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RIAJの違法着うたサイト利用実態調査はちょっとずるいと思う

RIAJの違法着うた配信サイトからのダウンロードに関する調査が発表された。

この調査については、眺めているといくつか疑問に思うところがある。その辺のことと、着うた/着うたフルの違法サイトからのダウンロードの状況について考えてみたい。

まずはじめ疑問に思ったところから。このモバイアンケートのサンプルが真に携帯ユーザを代表しているか、ということ。もし、このアンケートが携帯向けリサーチ会社が行ったアンケートだとしたら、母集団とする人たちとサンプルとのケータイリテラシー、利用頻度、環境(パケット定額サービス加入の有無)の違いってのは出ると思う(重み付けも本調査前のスクリーニング用調査によって行われているし)。私なんかはケータイでインターネットなんてするタイプじゃないので、こういったアンケートに参加することはまずない。そもそもパケット定額サービスにでも入っていないとこういったアンケートサービスを携帯で利用しようとは思わないだろう。もし、そういったリサーチ会社をはさんでいるのだとしたら、このサンプルは、かなり携帯電話でインターネットを使いこなしていて、かつ多くの人がパケット定額サービスを利用しているサンプルだといえる。果たして一般化できるのか、と。調査の結果から、利用率にはほぼ変化は見られなかったが、母数が増大しているために、違法サイトからのダウンロード数の推定値が激増しているようにも見える。

以下、それぞれのページについて考えながら読み進んでみる。ちなみに今回は前半。

原典:RIAJプレスリリース
原題:違法な携帯電話向け音楽配信に関するユーザー利用実態調査【2007年版】
著者:社団法人 日本レコード協会
日付:2007年12月25日
URL:http://www.riaj.or.jp/release/2007/pr071225.html (PDF)
参考:違法な携帯電話向け音楽配信に関するユーザー利用実態調査 【2006年版】

3ページ目

【1.違法サイトの利用・認知状況】
違法サイトの利用率は37%、認知率は83%
昨年と比較すると拡大傾向にある。

この記述はずるい。拡大傾向にあるのは認知率であり(74.0%→82.5%:+8.5pt)、利用率はほぼ横ばいもしくは微増といったほうがいいだろう(35.5%→37.1%:+1.6pt)。

4ページ目

【1.違法サイトの利用・認知状況】
昨年に比べ、10代後半・20代の利用率が増加しており、
幅広い年代で違法サイトの利用が進んでいる。

10代後半(+11.5pt)、20代後半(+4.0pt)は確かに伸びている。ただ、20-24才の+2.6ptは誤差程度に思ったほうがいいかも(現に30-39才の減少(それぞれ-2.4pt、-1.9p)tには触れていないわけで)。

5ページ目

【1.違法サイトの利用・認知状況】
違法サイトへの音楽ファイルのアップロードは利用者の14%が行っている。
昨年と比べると、やや減少している。

私が不快に思ったのはここ。3ページ目で+1.6ptの利用率の増加を拡大傾向といいながら、アップロード経験率の-3.7ptを「やや減少」と表現している。

6ページ目

【1.違法サイトの利用・認知状況】
10代においてアップロードの経験率が減少している。
■ その一方、20代前半では倍増している。

ここの表現もかなり恣意的だ。10代の減少は激減といってもいいくらいなのに(12-15才では33.0%→17.2%:-15.8pt、16-19才では20.8%→9.8%:-11.0ptと半減しており、その落ち方も劇的、10代利用者のアップロード数減少の背景は十分考える必要があるだろう)、20代前半(20-24才(5.0%→10.5%:+5.5pt))にだけ「増」いう表現を用いている。もちろん、倍増と言うな、ということではなく、10代の激減を(意図的に)スルーしているように思える、ってこと。

7ページ目

【2.違法サイトの認知時期・経路】
違法サイトの存在を知ってから1年以上が経つ人が半数以上を占める。
■ 1年以上前に違法サイトを認知した割合が昨年から7.7pts増加し半数以上となった。

この結果はあまり意味を成さない気がする。そもそも母数に締める違法サイト認知度が変化しているわけで。来年には更に増えるよ、確実にね。むしろ時間軸をとって、存在を知ってから利用を開始するまでの分布、利用を開始してからそれを止めるまでの分布を見たほうがよいかと。

8ページ目

【2.違法サイトの認知時期・経路】
10代は友人経由で、20代以降はネットサーフィン中に違法サイトの存在を知るケースが多い。

興味深いところとしては、全ての年代を通じて、携帯電話でのネット利用を通じて違法着うたサイトに接触している、ということ。また、10代~20代前半は友人から情報を得ることが多い。それともう1点気になるのは、10代がPCでのインターネットからほとんど情報を得ていないのに対して、30代ではその割合が非常に多くなるというところか。

9ページ目

【3.違法音楽ファイルの利用頻度】
違法サイトからのダウンロードの対象は着うたから着うたフルに変わりつつある。
■ 昨年は違法サイトからのダウンロード対象は主に着うたであったが、今回調査では着うたフルのダウンロード頻度が着うたを上回った。


RIAJ:違法な携帯電話向け音楽配信に関するユーザー利用実態調査【2007年版】より

ここは注目したいところ。着うたのダウンロード頻度が減少している一方で、着うたフルのダウンロード頻度が増大している。更に興味深い点は、ヘビーユーザが増加しているということ。着うたフルに関しては、3ヶ月の1曲以下(54.6%→54.6%)、2ヶ月に1曲(9.3%→8.7%:-0.6pt)、月に1曲(15.0%→15.8%:+0.8pt)、というユーザにはほぼ変動はない。月に2-5曲のユーザは16.5%から14.5%(-2.0pt)に減少、月に6-10曲(3.6%→4.8%:+1.2pt)、月に11曲以上(1.0%→2.6%:+1.8pt)のユーザは増加。月平均のダウンロード数は1.4→2.0曲となった。

比率の大幅は変化は見られないものの、平均ダウンロード数は増加しており、ヘビーユーザ層の3.0pt増加がそれを牽引しているものと思われる。つまり、もともとヘビーユーザだったのが、更にヘビーユースし始めたというところだろうか(これは着うたフルに関してのみの話。着うたを含めた全体としては、ダウンロード曲数は減少している。ただし、着うたと着うたフルには価格差があるため、着うたから着うたフルへの以降によって総数が減少していることを踏まえると、総数としての減少が望ましいものであるとは言い難い)。

10ページ目

【3.違法音楽ファイルの利用頻度】
10代において、違法着うたフルのダウンロード曲数が大幅に増加している。
■10代の違法着うたフルのダウンロード曲数が倍増している。

これに関しては確かに10代の着うたフルのダウンロードが増加していることが示されている(12-15歳:2.4曲→4.5曲、16-19歳:1.7曲→3.0曲)。ただ、その一方でそれ以降の年代の平均ダウンロード数にほぼ変化は見られない。ただ、20代以降の着うたのダウンロード数は減少しており、着うた、着うたフルあわせたダウンロード数で見ると減少傾向にあるといえる。また、20代以降では着うたフルの利用率の増加は見られていない。つまり、利用頻度が増加しているのは10代の着うたフルのみ、といえる。総ダウンロード数推定値の増大は、携帯電話利用者、携帯でのインターネット利用者等の増加が考えられるため、ダウンロード総数は増えていると見るべきかと(ただし、本調査のサンプルがその増加分、つまり今まで携帯をもっていなかった人たちを代表するサンプルであるか、という点では疑問ガ残るが(ただし、新たに携帯を手にした層には12-15歳が少なくないことも考える必要がある))。また、全体としての平均ダウンロード数の増加(9ページの結果ね)は、おそらくこの10代ユーザの利用頻度の増加(つまり更にヘビーユーザ化すること)によって主に説明されると思われる。

11ページ目

【4.違法音楽ファイルの推定ダウンロード数】
違法着うた・着うたフルのダウンロード数は、年間で約3億9,900万ファイルと推定される。

それぞれの数値がわからないので、なんとも言いがたいところだけれど、いろいろ調べて、このデータとはちょっと違うデータで計算してみることにする。ちなみに着うたフルのみの計算になります。

日本人口(12-39歳):4,429万人平成17年国勢調査 第1次基本集計結果(全国結果)統計表
携帯電話保有率:85.5%(日本レコード協会 『2006年度音楽メディアユーザー実態調査』)
パケット定額サービス利用率:30%(インプレス社 『ケータイ白書2008』)
利用率:37.1%(本調査)
着うたフル:平均2.0曲(本調査)

4429万人*0.855*0.30*0.371*2.0曲*12ヶ月=約1億101万曲

RIAJ調査との差異点

  • RIAJ調査では。性別・年代別(5歳きざみ)で算出しているが、上記の計算は全体としての粗いものとなる(従ってRIAJのほうがより正確な値を推定できるはず・・・と思うのだけれども、それぞれの数値が今回の簡易レポートでは明らかにされなかったので、よくわからないというところ)
  • RIAJ調査では、モバイルインターネット利用率であったところをパケット定額サービス利用者の割合に変更(これは着うたフルの利用者であれば、パケット定額サービスを利用しているであろうことが予測されるため(なので着うたの計算は行わない)。また、私がモバイルインターネット利用率を見つけられなかったということもある)
  • RIAJ調査では、携帯電話保有率を「2007年度音楽メディアユーザ実態調査」からの値を用いているが、同調査に当たることができなかったので、2006年度版の同調査を元にした
  • RIAJ調査では、年間違法音楽ファイルのダウンロード数を計算する個々の数値が明らかにはされていないため、上記計算で用いた数値がRIAJ調査とそれぞれ正確に対応しているかどうかは不明(本調査で算出された違法サイト利用率に関しても補正値を用いているようだし)

RIAJ調査の約2億1,010曲の約程度、約1億101万曲ということに落ち着いた。ただ、この数値は上記の制約の上で出された数値であることをご了承いただきたい。そして、たとえ半分であったとしても、1億曲が違法な行為に関わってダウンロードされているという事実は、非常に甚大なことだということも(ただし、このサンプルが母数を代表しているかどうか、という更なる議論も必要だが)。

とりあえず、今日はここまで。

ここでちゃんと言っておきたいのは、この調査の数字が嘘だ捏造だ、と言いたいわけじゃないってこと。もし、この調査の数値が捏造だというのであれば、それは明確な証拠に基づいていなければならない。それは先日のファイル共有ユーザ調査にも言えること。今回の調査は野村総研コンサルティング事業本部に委託されている。彼らはリサーチのプロだ。得られた数字で嘘をつくということは絶対にないだろう。議論や問題が生じるとすれば、調査手法や結果の解釈、その提示においてであると思っている。調査結果は出るべくして出る。その原因が何であるのか、それを良く考えることでこそ、調査が意味を持つのだと思う。

今回の調査でいえば、サンプルに問題があったという可能性は捨てきれない。モバイルの調査なのだから、モバイルアンケートでいいじゃないか、というのもごもっともだ。ただ、それは本当に全ての携帯電話ユーザをランダムにピックアップすることができたのだろうか、というところに疑問が残る。たとえば、インターネットユーザの調査を2ちゃんねる、またははてなで実施したとしよう。確かに2ちゃんねるやはてなのユーザはインターネットユーザではあるが、果たしてインターネットユーザ全体を代表するだろうか。

また、本調査における質問の仕方についても、全く疑問がないわけではない。質問では、違法サイトからのダウンロードという表現ではなく、「無料でダウンロードできる携帯サイト」と言う表現が用いられている。もちろん、これは「違法」と言う言葉が強すぎるがあまり、回答者が社会的に望ましくない回答をすることを避けようとするのを回避するため、というところもあるだろう。ただ、

本調査結果では、音楽を無料でダウンロードできる携帯電話向けサイトを「違法サイト」と定義しているが、プロモーション目的で一定の期間、無料で音楽をダウンロードできるサイトは含まれない(アンケート回答者には、その旨を明示。)なお、掲示板サイトにおけるファイル投稿(アップロード)は違法サイトに含まれる。

と説明されているものの(3ページ)、実際に回答者が「無料でダウンロードできる携帯電話向けサイト」が所謂違法なサイトであるという認識をどの程度持ったのか、というところも疑問は残る。つまり、回答者の「無料でダウンロードできる携帯電話向けサイト」の概念と調査者が定義する「違法サイト」の概念がマッチしているか、ということ。

最後に、今回は解釈に関してはあまり触れなかったが、その結果の提示に関しては問題がある箇所がいくつかあると思っている。ただ、それは利害関係者による調査であるため、仕方のない部分もある(必要最低限のデータを提示していれば、それをアンフェアだとは思わない)。だからこそ、それを見る人はある程度はその解釈や提示方法に疑問を抱きつつ結果を精査する(つまりかけられたバイアスを意識する、割り引いて見る)という作業が必要となる。それは逆を言えば、(調査ではないにしても)私の考え(ているであろうこと)も割り引いてこのこのエントリを考える必要があるということでもあるけどね(それと野村総研はリサーチのプロで、私はアマチュアだということもね)。

12ページ目以降はまたいずれ。違法サイトの利用による影響とか興味深い。他にも質問項目の順番とかね。

Q2 【着うた(ワンフレーズ・フルコーラス含む)】を無料でダウンロード出来る携帯電話のサイトを利用した事がありますか?
Q3 【着うた(ワンフレーズ・フルコーラス含む)】の無料ダウンロードサイトを最初に知ったきっかけは何でしたか?
Q4 【着うた(ワンフレーズ・フルコーラス含む)】の無料ダウンロードサイトを知ったのはいつ頃ですか?
Q5 あなたは無料の着うた(ワンフレーズ)/着うたフル(フルコーラス)をどのくらいの頻度でダウンロードしますか?
Q6 無料ダウンロードサイト(掲示板含む)に【着うた(ワンフレーズ・フルコーラス含む)】のファイルをアップロート(アップ)した事はありますか?
Q7 無料で【着うた(ワンフレーズ・フルコーラス含む)】ダウンロードできるサイトを今後利用したいと思いますか?
Q8-1 無料ダウンロードサイトの利用により以下の事柄にどのような変化がありましたか?(有料着うた購入)
Q8-2 無料ダウンロードサイトの利用により以下の事柄にどのような変化がありましたか?(CD購入)
Q9 あなたは無料ダウンロードサイトを利用する際に後ろめたさを感じますか?
Q10 音楽ファイルを掲示板やサイトに載せる際にはアーティストなどの許可が要ることを知っていますか?

Q8とQ9はカウンターバランスとったのかしら?Q9はQ8の回答によって引っ張られる項目だと思うよ、とかそんな感じで。

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違法着うた封じとしてのダウンロード違法化
前回のエントリを書いたと思ったら、日本レコード協会から以下のようなリリースが出た。 日本レコード協会|プレスリリース|違法な携帯電話向け音楽配信に関するユーザー利用実態調査 2007年版の結果について 前エントリで触れた調査の2007年版である。調査結果の主なポイ
2007.12.27 06:23 | 真夜中は別の人
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