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著作権議論においてなぜ公益が軽視され、私益が重視されるのか

前回要約を紹介したIntellectual Privilege: Copyright, Common Law, and the Common Goodという本の、イントロダクションから第3章にかけての骨子がブログで述べられているのだけれど、それがまた面白いのでそちらも紹介するよというお話。現在、著作権ポリシーにおいて公益と私益の関係はバランスを欠いたものだと指摘されることも多いが、そのような状況がなぜ作り出されているのか、ということに興味深い指摘をしている。もちろん、公益を求める側の声というのは財政的、組織的な問題もあってとても小さく、一方で私益を求める側は財政的、組織的な面からより大きな声を上げることができるということもあるだろう。ただ、それと同時に、公益が、非常に曖昧な、数量化できない存在であるということもにあるのではないかという指摘をしている。

原典: Intellectual Privilege
原題: The Indelicate Imbalancing of Copyright Policy
著者:Tom W. Bell
日付:November 17, 2007
URL:http://www.intellectualprivilege.com/blog/2007/11/indelicate-
imbalancing-of-copyright.html

法廷やコメンテーターたちは、著作権ポリシーが公益と私益との絶妙なバランスをとっているとしばしば言及する。しかし、著作権ポリシーに対しては、異なるスタンスを持つ。著作権ポリシーは不安定にぐらつき、ひっくり返っており、法制度の不全をもたらしているように見える。何がそのような不明瞭な基盤に著作権を置いているのだろうか?野蛮にも特定の利益をつついていること。著作権ポリシーは『繊細に、バランスが保たれている』というよりは、『下品で、不均衡な』ものだろう。

では、なぜそのような状況にあるのだろうか?筆者はその問に対して、公益が数量化できないという点を指摘している。確かに私益としては、金銭的な利益というものさしが存在するが、公的な重要性、たとえば創作や教育の促進などは明確なものさしが存在しない(GuernicaYertle the Turtleの重要性など測り得ない)。また、数量化されたものであっても、そのものさし自体が不明瞭なものだったりもする。

それゆえに議論のうえでは、明確な数値を持ち出してくる私益に対して、明確な数値を持ち得ない公益は軽視されているのかもしれない。しかし、著者は著作権ポリシーによって生じる危機を回避するよう警戒することはできるとしている。

我々は著作権過激主義者たちが公益を損なうほどに、過度に私益を強調させないためにも、彼らに舵を取らせないよう警戒しなければならない。その代わり、我々は、著作権ポリシーの行き過ぎをチェックすることで、「公共の福祉」、「科学及び有用な工芸の進歩を促進する」ことを要求する憲法を道しるべとすべきである。

なるほど納得。私益 vs. 公益の議論においては、私益には明確な数値が存在し、それによって効果やその予測などを明確に論じやすいのに対して、公益には明確な数値が存在せず、それによって効果やその予測がひどく曖昧なものとして扱われやすいのだろう。もちろん、抽象的な議論においては、公益の重要性は語られるのだけれども、具体的な話になっていくと、明確な効果や予測をなしえない公益が軽視されると。

まぁ、消費者側が公益の重要性を説いたところで具体的ではないことで軽視される一方で、私益を求める側が私益が得られる結果として、公益が得られると主張したりするところも興味深いところか。なんともいかしたロジックだ。実際には私益があるのだから公益だといってるだけで、決してそれが公益となっているかを説明しているわけではない。出される数値は、私益に対してのものだけであり、公益を数量化したものではない。でも、なんか数値が出てるから、それっぽく見えちゃったりもする。

著作権保護期間の延長議論なんかはそれに失敗した例になるのだろうか。保護期間の延長がクリエイターにとってのインセンティブになるなんて公益めいたことを主張して三田みたはいいものの、それを援護するのが、ほんの一握りの遺族の私益というあまりに不都合極まりない数値だったために、大きな声で主張したくてもできない状況なわけで。真に公益を主張する際に曖昧さが生じるケースと、不都合な数値を隠して曖昧なままにしているこのケースとは一緒ではないので、その辺に注意が必要。

公益を如何にして説得力のあるものとしていくか、というのも今後必要な議論かもね。もちろん、右手に舵取りをさえない努力、というのも必要だけどね。

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Comment

匿名のPeerさん | URL | 2007.11.28 09:49
違法共有に公益があるのでしょうか?
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