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カナダ政府委託調査:ヘビーP2Pファイル共有ユーザほどより多くのCDを購入

カナダにおいて行われた音楽ダウンロードとCDの購買に関する調査によると、P2Pファイル共有ユーザを見たとき、P2Pファイル共有を利用して音楽をダウンロードする頻度の高いユーザほど、より多くのCDを購入していることが示されたよというお話。また、非P2Pファイル共有ユーザを含めた全体としてみたときには、P2Pの利用とCDの購入との間に、ポジティブ、ネガティブ、いずれの関係も見出されなかった。この結果は、P2Pファイル共有の影響というのは、コンテンツ産業がいうほど深刻なものではなく、P2Pファイル共有ユーザがいうほど広告効果があるものでもないことを示すのかもしれない。ちなみに、政府委託調査と強調されるのは、比較的公正な目的で行われた調査である、ということを示す。もちろん、妥当な手法かどうかが保証されるものではないけど。

原典:Michael Geist Blog
原題:Gov't Commissioned Study Finds P2P Downloaders Buy More Music
著者:Michael Geist
日付:November 02, 2007
URL:http://www.michaelgeist.ca/content/view/2347/125/

Industry Canadaによって行われた、音楽の購買習慣における現在までの最も広範囲に及ぶ調査を含む研究によって、多くの人が長きに渡って推測してきた(しかしCRIAが否定してきた)ことを明らかにした。それは、P2PダウンロードとCDの購入との正の相関の存在、である。 The Impact of Music Downloads and P2P File-Sharing on the Purchase of Music: A Study For Industry Canada(音楽ダウンロードおよびP2Pファイル共有が音楽の購買に及ぼす影響)は、ロンドン大学の2名の教授、Industry Canada、Decima Researchの共同によって行われた。彼らは、音楽ダウンロードと購買習慣について、2,000人以上のカナダ人を対象に調査した。著者は、これが代表ミクロエコノミックデータを使用した、初めての経験的研究であると考えている。

2つの重要な発見:

* P2Pダウンロードを行っている層で評価すると、「P2Pファイル共有とCDの購買には強い正の関係性が見られた。つまり、実際にそれに従事している人たちの間では、P2Pファイル共有はCDの購入を増加させる」。この研究では、1ヶ月のP2Pダウンロードが1つ増えるごとに、年間のCD購入枚数が.0440.44枚*1増えると予測している。

* 全体で見たときには(つまり、全カナダ人全体をベースにした場合)、カナダではP2Pファイル共有とCDの購入数との直接的な関連はみられなかった。研究の著者によると、「カナダ全体の集団の分析では、P2Pネットワークからダウンロードされるファイルの数と購入されるCDとの正の関係も、負の関係も見られない。つまり、カナダにおいて、CDの購買に対するP2Pファイル共有のネットエフェクトが、全体としてポジティブなのかネガティブなのかを示す直接的な証拠が存在しないということを示している。」

この研究は、特定の結果を期待して行われたものではない、スポンサーがいたわけではない、ということに留意して欲しい。これは政府がよりよい政策決定を行うために委嘱した独立した研究である。研究の結果は、以前にShelley Stein-Sacksに行われ、産業の問題に対してP2Pを非難することを否定したカナダ遺産省の研究とも一致し、ダウンローダーがより多くの音楽を購入する傾向にあるために、P2Pが実際にCDセールスを増加させることを示している。

研究はその他にもこれまでしばしば議論されたきた問題にも触れている。その発見は以下のようになっている。

  • ここでは、P2PダウンロードとiTunesといったデジタルダウンロードによる購入との統計学的に有意な関連は示されなかった。言い換えると、P2Pダウンロードは、そのような購入物の購入可能性を増大させも減少させもしない
  • CDの価格はCDの購買にほとんど影響を及ぼさないが、価格はP2Pファイル共有の要因として考えられる、という間接的な証拠が認められた
  • デジタルダウンロード購入する人々は、CDを購入しない傾向にある
  • MP3プレイヤーを所有する人々は、CDを購入しない傾向にある
  • 多数のDVD、テレビゲーム、映画、コンサートチケットを購入する人は、より多くのCDを購入する
  • 世帯収入は、CDやデジタルダウンロードの購入に統計学的に有意な影響を及ぼさない

研究は経済学の素人の人にはかなり難しい内容となっている。それでも、そのデータの幅大きさやその発見の重要性を考えると必読の研究である。この議論を(訳注:カナダで問題になっている)私的複製課税からの収入とあわせて考えると、どちらのほうがよりP2Pコピーと関連しているのだろうか。産業がP2Pから利益を得ており、またそれゆえに立法の干渉を必要とする「非常事態」にないということがますます明らかになってきているだろう。

あらかじめお断りしておくと、私はまだこの論文を読んでいない。なので、以下の考察に関しては誤りがあるかもしれないことを念頭に置いて読んでください。この調査の示す結果の解釈および詳細は、原典に当たってくださいな。

まず最初に、1点目が、P2Pファイル共有ユーザだけでみた場合であること、これは因果を示すものではないということ、少なくともこのことはカナダにおける調査結果であることに留意が必要かも。因果を示すものではないってのは、より多くの音楽をダウンロードすることで、CDを購入するようになるのか、それとももともとCDを多く購入する人たちは音楽に対する動機づけが高いために、より多くの音楽をダウンロードするのか、ということまではわからない。また、それと同時に、P2PライトユーザのCD購入がP2Pファイル共有によって抑制されていることも否定し得ない。

ただ、2点目にもあるように、全体としてみたときにはP2Pファイル共有とCDの購入に関しては、正の相関も負の相関も見られてはいない。P2Pファイル共有ユーザだけで見たときに見られた正の相関が見られなかったのは、非P2Pファイル共有ユーザにおいては別の要因が購入を予測させるものであるということを考えると当然といえば当然のお話。

それでも、この事実が示すことは、産業側が常日頃声高に叫んでいるような「非常事態」ではないということだろうか。まぁ、どちらの立場に立つにしても、感情がアンプになっているのだろうね。気に食わない、よくわからない、恐ろしいという感情が、実際よりも被害を拡大させてしまうのだろう。更に言えば、音楽産業にとっては、衰退している彼らへの自他の懐疑的な眼差しを避けるためのスケープゴート的な部分もあるのだろうけれどもね。もちろん、逆の立場にある人にとっては、感情がその被害を実際よりも過小評価させている部分もあるのだろうけど。

まぁ、とりあえずこの調査を纏めると、P2Pファイル共有がCDセールス、デジタル配信セールスに対して、ポジティブな影響、ネガティブな影響のどちらかを与えているとは断言できない、という事実が示されたと。P2Pファイル共有ユーザのみに限定して言えば、より活発にダウンロードしている人ほど、CDを購入していることが示された。

それ以外の点に関して言えば、CDの価格が決して購買とは関連がなかったということかしら?もちろん、ここで示されているのは統計的な検定によって関連を見ているので、「いや、俺は価格が高いから躊躇したことがあるぞ」とかいう個人的な経験は無しで。とりあえず、ここでは、高いから買わないんだ、ということはないけれど、高いからP2Pでダウンロードするという傾向があることが示された、というところでしょうか。

個人的な驚きとしては、P2Pファイル共有を利用していても、デジタルダウンロードに負の影響を与えないのか、ということかしら。もちろん、負の効果を匂わせる結果パターンを示しているのかもしれないけど、その辺は確認してみないとわかんないかもね。あとはMP3プレイヤーを所有している人は、CDを購入しない傾向にある、というのも興味深い。もちろん、これはMP3プレイヤーをもっている人がデジタルダウンロードをしている率が高い一方で、そうじゃない人はあまりデジタルダウンロードしないというところも影響しているのだろうが(デジタルダウンロードがCD購入に負の影響を与えている、ということと多少交絡している部分もあるかと)。

最後にもう1度。私はこの論文を読んでいるわけではなく、あくまでも上記の記事を読んで思ったことを書いているだけです。もしかしたら、調査において因果を推測できるくらいの項目が入っているかもしれないし、ライトユーザの購買が抑制されているわけではない、ということが示されているかもしれません。

*1 はてブ上でID:hejihoguの人に誤りを指摘していただいたので修正。ミスタイプでした。ご指摘ありがとうございます。

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違法ダウンロードされたほうがCDは売れるの法則が判明
著作権違反の違法コピーやそれらをネットで手に入れる違法ダウンロードが問題になって久しいですが、音楽業界にとってはいささか衝撃的とも言える調査結果が発表されました。違法ダウンロードをしてる人ほど音楽CDをたくさん買っている、というものです。以前にもカ....
2007.11.04 13:50 | らばQ
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Comment

匿名のPeerさん | URL | 2007.11.04 12:28
論点がずれているように思いますね

宣伝や購買促進は販売する当事者がするべきものであって
第三者が勝手に著作物をどうこうして購買促進に繋がったとしても
許容されたりそのテクノロジーへの評価が上がるものではありません

第三者が勝手に自由に著作物を経済を介さずにどうこうしてしまう
目に見える経済効果や損失ではなくそれ自体が問題なのではないでしょうか

インテリぶった海賊の論理はどうにも・・・
heatwave | URL | 2007.11.04 21:20 | Edit
ある事象に対する論点は1つに限定されるものでもありませんし、多方面からその事象を捉えることで多様なアプローチを考えることができますし、またその組み合わせによってブレイクスルーが生まれるかもしれません。

少なくともこの調査は、その販売の当事者に対して、ネガ・ポジ両面の効果性を実際を示しうるものであり、その点で意義のあるものだと思っていますし、現在の双方の主張に対して1つの事実を提示することにもなります。決して違法ファイル共有を正当化するものではないと思うのですが・・・。

「第三者が勝手に自由に著作物を経済を介さずにどうこうしてしまう」ことが、「目に見える経済効果や損失」以外にどのような問題を抱えているのでしょう?私は問題解決はシンプルであるべきだと考えていますので、リスナーにとってより多くの音楽を聞ける環境を、音楽産業にとってより多くの利益を上げられる環境を実現する、現実的な解を考えています。
EMANON | URL | 2007.11.05 10:11 | Edit
昨今の著作権の問題は、著作物を創造した人に対しての権益が非常に薄れ、著作物を右から左に動かして大きな利益を得ている人たちが自己の利益を守るためだけに規制をしたがる構造にあります。

違法違法と騒ぎますが、そもそもその法自体が適切かを考えるのは悪いことではない…というより、とても重要なことなのです。

そしてこの記事の調査は著作権法のあり方を考えるための一つの指標になっています。

「違法」を錦の御旗に据えて法のありかたを考えることさえも拒否する人が多いと思いですよね。
それは民主主義に対する拒否ではないのかと…
ふと思ったんだけど | URL | 2007.11.05 11:21
今はそれが法律です
守らない人間は犯罪者となります

法律や行政に問題があると感じるならば
変えるために努力をすべきです

それもせずに高みの見物で善と悪に分けて
gdgdと妄想や僻みで資本家を批判するのは負け犬です

多数決で決まったことを道理に合わないからと
勝手に破ってしまうのは民主主義とはいえません

正直な話、現実や社会というものを軽く見たり
場合によっては自分の都合のよいように単純化していませんか?

もう一度言います
インテリぶった海賊の論理はさっぱりわかりません
いや本当に | URL | 2007.11.06 01:19 | Edit
そりゃ、誰も行為の正当化などしていないのに勝手に思いこんでかみついてるんだから、論理以前の問題ですよね。

そういう側面があるという評価と、それが違法であるという事実は、矛盾するものではありません。

なぜか他人の著作物のために必死になる方がたまにいるなぁ。
heatwave | URL | 2007.11.06 23:29 | Edit
Michael Geistはこれまで、Bill C-60を発端とする著作権法の厳格化にむけた改正案が、消費者の利用やプライバシーにネガティブな影響を与えることを懸念しています。彼は、この調査をもって、誇張された被害をもっていたずらにコンテンツ産業に都合のいい法改正を行うのはもっと慎重になるべきだ、と主張しているのでしょう。
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