BitTorrentStoreは成功するか?:BitTorrent.Inc、ハリウッド各社と提携

2006年11月29日

BitTorrenrt社がついにWarner以外のハリウッド映画会社各社とも契約にこぎつけたよというお話。以前に紹介したBitTorrent社社長Ashwin Navinが語っていたように、本当にハリウッドとの交渉はうまくいっていたようだ。

原典:CNET JAPAN
原題:PtoPソフトのビットトレント、複数の大手映画会社と提携
著者:Greg Sandoval(CNET News.com)翻訳校正:CNet Japan編集部
日付:2006/11/29
URL:http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000056023,20332907,00.htm

 BitTorrentは2007年2月より、Paramount Pictures、Lionsgate、20th Century Foxなどのハリウッドの映画会社が制作した映画や、MTV Networksのテレビ番組をダウンロード提供するビデオストアを運営開始する予定だ。BitTorrentは2006年5月にも、Warner Bros. Entertainmentとの間で同様の契約が成立したことを発表していた。

さて、提携できて一安心、というわけではないわけで。映画会社との契約はひとつのハードルとしてはあったけれど、さて実際にBitTorrentプロトコルを用いた配信サービスによって実際に利益を上げることができるかどうかは、既存の配信モデルよりどれくらいのアドバンテージを得ることができるのか、それによってユーザはどれくらい恩恵を受けるのか、それにかかっている。

単純に、なぜBitTorrentによる配信が優れているかというと、人気のあるファイルほど速くダウンロードできるという点にある。その速さを支えているのは、同時期にダウンロードしているユーザであり、それを酔狂(もしくは仕方なく)で保持しているseederなのである。

では、このような図式がBitTorrent Storeでも実現できるだろうか?少なくとも、利用者は対価を払ってダウンロードしているわけで、理由もなく、自分自身も配信に協力させられるというのは、ユーザにしてみればあまり魅力的なことではない。「タダだから」、しぶしぶ協力している人だって中にはいるはずで、そういう人がpayしているのに協力させられるだけでは気に食わないと思うのは仕方ないのかもしれない。

少なくとも、配信に協力させられることへの見返りがなければ、このモデルは成功しないのではないだろうか?

まず第一には、他の配信サービスよりも格段にダウンロード速度が速いことが求められる。しかしこれは、結局のところ人気ファイルだけに限る話で、それ以外のあまり人気のないファイルには当てはまらない。まずはその問題を解決しなければならない。また、人気のあるファイルだとしてもこのサービスを利用する絶対数が少なければ、やはり速度は低下してしまう。おそらく、seederクライアントをBitTorrentStoreのほうでいくらか用意する、ダウンロード完了した人をseederとして引き止めておく、という形で解決しようとするのだろうけれど、果たしてどれくらいうまくいくかは始まってみないとわからない。

第二に、他の配信サービスよりも安い価格で購入できることが求められる。少なくとも配信に協力しているのだから、それに対する見返りがなければやってはいられない。もともと配信コストを引き下げるためのものとして期待されているわけで、他の配信サービスと同じ価格であれば、見向きもされないだろう。その辺は、配信コスト分だけではなく、提携企業との交渉による価格引下げの努力がなければ、ユーザが納得するような価格は提示できないだろう。なぜなら、ユーザは過剰に期待しているからである。

第三に、Seederとなることが、何らかのメリットを生み出すことが求められる。やはりBitTorrentの仕組み上、SeederがいなければBitTorrentのメリットを最大限に活かすことはできないし、seederとして協力することが、何かしらのメリットを生むのであれば、それ自体も魅力となる。たとえば、seederがその貢献度によって、いくらかのポイントを獲得し、購入時に利用できるといったシステムがあればよいかもしれない。

他にもまだあるだろうけれど、長くなってしまうので、3つくらいあげてみた。ただ、このすべてを同時にクリアする必要はないし、少なくとも他の配信サービスよりも魅力的にうつるものであればよいのである。ある程度のユーザを獲得できれば、次第にBitTorrentを利用した配信サービスのメリットが活かせるようになるだろうし、それが定着すればするほど、そのメリットが増すというのがBitTorrentのよさでもある。

未だ係争中の事案も抱えてはいるけれど、サービスが開始すれば政治のパワーバランスも変わるだろう。少なくともBitTorrentは絶望的な未来しか描けなかったほかのファイル共有ネットワークとは異なる未来の可能性が存在しそうだ。

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