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EU議会議員、アンチパイラシープロパガンダを批判する"I Wouldn't Steal"キャンペーンをローンチ

現在、IFPIはEU議会において、ISPによる「違法コンテンツブロック」「P2Pプロトコルブロック」「著作権侵害サイトへのアクセスブロック」などを求めてロビー活動の真っ最中である。しかし、そうしたEU議会議員の中から、そうした著作権ロビーやアンチパイラシープロパガンダに対して立ち上がる議員達が現れたよ、というお話。彼らは"I Wouldn’t Steal"
というMPAAのアンチパイラシープロパガンダを揶揄したキャンペーンを開始した。ただ、その主張内容を見てみると、まさに彼らの批判するアンチパイラシープロパガンダの焼き直しのような主張となっている。

原典:TorrentFreak
原題:European Politicians Launch Pro-Filesharing Campaign
著者:Ernesto
日付:January 19, 2008
URL:http://torrentfreak.com/politicians-launch-pro-filesharing-
campaign-080119/

現在、欧州議会に42議席を持つGreens EFA(緑の党/欧州自由連合) は、"I Wouldn’t Steal"と名づけられた、親ファイル共有キャンペーンをローンチした。彼らの目標は、エンターテインメント産業から提案されるアンチパイラシープロパガンダに対抗し、ダウンロードおよび共有する人々を勇気づけることである。

同党が提案するメッセージはかなり強力なものとなっている。「映画をレンタルすれば必ず、多国籍メディア産業はあなた方にプロパガンダを見るよう強制します。彼らは、映画のダウンロードがバッグの引ったくり、車の窃盗、万引きと同じことであると主張します。それが真実といえるほど単純なものではありません-コピーを作成することは、泥棒とは基本的に異なります」

Greens EFAは、 エンターテイメント産業がアーティストから搾取し、プロパガンダを垂れ流していることを批判し、市民にこのことに気づいて欲しいという。もちろん、我々も全く同感である。そして、これらの確立した政党が、ファイル共有を解禁しようとしているは非常に望ましいことだ。彼らはこのように記している。「メディア企業は現実的に合法な選択肢を提供することができませんでした。そして彼らは共有することは窃盗も同様だということを、消費者に信じ込ませることはできないでしょう。残念なことに、彼らは別の領域では成功しています。そう、消費者を犯罪者扱いし、共有を違法とする法律を作るための議会工作で。」

同党はRaFILMと協力し、キャンペーンのためのショートクリップを制作した。彼らはそれをThe Pirate Bayにアップロードすることで、BitTorrentでも利用可能にした。対に何かが変わり始めているようだ。政治家達はもはやThe Pirate BayのようなBitTorrentサイトを受け入れることを恐れることなく、人々の権利と共有文化のために立ち上がっている。

当然、The Pirate Bayはこのキャンペーンを喜び、彼らの支持を表明するために、彼らのトップページのロゴを更新している。The Pirate BayのBrokepはTorrentFreakにこう述べている。「世界がどのように機能しているかを理解している利口な人々がいることを喜ばしく思うよ。自分にできる全てのことをしてでも、彼らをサポートするつもりだ。」

さぁ、エンターテイメント産業が、我々同様に注目してくれることを期待しようじゃないか。

参考までに、なぜこのようなビデオになったのかというと、MPAAのアンチパイラシーキャンペーンで使われたビデオ、"Piracy, It's a Crime"では、違法ダウンロードが引ったくり、万引き、自動車の窃盗と同じように犯罪だ!とされており、それを揶揄したもの。このMPAAのCMに対しては、それらの犯罪と同列に扱えるのか、という批判がなされている。

うーん、個人的な意見だけど、このキャンペーンは海賊達を味方につけるため、海賊行為に対する一般の人に嫌悪感を和らげる程度にしかなってないと思うのね。もちろん、政治の話だから、かなりプロパガンダ色の強いものになっている、と考えると少しは理解できるけれども・・・。

共有というコンセプトも、ダウンロードという行為も絶対不可欠なものであり、価値あるものだと感じているけれど、それが無制限に許されるべきかどうかという点では、一定の制限があってしかるべきだと思うのね。当然、ISPが抱えることのできるトラフィックには上限があってその範囲内でしか利用できないし、著作権者の許諾無く勝手に共有していい、ダウンロードさせていいってわけじゃない。

"Share - it's fair"というコトバは確かに素晴らしい響きを持っている。だけど、問題はフェアな共有って何だろう?というところにあるのではないかな。どっちが正しいとかそういう問題じゃない。共有という行為が正しいのか正しくないのか、コンテンツ産業の存在が正しいのか正しくないのか、そんなことを議論してもしょうがない。どういうあり方が、どういうやり方がどういう利点を持っていて、どういう問題を孕んでいるのか、それを1つ1つ見ていくしかない。

当ブログでは音楽産業をはじめとしたコンテンツ産業に対して厳しい意見を書くことが多い。大体その理由としては、消費者に対してアンフェアなやり方で利益を上げようとしていること、コンテンツ産業自体の(本来であれば)チャンスであるデジタル時代にうまく対応できず、産業が閉塞感にあふれていること、がある。前者に対しては批判的に書くし、後者に対しては一ユーザとして考えを述べてきた(ちょくちょく批判的だったりもするのは反省。どこまでいっても素人のサジェスチョン程度に過ぎないだろうし)。

一番反発を覚えるのは、やはりアーティストや文化、アンチパイラシーをダシにして自らの利益を拡大しようとする行為。特に、こうした行為は一般のユーザに対してもネガティブな影響が少なくないわけで、そうした戦略に対しては強く批判してきた。アーティストを叫ぶのであれば別の、もっと効率のいい方法があるはずだ、文化保護が必要ならばその文化とはいった何かをはっきりさせる必要があるはずだ、アンチパイラシーだってこのやり方以外にもあるはずだ、産業がそうした方法ではなく、別の方法を提案してくるのは単純に産業保護を求めているだけだろう、他のことをダシに使うな、ってね。産業保護を求めるなら、それを掲げて主張しろ、と。

だから、今回の"I Wouldn’t Steal"キャンペーンを見たときに、同様のことを感じたのね。あぁ、私が批判してきたものと同じやり方だって。

They argue that their laws are necessary to [ support artists ], but in reality all they're protecting is their own profits.

iwouldntsteal.netには上記のような一文が掲載されている。彼らは法がアーティストを守ってやらなきゃいけないと主張しながら、自分たちの利益を守っているんだと主張する。だから、プロパガンダを鵜呑みにしちゃいけない、という主張は理解できる。しかし、問題は[ support artists ]、このリンク先の主張だ。クリエイターとしてのアーティストは搾取されている、だからアーティストをサポートするために、社会を変えなきゃいけない、アーティストは産業に権利を奪われている、それを取り戻してやるんだ、そういった内容だ。確かに私もそう思う部分もある。だが、それはここ、アンチ「アンチパイラシー」の文脈で主張すべきことだろうか?

確かに、コンテンツ産業はアーティストとの問題を抱えているだろう。しかし、それを批判することが、「ファイル共有はフェアである」ことをサポートするものではない。(アーティストがこのようなサポートをどう思うかは別にしても)「アーティストを救え」という聞こえのいいコトバで矛先を変えようとしてはいないだろうか。結局、彼らもまたアーティストをダシにしていないだろうか。

もちろん、彼らはそれだけではなく、共有について、も述べている。

The Greens in Europe and worldwide has been opposing these laws. We believe that consumers are willing to pay if offered good quality at a fair price. We also believe that sharing is expanding culture – not killing it.

消費者は適切な品質、適切な料金を提示されればお金を払う、そして共有は文化を拡大させる-決して殺すものではない、確かにそうかもしれない。でも、これまであった制限を全て取り払い、自由な共有が可能になったとして、誰がお金を支払うだろうか?お金が支払われなくなることが、文化に対してネガティブな影響を与えることは無いのだろうか?

海賊の主張が正しいのか、コンテンツ産業の主張が正しいのか、それはゼロかイチかの話ではないと思う。確かに明確に立場を分けて考えたほうが、自分のスタンスの安定には役立つだろう。でも、問題はそんなに単純じゃなくて、その解決のためには、海賊達はその違法性を捨てて合法的な活動に拠らなければならないし、コンテンツ産業もよりユーザに指示される戦略を打ち出さなければならないのかなと思う。

もちろん、考え方としてはそうあればよいと思うのだけれども、その実現は非常に難しいのも事実。海賊達はそうやすやすと自らの習慣を解凍することもないだろうし、コンテンツ産業もリスクを負うことを嫌うだろう。しかし、海賊達がいかに目を見張るような主張をしたとしても、実際の活動は違法な行為に根ざしており、それが一般的になるべくも無い。むしろより強固なアンチパイラシーポリシーを生み出す源泉となりうる。それは往々にして、一般のユーザにまでネガティブな影響を及ぼしうる。一方で、コンテンツ産業の存在が我々の手元にコンテンツを安定して届けてくれること、創作活動を安定させてくれることには役立つものの、保護の名の下にその制限や利益の拡大が際限なく許されるべきでもない。

Greens EFAのキャンペーンはおそらく多くの海賊達の賛同を得るだろう。しかし、私にはどうしてもこのキャンペーンには賛同できない。少なくとも、ファイル共有を語る上では、その行為が違法であるかどうかに言及しなければならないし、そしてそれをどうクリアしていくのかを示さなければならないだろう。著作権を亡き者にする?著作権は維持しつつ共有可能なシステムを作り上げる?コンテンツ産業に共有を許すよう働きかける?新たなプレイヤーに共有システムを受容してもらうよう訴える?私にはこのキャンペーンが美辞麗句を並べただけの単なるプロパガンダ、政治パフォーマンスにしか見えない。

もちろん、EU議会議員達が著作権ロビーに対して立ち上がってくれたことは嬉しい。ただ、それがパフォーマンスに終わってしまわないことを祈りたい。

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