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「YouTubeを視聴しただけで違法」は誤解・・・には思えない現状の曖昧さ

大富豪にはローカルルールというのがあって、地域地域で通用するルール、通用しないルールがある。しばしば、いろんな地域の人たちと大富豪をすると、そのローカルルールでもめるときがある。大富豪では一般的にジョーカーが最強のカードになるのだが、ローカルルールによってはジョーカーに対してはスペードの3が勝つというものがあるのだそうだ。もちろん、最初にルールを決めておけばもめることはないのだが、中にはそれをローカルルールだと考えていない人もいるので、まぁ、もめるもめる。日常的なお遊びの場面でもめる程度であれば、最悪の事態となったとしても、当事者間の関係が崩壊する程度で済むのだけれどね(まぁ、これしきのことで崩壊するのも考え物だが)。ただ、それが裁判で白黒つけようや、となると話は異なってくる。まぁ、くだらないたとえ話だけれども、個人的にはそんな印象。とりあえずはその辺のお話から。

「YouTubeを視聴しただけで違法」というのは誤解だ、と叫ぶ割には、それが合法的に許されているという確固たる後ろ盾が存在しないようだ。ダウンロード行為を私的複製から除外するという法改正は、ある意味では著作権産業側がジョーカーを手に入れることになる。ワイルドカードみたいなもの。で、以前のエントリでは、YouTubeの視聴はローカルPC内にキャッシュとしてコンテンツを複製を生成するために、違法行為となりうるのではないか、と指摘した。

もちろん、それに対しては「PC内のローカルキャッシュは複製に当たらない」という解釈が存在するのも理解している。まぁ、上記の例でいえばスペ3みたいなもの。ただ、現状はそれが確実に通るかどうかがわからないという不明確な状況にある。「そんなん認められるわけねーよ」という人もいるだろう。もちろん、私もそう思う。しかし問題なのは、「いや、認められるよ」という人も存在するということだ。

ここを明確にしない限り、YouTubeを視聴しただけで違法になるなんて誤解だ、などとは決していえないのだ。

キャッシュは複製に当たるのか

では、ローカルキャッシュは複製に当たるのか、文化庁著作権課の川瀬真がそれに答えている。

「それが複製にあたるかどうかの知識はない」と前置きした上で、2006年1月に提出された文化審議会著作権分科会報告書の内容を紹介。それによれば、文化審議会著作権分科会に設けられた「法制小委員会」において、仮に現行の著作権法でキャッシュが「複製」と解釈されても、権利制限を加えるべきではないとする見解が示され、法改正事項として挙げられていると答えた。

「法改正後はYouTube見るだけで違法」は誤解、文化庁が見解示す - InternetWatch

キャッシュが複製とみなされても、権利制限を加えるべきではないという「見解」が示されていて、法改正事項に含まれる「かもしれない」と、「知識がない」人がいう(本当はあるのだろうけど)。まぁ、要はどうなるかわかりませんということだろう。

それを考えると、

視聴のみを目的とするストリーミング配信は一般にダウンロードを伴わないため、動画共有サイトを視聴するだけでは違法行為にはならないとする見解を示した。

「法改正後はYouTube見るだけで違法」は誤解、文化庁が見解示す - InternetWatch

というのはあまりにも危うい議論だ。この辺の議論に関しては、ITmediaの記事内でも疑問視されている。

 ただキャッシュとして一時的にPC本体に蓄積する場合や、ストリーミングを保存できるソフトも販売されていることを考えると「ストリーミングはダウン ロード(=複製)ではない」と言い切ることは難しい。ストリーミングの扱いについては今後、同委員会とは別に著作権分科会に設けられたデジタル対応ワーキ ングチームなどで議論する予定という。

このようなコンピュータとキャッシュ等複製の問題に関しては、栗原潔のテクノロジー時評Ver2で解説がなされているので、ご一読することをお勧めしたい。

「ストリーミング」が何を指すもの

上記の点については、はてブやブログ、掲示板など各所で散々指摘されている箇所であるが、ちょっと考えてみよう。「ストリーミングってダウンロードはしてるだろ、何を言っているんだ?」という指摘はご尤もなのだけれども、おそらくその辺は、JASRAC的な定義に基づいているのだと思う(言いだしっぺがJASRACかどうかはわからないけど)。ダウンロードとストリーミングというのは、JASRAC的な発想からすると、前者がローカルPCに複製を生成すること、後者がローカルPCに複製を生成しないことを意味するのだと理解している(この辺のコラムがわかりやすいかな?)。以前のエントリもそんな感じで大別している。要は、ローカルに保存するかしないか、という点で区別しているのだと思われる(ストリーミングであっても、RAMには蓄積されるわけだけれどもね)。

もう1つ指摘すべき点としては、YouTubeは擬似ストリーミングであるために、上記の説明では、YouTubeが違法行為とならないという説明にはならない。つまり、上記の発言によって、説明されるのは純粋なストリーミング配信(adobeの糞高いFlash Media Serviceを利用するサイトなど)であり、YouTubeはそうではない。

さて、以前にも紹介したYahoo!ビデオキャストとJASRACに間に交わされた使用許諾契約を覚えているだろうか。その前提条件としてJASRACが提示したのは、サービスがストリーミング形式であること、だ。それが意味することは、擬似ストリーミングであってはならない、ということだろう(歌詞の表示に関しても、道新の歌詞引用問題でダウンロードとストリーミングを分け(printable or notだったっけ?)、ローカルに保存されるものと、そうではないものを明確にしている。元記事が見つからなかったので、はてぶ)。

このような著作権団体側のストリーミングと擬似ストリーミングを明確に区別するような動きを見ていると、今回のこの擬似ストリーミング(プログレッシブって言ったほうがいいのかしら?)とストリーミングとを混同させるような発言を行っているのにも、非常に違和感を覚える。

結局のところ、ここでの問題は2点、ストリーミングとダウンロードの区別がどのようなものを指しているのか(ストリーミング or 擬似ストリーミング or キャッシュとして以外の保存、それぞれを明確に区別する必要がある)、それに付随してキャッシュは複製に当たるのか、ということだろう。ここを明示しない限り、「ストリーミング配信サービスは検討の対象外」という脚注を加えたところで意味はない。

曖昧さの功罪:誰も保証はしてくれない

なぜ、私がある意味では瑣末な部分にこだわるかというと、「ヤだなぁ、YouTubeまで制限するつもりじゃないですよぉ」的な解釈は、ごく一部の著作権者だけの意見に過ぎないからである。確かに、RIAJ自体は、YouTubeを視聴しただけで、そのユーザを訴えるということはしないかもしれない。しかし、全ての著作権者がRIAJのメンバーというわけでもないし、たとえRIAJのメンバーであったとしても、団体の方針に個人が絶対服従しなければならないということはない。

つまり、YouTubeの視聴は問題ではないというのは、この委員会の一部の人たちの意見でしかない。法的にキャッシュは複製ではなく、その生成によって著作権侵害とはなりえない、という確証なくしては、たぶん大丈夫だと思います、という主観的な意見としかいいようがない。

仮にではあるが、実際にある著作権者がYouTubeの視聴したユーザに対して、違法にダウンロードしたんだ、と主張して、裁判を起こしたとする(もしくは、裁判を起こすぞ、と脅す)。では、この委員会メンバーがこのような著作権者の動きを制止することが可能なのだろうか?おそらくは、我々の解釈外のことだった、そのような主張をするのも権利者の権利、などというのだろう。少なくとも自分達が約束を反故にしたわけではないのだから、しょうがないだろう、というスタンスを貫くに違いない。

結局、訴えられた人(もしくは訴えるぞと言われた人)は、誰のサポートをも受けることができず、経済的に富める人と裁判で争わざるを得ない状況に直面する。現実的に考えれば、戦うことを選択しない、という方が当然だろう。もちろん、戦うことなく白旗を揚げてくれることを訴えた側も望んではいるのだろうが。

まぁ、何が言いたいかというと、確かにローカルキャッシュは複製には当たらないという非常に賛同できる解釈がある一方で、そうは思わない人たちが、RIAA/MPAA的な手法を用いて、ユーザを訴訟に拠らずに(つまり明確な証拠もなく)訴えるぞーと脅迫することが可能となるという状況は回避すべきだということ。

曖昧さの功罪:合法サイト? or 違法サイト?

また、別の曖昧さが、更なる問題を生むことにもなる。

津田委員はさらに「30条が改正されれば、違法サイトからのダウンロードが違法であるとの啓発活動も活発にされるだろうが、その一方で例えば JASRAC(日本音楽著作権協会)の名前をかたって『おまえは違法サイトからダウンロードしたから金を払え』というような架空請求が増える可能性があ る。ユーザーにとって違法サイトかどうかの判断は難しく、架空請求の被害を受ける可能性がある」と懸念を表明した。

「YouTubeの違法コンテンツも見るだけで違法」は誤解だが…… - ITmedia News

この法改正通ったらレコード協会は間違いなく新聞の全面広告とかに「違法ファイルをダウンロードすることが違法行為になりました。ダメ!ぜったい!」って いうキャンペーンやるよ。そういう啓発のために適法マークも作るだろうし、この適法マークも違法業者からしたらとても良い騙すための材料になるんじゃない かな。「お前、適法マーク付いてないサイトから、ファイルを違法にダウンロードしただろう。訴えられたくなかったら下記口座に振り込め」みたいな自動スク リプトで動くサイト作って、今までより効率よく稼ぎましょうなんて業者も出てくるような気がする。

 果たしてレコード会社みたいに一部の音楽著作権者の利益を守るために社会不安につながるような改正しちゃっていいの?っていう根本的な疑問は常にある。

この問題も、RIAJの言うような適法マークの限界などによってももたらされる可能性がある。この問題は以前から述べてきたが、適法マークなどといっても、RIAJメンバーやJASRACなど(JASRACが参加するという話になっているわけではないが、たとえとして、ね)、その適法マークに参加している団体が保証してくれるだけに過ぎない。厳密に言えば、その適法マークに参加している団体の著作物のみを扱うWebサイトにしか、そのマークを付与することはできない。

また、参加団体が管理していない著作物を有するサイトに、適法マークを付与したとすれば、それはまた新たな問題を生むことになる。もし、彼らが管理していない著作物が当該のサイトにおいて著作権を侵害されていたとすれば、その適法マークの示す適法性とは何を意味することになるのだろう。それとも、適法マーク団体が管理していない著作物に対しても、きちんとした権利処理がなされているのかどうかをしっかり審査してくれるのだろうか?現実的に考えてそれはないだろう。

現実的には、彼らがコントローラビリティを持つWebサイトのみが合法認定を受け、それ以外のサイトが「違法かもしれない認定」状態のままになる。まぁ、現実的には、世の中の大半サイトが「違法かもしれないサイト」になるということだ。そうなれば、上記のような詐欺の温床ともなりかねない。

もし、一部のサイトにだけに適法マークを付与するわけではないというのであれば、彼らの管理する著作物以外を扱っているサイトに対してどのように適法マークを付与することができるのかを説明しなければならないし、また、適法マークを付与したサイトにおいて、彼らが監理していない著作物への侵害行為がなされていた場合、適法マークを付与したことの責任に同応えるのかを明示して欲しい(それとも全ての著作権者が適法マークを用意しなければならないとでも言うのだろうか?登録制か?さらに言えば、適法サイトというためには、世界中の著作権者から当該のサイトは私の著作権を侵害していませんよ、という承諾を得なければならないわけで。たとえば、私が鼻歌を公開して、それにともなって適法マークを自作したとする。でもiTSはその鼻歌を違法配信する可能性がないわけではないから、適法マークを付与しない、などといったら、iTSも「違法かもしれないサイト」になるのかしらね)。

また、こちらも以前から述べてきたことだが、どのような経緯であれ、適法マークを付与されないサイトからの著作物のダウンロードが抑制されるという可能性もある。もちろん、「情を知って」という文言がある以上、(主観的に)違法サイトだとは思っていなければ、躊躇なくダウンロードしてよいはずである。しかし、RIAJは適法マークこそが適法サイトに冠せられる、つまり違法性、合法性の指標となると言っている以上、違法なダウンロードにならないかどうか気にするユーザにとっては、その行為を躊躇させるものとなりかねない。

結局は、適法であるということを示す、適法マークなどというのはどだい無理のある話で、以前のエントリのブクマfuktommyの人がコメントしてくれたように、「結局悪魔の証明を求められてるわけだからね。むしろ権利侵害のコンテンツには権利侵害マークをつけるべし、とかどうよ。」という意見のほうが、まだ現実的だ(これだってものすごい皮肉なわけだが)。

何のための法律?

実効性が薄く、社会不安にもつながるような法改正で、国民の「情報入手の自由(≠表現の自由)」を制限するってことがそもそもおかしい。もちろん、「悪質な違法コピーまで放置しておけ」なんてことは俺も言ってない。特に、組織ぐるみの海賊版コピーの対策は徹底的にやるべきだ(もっとも、日本の小物ユーザー相手にするより、確信犯的アジア諸国やイタリアなんかの海賊版業者を何とかする方が先でしょ? とも思うけど)とは俺も思う。しかし、日本はネット上での海賊版対策を行うために著作権法を改正して世界でもいち早く「送信可能化権」を作ったわけだし、より犯罪者の抑止力となるように、世界でももっとも著作権侵害が厳罰になるよう改正を行っているわけだ。「権利者の保護」という意味では十分やっているのに、利用者に多大な混乱を招く可能性がある「過剰な権利保護」を今一部の業界のために与えることの意味がわからないし、それこそ「公正」という意味で明らかに偏ったおかしな施策だろう。

私的録音録画小委員会の議論がほぼ決着しました - 音楽配信メモ

太字は引用者(heatwave)。太字ばっかりじゃん、という突っ込みは、いかに引用したパラグラフが重要なことを言っているのかを示していると思う。以前にも指摘したように、日本の著作権法には「送信可能化権」があり、著作権者、著作隣接権者の許諾なく、著作物をアップロードすることは禁じられている。そして、現在、著作権者たちが問題にしている大半のweb上での著作権侵害が、その送信可能化権をもってすれば(つまり、アップローダに対する施行によって)可能であること、また送信可能化権によっても対処しがたいもの(たとえばWinnyなど)に関しては、今回示唆された法改正によっても対処し得ないことは明白である(詳細は以前のエントリを参照のこと)。

このような法改正によって、単に「違法ダウンロードはいけませんよ」といいたいがためだけに、ここまでの混乱を引き起こしても良いのか、混乱にはなりえないにしてもインターネットの利用を潜在的な犯罪行為の上に立脚させてよいのか、と危惧を覚えざるをえない。しかも、一部の人たちだけの利益のために、である。

 

最後に余談。今回の問題に関して、各所の記事、ブログエントリ、ブクマコメント、掲示板などを眺めていたのだけれど、結構JASRACを批判している人が多い。でも、今回の件ってJASRACがどれだけ関わっているかはわからないけど、私の印象としては、(委員会の外においては)芸団協とかレコ協(RIAJ)がフロントマンっぽい気がしたけれど、あまりそちらには批判の目は向いていないような気もする。確かに、JASRACも問題の多い組織ではあるのだけれども、著作権に絡んで、何でもJASRAC非難というのは、何というかある種の思惑にはめられているような気もする。

そんな方には、このエントリを読むことをお勧めする。

いつまでもJASRACを悪の魔王に設定してはいけない。 - しっぽのブログ

タイトルだけだとJASRAC擁護にも見えるけど、何を批判すべきか、何が問題か、ときちんと考えようという内容になっている。まぁ、そんな方でなくてもお勧めなので、未読の方は是非とも読んでいただきたい(未読の人はあまりいないと思うけど・・・、でも今一度読む価値のあるエントリだと思う)。

引用記事(引用順)

原典:Internet Watch
原題:「法改正後はYouTube見るだけで違法」は誤解、文化庁が見解示す
著者:増田 覚
日付:2007/09/26
URL:http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/09/26/16991.html

原典:ITmedia
原題:「YouTubeの違法コンテンツも見るだけで違法」は誤解だが……
著者:宮本真希
日付:2007年09月26日
URL:http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0709/26/news098.html

原典:音楽配信メモ
原題:私的録音録画小委員会の議論がほぼ決着しました
著者:津田大介
日付:2007年9月26日
URL:http://xtc.bz/index.php?ID=474

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ネットの意見を私的録音録画小委員会パブコメ項目に従って勝手に整理した
私的録音録画小委員会の中間整理へのパブリックコメントの締め切りが11月15日と迫ってきているので、自分用にネットで書かれていることをとりあえず並べてみました。中間整理の項目ごとになっているのは、パブリックコメントは項目ごとに書かないといけないから。 これらか
2007.10.30 23:11 | picasの日記
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