2007.09.25 Tue
「ニコニコ動画で気がついてしまったこと」で気がついたこと
ニコニコ動画で気が付いてしまったこと - しんたろサンの日記
この記事からトラックバックを受けたので見に行ってみたのだけれども、なんだかすごくもやもやしたので、それを書き記すのと、そこからちょっと思ったことをつらつらと。私と同じくもやもやな人向けのエントリ。
どうも上記記事の筆者は、ニコニコ動画を指標にして、メジャーアーティストのプロモーションビデオのView数が少ないことから「メジャーレーベルはもはや斜陽産業」という結論を導き出している。メジャーレーベルが斜陽気味なのは同意なのだが、論理展開としてちょっと無理があるかなぁという気もする。産業としての停滞を迎えているのはメジャーレーベルだけではなく、インディペンデントもそんな感じっぽいしね。どっちかというと音楽産業全体の停滞かしらね。
次に、その結論に至った論理を一問一答形式で述べている。
ニコニコ動画では、いろいろなPVがアップされて誰でもタダで視聴できるにもかかわらず、ほとんどの人がそんなものには見向きもしてないという現実があるということ。なんでニコニコ動画では、こんなにPVの人気がないのか?
参考にあげているリンクを眺めていたのだけれど、大体メジャーアーティストのPVは1ヶ月で2,000くらいな感じ。もちろん、それ以上、それ以下のPVもあるけど。この辺はふーんと思いながら眺めていたのだけれども、その次からの論理展開に違和感を感じた。
・著作権侵害でニコニコの運営に支障が出るのでユーザーが遠慮しているのか?
いや、それは無い(笑)なぜなら、アニメの違法UPが安定した人気を保っている。
確かにユーザが遠慮しているってことはないのには同意。ただ、ユーザがアップロードを控えるという動機づけは、サービスに配慮して、という要因よりも、違法アップロードによるリスクの要因のほうが大きいとは思う。
・ニコニコには音楽を趣味にする人が来ていない?
いや、それもおかしい。もしそうなら、初音ミクにこんな高レベルな作品がUPされて人気を博す説明がつかない。
いや、さすがにこれは無理があるでしょ。主観のほうが強いかなと思う。初音ミク自体を否定するわけではないけど(個人的にはVOCALOIDには期待してるよ)、まだまだ一過性のお祭りの域を出ていないと思うのね。現状では、アニソン好きとか2ちゃん/ニコニコのノリな人以外にはなかなか受け入れられないと思うよ。もちろん、音楽好きでも、これは良い、って言う人もいるだろうけど、一般受けはしないんじゃない?
・PVはニコニコの特徴(ユーザーのコメント)と相性が悪いのか?
そうかぁ?ツッコミ所満載のPVっていっぱいあるよなぁ?
この部分は自覚していると思うけど、相当無理がある。 ツッコミどころがあるPV自体あまり思いつかないし、それがネタとして面白いかどうかとも別物。一般的なPVの視聴行動(とその欲求)が、コメントとはそれほど食い合わせの良いものではないってのもあるのではないかな?
・ニコニコにはオタクしかいないからオシャレなPVはがらに合わないのか?
おもいっきりオタクをターゲットにしたようなアイドルのPVも人気無いですけど?
アニオタとアイドルオタって層が違うと思うけどなぁ。あまり詳しくはないけれど、ちょっと前のアイドルブームって結局はバブルみたいなもので(第何世代かはわからんが)今は縮小しているとは思う。ただ、それが一概にメジャーレーベル全体を代表するかというとまた別のお話だと思う。
この議論全般を通して、ユーザ層の違いをあまり考慮していないかなという印象を受ける。ニコニコ動画を過度に一般化しすぎているのだろうなぁと思ったりもする。そもそもPVを見たい層にしてみれば、コメントと一緒に楽しむというよりは、PVそれそのものを楽しみたいというスタイルのほうがすっきりくるし。でもって、ニコニコをエンジョイしている層ってのは、PVを待ったり眺めるよりは、バシバシコメントをいれて楽しみたい層が多いのかなって思ったりもする。その辺はジャンルごとにView数とコメ数の比率を見てみると楽しいかもしれないね。
また、アニメと音楽を市場規模を比べてみれば、少なくとも国内においては、たとえジリ貧が続いている音楽産業といえども、音楽の市場規模のほうが依然として大きい(アニメ産業全体の市場規模と比べても、音楽のパッケージだけの市場規模には届かない)。フェアな考え方をすれば、ニコニコ動画には音楽PVを求める層よりも、アニメを求める層のほうが多い、という推測がスマートかなと。
違法視聴し放題の有名サイトで全然カウント数上がってませんけど?というツッコミを誰か入れてあげてください。彼らは完全に裸の王様です。
ちなみに、ニコニコ動画ではなくYouTubeなんかだとそれなりのView数のものも数多くある。適当なアーティスト名で検索して、View Countで並び替えてみればなんとなくでもわかるだろう。メジャーなアーティストだと 多くて1PVにつき5万view/月くらいな感じかな?海外のアーティストだと、1年で100万view超えしているPVも少なくない。まぁ、ニコニコ動画がクローズドなのに対して(レジストしなきゃいけないって意味でね)、YouTubeがオープン(エンベッドできるし)なのも影響しているだろうけどね。でもって、音楽系ようつべブログのアクセス数を見てもかなりなものだしねぇ。
個人的には、音楽産業は衰退を続けているけれど致命的なところにまでは(まだ)いたってはいないと思っている(市場にあわせた規模の縮小は必要かなぁと思うけど)。ただ、それでも多くの人々が現在の音楽に対してそれほど強くは動機づけられなくなっているのかなという印象は抱いているけれどもね。音楽産業の課題としては、購入する意思はないけれども、ちょっと視聴してみたいという人たちから、購買行動を促すことによって、またはそれ以外の手段によっていかに利益を上げることができるかを考えることなんだと思う。
さて、もやもやを少しはすっきりさせたところで、次のエントリではPVの配信について考えてみたいなぁと思う。
| ビデオ共有サイト | comments:11 | trackbacks:0 | TOP↑



Re: 「ニコニコ動画で気がついてしまったこと」で気がついたこと
音楽好きな人は少ないって言う反論”以外”は同意。
| 短信 | 2007/09/25 23:18 | URL | ≫ EDIT