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DRM狂想曲は終わらない:NapsterのMP3シフトが示す次のハードル

米国時間1月7日、米Napsterはデジタル音楽配信サービスでの楽曲の販売を全てMP3で提供すると発表した。かつてNapsterといえば違法MP3共有のためのツールだと批判され、RIAAによる訴訟によって一度は死を迎えた。しかし、よみがえったNapsterがこうして再びMP3に帰ってくるというのを聞くと、なんとも考え深いものである。DRMed WMAからMP3へのシフトによって、これまで顧客になりえなかったiPodシリーズのユーザをもお客さんとすることができる。・・・と、ことは簡単に運びそうにはない。なぜなら、Napsterは依然としてDRMに頼ったサービスによって支えられるのだから。

プレスリリースのタイトルは「Download Sales Catalog Shifting to 100% DRM-Free Format」。ダウンロード販売のカタログをMP3にする、ということだ。しかし、Napsterのビジネスの中核はダウンロード販売(アラカルト)ではなく、サブスクリプションによる無制限のレンタルサービスなのである。それはどうあがいてもMP3で配信することはできない。

当たり前の話ではあるが、このようなサブスクリプションサービスをMP3で提供しろなどというわけではない。無制限レンタルを提供するサブスクリプションサービスである以上は、レンタルに伴うコンテンツコントロールは不可欠である。

そうなってくると、依然としてNapsterはAppleによるFairPlayの壁に悩まされることになる。もちろん、アラカルトでの楽曲販売をブーストさせるためには、今回の発表は良い材料となるかもしれない。しかし、Napsterの中核となるNapster To Goサービスはいずれにしても、音楽好きといわれるMacユーザも、iPodユーザからも利用されることはないだろう。そして、近い将来、AppleがアンフェアなFairPlay縛りを捨てるということもないだろう(こんな予測は外れて欲しいものだけれど)。

つまり、ここで問題になるのは「iPodの開放」である。昨年12月31日、Appleはアンチトラスト法において、本来サポートしているはずのWMAを意図的に排除したとして訴えられており、そうした反発は今後強まっていくかもしれない。当然、Appleはおいそれとはそれを認めないだろうけれど(もし、AppleがMSとライセンス契約を結ぶとすると、80万ドルかかるのだとか。2005年に出荷されたiPodに上乗せしたとすれば、1台につき3セントだそうだ)。こうしたライセンス契約がなされれば、iPodでもNapster to Goのサブスクリプションサービスが利用できるようになるだろう。

上記のような「iPodの開放」が問題になる可能性があるのと同様に、「iPodからの開放」も問題になってくるかもしれない。

昨年、「Thoughts on Music」のなかでSteve Jobsは、FairPlayを開放できない理由として4大メジャーとの約束を挙げている。つまり、FairPlayが破られることになれば、コンテンツの完全な保護を条件に提供されたライセンスを奪われてしまうと、4大メジャーとの約束を逆手にとってAppleがFairPlayを開放しないことの正当性を主張した。返す刀で、その約束を反故にするのであれば、4大メジャーがMP3を受け入れることで、その問題をクリアせよと迫った。

このような主張の正当性は、4大メジャーが楽曲へのDRMを必要不可欠としている、という前提の下で成り立つ。しかし、今現在、Sony BMGは微妙だとしても、一応は4大メジャー全てが(部分的に)MP3での配信を受け入れた。そのような状況にあってはSteve Jobsの主張の正当性があやふやなものとなってくる。

もちろん、4大メジャーが完全にDRMフリーを受け入れない限り、Appleの主張は一定の正当性を持ちうる。しかし、DRMフリーが完全に受け入れられたとき、Appleは新たな問題に直面することになるかもしれない。それは既に販売してしまった楽曲のDRMの解除である。既にiTunesからDRMedコンテンツを購入してしまったユーザにとって、iPodから別のプレイヤーに乗り換えることは、iTunesから購入したコンテンツを捨てることに他ならない。既に購入されたDRMedコンテンツが存在する以上、ユーザはiTunes/iPodに縛られ続ける(DRMだけの問題ではないが、ユーザをiTunesに縛り付けておくことは、Appleにとってはありがたいことである。なぜなら、音楽を好む人々が自らの音楽ストアの鼻先で音楽を転送してくれるのだから)。

iTunes Plusのような対応、FairPlayフォーマットの変換ツールの提供のどちらでも良いのだけれども、このような対応をAppleがおいそれと認めるとは思いがたい。依然としてAppleはDRMによってiPodを守り続けることになる(もちろん、Appleのマーケット支配の背景にはiPodを超えるデバイスが登場しないということも認めざるを得ないのだけれどもね)。

というわけで、AppleはiPodによるiTunes Storeの保護、DRMによるiPodの保護という2つの戦略をとり続けるのかなと思ったりもする。

その一方で、音楽産業としては(レンタルサブスクリプションはともかくとしても)、ダウンロード販売に関してはより積極的にMP3配信を行って、iTSのシェアを減じようとするかもしれない(音楽産業にしてみれば、Apple優位の音楽配信市場を崩壊させることで、Appleと取り分についてフェアな取引ができると考えてもいるだろう)。そうなると、非iPodユーザにiTSを利用させずに、iPodユーザに非iTSのMP3配信サービス(たとえばAmazon)を利用させるほうが都合がいいかもしれない。つまり、同じ曲を配信するにしても、iTSではDRMedで、AmazonではDRMフリーで、そして同じ価格で販売させるということ(不正競争って感じもするけど、どうなんでしょうね)。そのときには、「Appleは(ご破算になったはずの)昔の約束を決して破らない、義理堅い奴らだ」とでも揶揄するのだろうか。

Napsterのプレスリリースで、会長兼CEOのChris Gorogは「MP3へのデマンドがクリティカルマスに達した今、弊社製品ラインナップを通じて、ユーザの皆さんがNapsterに期待する上質なコンテンツを、ユーザフレンドリーなMP3ファイルフォーマットをもうじき提供できると発表することができて、非常に嬉しい限りです」、と述べている。しかし、2007年から今年の初めにかけてのDRMedからMP3への激変は、本当にユーザが促したものであるのだろうかと疑問に思えてならない。

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