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プロバイダによる違法/有害サイト規制義務付けを突き詰めると・・・

未成年者がインターネット上のサービスを利用することで、犯罪被害にあうことを防ぐために、インターネット上の違法、有害サイトを規制しようとする動きが、日本でも世界でも加速してきているようだ。確かに、そういった事例が事実としてある以上、なんらかの手を打たなければならないのだけれども、それが行き過ぎれば、弊害をも生み出すことになる。言論の自由の侵害だ、といっても何かしらの施策が必要なのは事実なわけで、かといってその規制があまりに極端なものであれば、弊害を生み出すことにもなりかねない。

 民主党は18歳未満の若年者が犯罪に巻き込まれるのを防ぐため、インターネット上の違法・有害サイトの削除をプロバイダーなどに義務付ける法案の 国会提出に向け、党内調整を始めた。自殺勧誘や、児童買春の温床とされる出会い系や児童ポルノなどに簡単にアクセスできないようにする狙い。与党との共同 提出も視野に入れており、今月召集の通常国会での成立を目指す。

  検討中の法案では、サイト開設者やプロバイダーは違法情報を発見し次第、削除しなくてはならないと規定。違法かどうか明確でなくとも、有害な恐れがある場合は児童が閲覧できなくなるような措置を講じるよう義務付ける。罰則を設けることも視野に入れる。

有害サイト削除、民主が独自法案・プロバイダーに義務化 - Nikkei net (太字は引用者heatwaveによる)

個人的には、 インターネット上のコンテンツは無制限であるべきだとは考えていない。児童ポルノをはじめ、閲覧すること、させることが違法とされるコンテンツはインターネット上から排除されるべきだと思っているし、未成年者にとって有害なコンテンツであれば、未成年者の目に触れないようにされるべきだと思っている。

昨年12月の民主党オフィシャルサイトのニュースでは、今回の方針に関することが記載されている。この記事は、 財団法人インターネット協会「インターネットホットラインセンター」への民主党議員の視察と、同党の方針についての記事である。

この記事では、インターネットホットラインセンターでは、「犯罪その他の違法行為を引き起こす原因となるなど公共の安全や秩序に対する危険を生じさせる情報」が、有害情報であるとし、「有害情報(公序良俗に反する情報)と判断すれば、プロバイダや電子掲示板の管理者等へ、契約に基づく対応依頼を」行うのだという。有害サイトの具体例としては、 「復讐請負、自殺仲間の勧誘・誘引」などがあげられている。また、民主党自身の方針としては、「学校裏サイトや援助交際サイト等」から子供たちを守るために取り組んでいくという。

ただ、上記のインターネットホットラインセンターの取り組みにおいては、「有害サイトの削除については、サイト開設者に作為義務があるか否かの判断が難しいことにも言及、プロバイダは基本的にはセンターの削除依頼に対して応じるものの、稀に応じない場合もあり、直接の発信者でないが故の対応の難しさ」といった問題があるのだという。また、そうしたサイトに関して年間約6万件もの通報があり、そのうち違法情報は約86%、有害情報については約75%を削除していることを鑑み、業界団体のフィルタリングだけでは不十分だとして、より強力な法律を求めている。

高井美穂衆議院議員は、「児童が安全で安心してインターネットを利用できる環境整備に関する法律」として、2006年提出の「電気通信事業法の一部を改正 する法律案(携帯電話有害サイト接続制限法案)」をさらにブラッシュアップした法案を検討中、来年の通常国会において提出する意向を明らかにした。内容に ついては、電気通信事業者に対する有害サイト等を規制するフィルタリングサービスの促進に加えて、携帯電話やパソコンの有害サイトから子どもたちを守る観 点から作成する方針であることを強調した。

子どもたちを守る法改正に向けて インターネットホットラインセンターを視察 - 民主党(太字は引用者heatwave)

そのために、サイト開設者やプロバイダに対して、違法情報を発見し次第削除すること、違法性があいまいな場合でも有害である可能性がある場合は、児童が閲覧できなくなるような措置を必要とすることを義務付け、罰則もふくめ検討していると。

この方針が抱える問題点について、私が思うことを少し述べてみたい。

まず、有害コンテンツとは何か、という問題である。違法情報、これは情報が掲示されていること自体違法であり、排除されて何ら問題はない。一方、上記の記事などを眺めてみると、有害情報とは「公序良俗に反する情報」であるとされ、具体的には、復讐請負、自殺仲間の勧誘・誘引、学校裏サイトや援助交際サイト等が挙げられている(なお、わいせつ物公然陳列、出会い系サイトでの様々な誘引、規制薬物の広告といった情報は違法情報とされている)。

ん?有害情報ってほとんどが電子掲示板、フォーラム、SNSといったソーシャルな類のものなのか?となると、どのようにして取り締まられるか、ということを考えなければならないだろう。1つには、上記具体例に挙げられたような目的で、電子掲示板、フォーラム、SNSを開設したサイトなどを排除していく、ということだろう。個人的には、有害サイトというあまりに主観だけで決め付けられるような言葉で定義されることは危惧するけれども、一方でその有害(可能)性の高さが確認されているものに関しては、有害とされる「目的」等を明示、制限した上で、そのサイトを排除していくということに対してはやぶさかではない。

ただ一方で、有害(可能)性の低い電子掲示板、フォーラム、SNS等であっても、ユーザの発言自体をサイト開設者が完全にコントロールすることはできない。簡単に言えば、ユーザが何を言い出すかわからないからである。もちろん、ユーザのコメントなどを管理人の確認後に開示または削除するということは不可能ではないが、ただ、そうなると2ちゃんねるやmixiのような大規模コミュニティは機能しなくなるだろう。

そのような確認作業を行わないとすれば、それは「有害な恐れがある」サイト、ということになる。つまり、管理人の責任においてユーザの発言の有害性を否定し得ない電子掲示板、フォーラム、SNSなどは未成年ユーザには絶対に利用させてはならない、ということになる。また、これを確実にするためには、そのユーザが確実に未成年ではない、という証明をしなければならないということでもある。

また、そうした有害情報を含むサイトを発見したプロバイダはどのように対処すればよいのだろうか。当然、サイト内部に手を加えるわけには行かないだろうから、未成年者だけに閲覧させないような手を講じるか、サイトへのすべてのアクセスをブロックしてしまうか。ただ、前者は未成年者からのアクセスであるということを認証できている場合にのみ可能なことであり、それが完全に不可能である以上、後者の手段を用いざるを得ないだろう。

学校裏サイトをも有害サイトと認定している節もあるけれども、これもまたサイト開設者(生徒自身)やプロバイダにとっては危険の火種である。いつ、誰がわいせつコンテンツを投稿したり、個人を中傷する書き込みをするかわからない。だから、こういったことが可能なサイトを未成年者自身が開設することも禁止される。むしろ、サービスプロバイダが未成年者にそのようなサービスを提供してはならない。

そんな風に考えを広げていけば、ソーシャルな機能がついたものすべて、2ちゃんねる、mixiは当然のこととして、YouTubeなどのビデオ共有サイト、ブログなどのUGC、コメント機能のついたサイト、全てが違法情報、有害情報の発信源となりうる。もっと言えば、どんな大企業のサイトであれ、いかなる情報がアップロードされるかを確実に予測することは不可能なわけで、そういったサイトからも排除されなければならない。

極端なことを言うと、未成年者に限らず、全てのユーザをインターネットから排除せよ、ということになる。なぜなら、プロバイダ側がユーザを未成年であるかどうか判別する確実な術は存在せず、提供される情報の全てを確認することはできない。

「児童が安全で安心してインターネットを利用できる環境」、私はこれを完全に実現することは不可能だと思っている。インターネットは人と人とが繋がるインタラクティブな部分を有しており、その利便性がインターネットを支えている以上は、確実に安全な環境は実現し得ないと考えている。であれば、それをどの程度「最小化」できるのか、裏を返せばどの程度「許容」しうるのか、問題はそこにあるんじゃないだろうか。非常にインモラルな発想ではあるけれど、1つのシステムに責任、リスクを負わせるのだとすれば、ある程度の余裕を持たせないことには、そのシステムそのものを否定しかねない。

今回の方針にしても、プロバイダは2つの問題を抱えることになる。1つは、どのようにして未成年であることを確認するのか、という問題。これはプロバイダ側だけの努力で可能になるものではない。ネットID制を導入し、個々のユーザの情報を照会できるシステムを作りあげなければならない。この辺の問題は、先日オーストラリアにて導入された強力な「年齢認証システム」に重複する部分がある。こうなるともはやプロバイダのみならず、インターネット全体が抱える問題となる。

もう1つの問題としては、プロバイダ側の責任の範囲の問題である。まず有害な情報と何か、という明確なコンセンサスや客観的基準が確立していなければ、それぞれの違法性、有害性認識の下に判断しなければならなくなる。認識が厳しすぎても、認識が甘すぎても、どちらも問題となる。そして、どちらもリスクが生じることになる。認識が厳しすぎればユーザを失うきっかけにもなるし、認識が甘すぎれば罰せられる恐れがある。また、プロバイダ側が違法、有害コンテンツが存在することを認識していなかった、という言い訳がどの程度通用するのか、という問題も生じるだろう。それを認めるのであれば、プロバイダ側はユーザアクティビティに一切関与しないようにするだろうし、認めないのであれば、過度にユーザアクティビティを監視しなければならなくなる。

個人的には、1つのシステムに過度に責任を押し付けることが、1つの問題の解決に向けては前進したとしても、別の大きな問題を生み出すように思える。私は責任を分散させ、それぞれのシステムにどのように責任を配分し、相互に補完させるかという問題であるように思える。それぞれのシステムに最小限の責任(コスト、リスク)を負わせ、それらを総合して目標に向けた最大の効果を得られることが理想的かなと思うのだけれどもね。まぁ、それが難しいからこそ、問題がこじれるわけなのだけれども・・・。

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Comment

とおり | URL | 2008.01.11 01:51 | Edit
どうも民主党の方々は難しいことを考えるのが苦手なようで…
| | 2008.02.25 01:28
このコメントは管理人のみ閲覧できます
なと | URL | 2008.03.04 02:10 | Edit
有害と定義すると、国家が情報を操作することを可能にするということですよね。
たとえば、政治的な過激な発言は未成年の影響を与えるので有害であると解釈できる。
つまり、不都合なことは有害と出来るわけですね。
掲示板は法律に触れないで、ローカルルールに則り運営されるのが正しいでしょう。
自由の確保が最も大切だと思います。
heatwave | URL | 2008.03.04 22:28 | Edit
なとさま

コメントありがとうございます。

個人的な意見ではありますが、私は個人と社会は同等に保護されるべきものだと思っています。個人の保護が社会の保護に、社会の保護が個人の保護につながるケースでは、どちらも最大限に保護されるべきものだと思っていますが、それがトレードオフの関係にあることもしばしばです。そういった状況で、個人、または社会だけの保護を求めていく、利益を追求することは、あまり望ましいことだとは思っていません。

なので、私としては、何かしらの問題の対処として、個人、社会ともに譲歩するところは譲歩し、最小限の損失で、最大限の利益を生み出すことを目的とすべきかなと思っています。

もちろん、「有害」という曖昧な言葉のままに事を進めることで、影響力のある人にとって不都合なものを抑制しようとすることも危惧されることではあります。であれば、その「有害」というものは何であるのか、何を根拠としているのか、というところを限定してルール作りをしなければならないのではないか、と考えています。

>掲示板は法律に触れないで、ローカルルールに則り運営されるのが正しいでしょう。
という部分は、私も一定の理解をしていますが、それでも建前としてローカルルールを設定するだけで、実際のユーザアクティビティにはあえて関知しない、という掲示板やサイト運営者がいることも事実ですし、ここで有害サイトの例に挙げられている「復讐請負、自殺仲間の勧誘・誘引」や「出会い系」などでそういったことが顕著でしょう。一方でモバゲーや大手SNSなどでは、ローカルルールの則り自主的に「有害である」とみなされるものを排除しています。
確かに後者は運営による自浄作用が期待できますが、前者はどうでしょうか。確かにバランスの難しいところですが、個人的には何かしらの対処は必要だと思っています。
匿名のPeerさん | URL | 2009.10.15 23:24 | Edit
爆サイとゆう個人中傷、無法地帯の最悪なサイトは法律で取り締まってもらえないんですかね
heatwave | URL | 2009.10.16 02:05 | Edit
どういった個人中傷があるのかはわかりませんが、中傷の事実があれば、取り締まってもらえると思いますよ。ただ、サイトそのものではなく、中傷を行なった人物に対してですが。

ただ、中傷の事実を指摘し、かつ何ら対処しないのであれば、サイトを訴えることもできるとは思います。もちろん、中傷の事実が認められることを前提とすれば。
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