このような法律はおかしい、ということ。

見せしめ的な逮捕を許容しうるかどうかは個々人の信条によって異なるのだろうが、好意的に見れば、確かに厳格な適用をもって彼らの海賊行為に対する態度を示す、という効果はあるだろう。しかし、その一方で、その当事者となったSejasは、このことを一生引きずっていかなければならない。犯罪を犯したのだから当然だ、と思われるのかもしれないが、私はこれを犯罪とすべきだとは思っていない。

映画海賊行為の取り締まりが強化されている背景には、それまでは映画の盗撮を取り締まる法律がなかった、ということがある。もちろん、盗撮した映画を販売すれば、著作権侵害になる。しかし、劇場で盗撮している人物を捕らえたとしても、その時点では、その人物の撮ったビデオが商用海賊行為に繋がっているということを立証できないため、警察に突き出すことはできなかった。少なくとも、私的複製との区別をつけることが出来ず、取締りが困難であったのである。

それを克服するために、米国では映画の撮影自体を違法とするFamily Entertainment and Copyright Act of 2005( pdf )を成立させ、それによって映画の盗撮行為だけで逮捕することを可能にした。これによって、それまで捕らえることのできなかった「商業的海賊行為のために映画を盗撮する人々」を逮捕することが出来るようになったのである(もちろん、経済的な利益を目的としていないファイル共有にリークしようする人々も含まれるだろう)。

このような人々を対象にするということには、何ら異論は無い。少なくとの上記の人々は、映画産業の経済的な損失を与えうる存在である。しかし、上述の理由から、映画海賊業者以外の人々も含めた広範な範囲がその法律によって取締りの対象となった。決して、彼女のような経済的な損失を与えないような盗撮に対して向けられたものではなかったとしても、海賊業者を摘発するためには止む終えないことであったのである。

しかし、そのような経済的に損失を与えないようなことにまで、適用されるというのが現実のものとなった。少なくとも、このような事態を望んだのは、他ならぬRegal Cinemasである。Sejasに対して、二度としないよう誓わせることも、劇場から追い出すことも、出きり禁止にすることも出来た。でもRegal Cinemasが選んだのは、厳格な法の適用であった。容易に商業的海賊行為に利用されないだろうということが理解できる状況であったにもかかわらず、だ。

私は映画館で映画を盗撮している人々など、海賊業者以外にはいないだろうと思っていた。しかし、現実はそうではなかった。しっかりしたビデオカメラでなくとも、携帯電話やデジカメのビデオ機能のように、より簡単に、ちょっとしたビデオクリップを撮影することが、より当たり前のことになっているのかもしれない。そうした人達の中には、悪意なく、ちょっと映画を撮影しちゃおうという人達もいるかもしれない。そうした悪意のない人達にまで、このような厳格な対処を行うことが、何の意味があるのだろうと疑問に思う。

全米映画館主協会のPatrick Corcoranはこう述べている。

クリップであれ、映画全体であれ、映画館での無許可の録画は違法であるということを人々に教育する取り組みに、このの一件が寄与することを願っています。

彼らの敵は一体誰なのだろうか。少なくとも、彼らが敵視しているのは海賊業者や違法アップローダだけではないようだ。

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Comment

匿名のPeerさん | URL | 2007.08.31 02:44 | Edit
こう、あからさまに敵意をぶつけられると意地でも映画館に行くものかと思うでしょうね。
匿名のPeerさん | URL | 2007.08.31 06:38
見せしめは何の意味もないと思うなあ
映画撮影で食ってる人間が少なからずいるとするなら
見せしめがあったとしてもなくなるはずがない

どれだけ見せしめになる対象がいても、銃器の密売や違法カジノや麻薬の密売がなくならないように
heatwave | URL | 2007.09.02 00:37
コメントありがとうございます。

ソースは失念したのですが、現地の人が書いているブログで、Regal Cinemasに行くのを止めよう!というエントリを見たことがあります。実際にそう思う人が出てくるのも十分予想できることなのに何ともいえないところです。もちろん、Regal Cinemasが被る損害などたかが知れているのでしょうが、それでもRegal Cimenasは今回の頑なな姿勢によって利益どころか、(わずかとはいえ)損失を生じさせているのですよね。何とも馬鹿馬鹿しいお話ですね。

見せしめについては賛否両論あるところだとは思うのですが、個人的にはいくら見せしめだとしても、相手を選ぶべきだろうなと思う次第です。これが海賊業者であれば、理解もできるのですが、大して悪意もなく、しかも経済的損失を及ぼすとも思えない相手をわざわざ選んでいることにやるせなさを覚えます。

見せしめの効果については、不勉強なものでそれほど知っているわけではないのですが、もし効果があったとしても、海賊行為を実際に行っているか遺族業者が萎縮するというのは考えにくいですよね。もちろん、Regal Cinemasが海賊業者に狙われるというリスクは減りますが(少なくともこの報道のおかげで、海賊業者はそRegal Cinemasでの活動を控えるでしょう)、それでも別の場所でやるでしょうね。結局映画海賊行為そのものを抑制することはできないでしょうが、Regal CinemasがMPAAなどから文句を言われることは無いということですね。まぁ、本当にそうしたいだけなら、海賊業者そのものをターゲットにすればいいだけのような気もしますけどね。捕まえれば報道されるし、海賊業者業界でもあそこは厳しいぞという噂が立ちますから。だのに、なぜわざわざこのような見せしめをしているのだろうかというところに疑問を覚えます。
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