スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

広告モデルによる無料コンテンツダウンロードサービスを加速させるYuMe NetworksとHiro Media

ファイル共有から如何にして利益を上げるか、という問題は非常に難しい問題ではあるが、少なくとも数年間に比べればその選択肢は広がりつつあるようにも思える。そのような選択肢の中で、個人的に注目しているYuMe NetworksとHiro Mediaのお話。これらの企業は、既にダウンロードされたコンテンツに、随時広告を挿入することのできる技術を提供しており、ある意味ではユーザの所有されることで、ますますコンテンツの広告価値を高めるものとすることができるという点で、非常に興味深い。まだまだ、一般的に採用されているというわけではないだろうが、先日、YuMe NetworksはNBC Universalの提供するテレビ番組ダウンロードサービス、NBC Directとの提携を発表しており、NBC Direct次第では、このような技術が頻繁に利用されるのではないかな、と期待されるところもある。

原典:Los Angels Times
原題:Making money from file-sharing
著者:Jon Healey
日付:November 5, 2007

ハリウッドスタジオと脚本家との契約問題で揉める点の1つは、彼らの作品がオンラインで再配信されるとき、脚本家達がどのくらいの利益を得るかということであった。その交渉は、オンラインにおける最も強力なビデオアウトレットがファイル共有ネットワークであったことで、より複雑なものと成った。なぜなら、ファイル共有ネットワークは、エンターテインメント産業の誰しもに利益をもたらさないからである。AppleのiTunes Storeのような人気のペイ型のアウトレットですら、スタジオにとって大した利益をもたらすものではなかった。そうして、製作者も脚本家もどのモデルが機能するのか、収益がどの程度得られるのかについての手がかりすらないままにある。

しかし、ある新興企業は、作品をファイル共有ネットワークに流すことで、消費者だけではなく、コンテンツオーナーも潜在的に利益を上げることのできるビデオ配信システムを開発している。たとえば、Hiro MediaやYuMe Networks。これらの企業はビデオコンテンツに広告を動的にフィードする広告ネットワークを構築している。これらの企業が目指すところは、これまでハリウッドを苦しませ続けた、オンラインでの熱心な、そして違法なビデオファイルのコピー活動を、消費者もコンテンツプロバイダも気兼ねすることのない収益獲得コマースに変えることである。

このような目的を実現するにあたっては「人々はオンラインのビデオに対して代金を支払わされることを望んではいない」という仮定からスタートしている。個人的には、このような考えには非常に賛同できる。もちろん、人々は絶対に見たいものに対しては、お金を支払ってでも見ようと思うだろう。ただ、それなりに見たいものに対しても、どんどんお金を費やすだろうか?あなたがWebやテレビで視聴しているコンテンツの大半はお金を払ってまで見たい、というものではないだろう。でも、それを見たいかと問われれば「見れれば」見たいと答えるだろう。簡単に言えば、デマンドがあるのだからどのような方法を用いてコンテンツを提供してもユーザは利用してくれる、なんてことはないということ。映画1つをとってみても、映画館でなければ駄目な人も、DVDを購入したいという人も、レンタルで済ませちゃうという人も、テレビで放送していれば見るという人もいる。1つの対象に対するデマンドであっても、そのアプローチは複数あってよい、あったほうがいい、ということ。

イスラエルの新興企業Hiro Media、シリコンバレーからの支援を受けたベンチャーYuMe Networksは、ダウンロード済みのビデオファイルにターゲット化されたインタラクティブ広告を動的に挿入する。その方法としては、まず、メジャーなファイル共有ネットワークに「許諾を得た」テレビ番組のエピソードを供給する。そのエピソードを探している人々は、許諾を得たコンテンツを見つけ、ダウンロードする。その後、そのビデオを再生すると、全てのエピソードを見るためには、Hiroのソフトウェアをダウンロードするよう流すメッセージが画面上に表示される。ソフトウェアをインストールする際、ユーザは彼ら自身について、彼らの興味について、いくつか質問をされる。その後、ソフトウェアは、エピソードを視聴中にカスタマイズされた広告一式をダウンロードする。ビデオの他の部分とは異なり、広告の部分はデジタルロックで保護されているため、広告を早送りすることも、削除することもできない。広告が再生されると、ソフトウェアは視聴された場所、時間、その他、視聴者ののデモグラフィックな情報のレポートがHiroに返され、その情報は広告主にフィードバックされる。エピソードが再び同じコンピュータで再生されることになれば、Hiroは再び新しい広告をダウンロードする。エピソードがファイル共有を介してオンラインに広まっても、それぞれの視聴者は、それぞれに新しい、カスタマイズされた広告のセットを受け取ることになる。

もちろん、このような配布はファイル共有ネットワークに限らず、アップローダであれ、Webサイトであれ、ユーザの手元に届けるための手段であれば、何だってよいだろう。そして、見る人は誰でもよいのである(それぞれにクライアントをインストールしていなければならないのだろうが)。ただ、このような手法に問題がないかと問われれば、若干の問題を抱えていることも事実だろう。一部のマルウェアは、「コンテンツをすべて視聴するためには、このソフトウェアをインストールしてください」というメッセージが付与された不完全なコンテンツを放流し、それによってソフトウェアに仕込まれているマルウェアをユーザのPCに埋め込もうとしている。そうした悪意あるツールとの区別をつける、ということはなかなか難しいことかもしれない(YuMeやHiroの名を騙る詐欺師たちも現れるかもしれない)。

HiroとYuMeは、視聴者の居住地、デモグラフィクス、過去にダウンロードされたビデオなどに基づく、パーソナライズされた広告やさまざまなピッチ広告を提示するための複数の方法を開発している。彼らのアプローチは、全ての視聴者に同じピッチ広告を提示するという従来の放送や埋め込み型の広告技術に勝る、複数のアドバンテージを提供する。最も重要な点は、広告がHiroやYuMeによって動的に配信されるということ。これらの広告は、視聴者にとってタイムリーであり、かつ自身の関連している広告である、という単純な理由で、視聴者から無視されたり、視聴者をイラつかせたりということを少なくしてくれるだろう。「事実は、広告があなたに関係していたらあなたはそれを見る、ということです。」とビデオゲーム向けサーチエンジンを提供する米国Wazapの代表Kozikはいう。それが意味することは、広告主からのより高いレートでの広告費の支払いである。ユーザに益をもたらすのであれば(少なくともネガティブな反応をさせないならば)、それは広告主にとっての益ともなるだろう。

時間と場所によって広告をカスタマイズする能力は、ファイル共有ネットワークの商業的な潜在的可能性を誘発するために非常に重要である。そしてそのファイル共有ネットワークは、世界規模でのビデオ配信をローコスにしてくれる。ただ、問題はコントローラビリティがわずかしかないということである。その点に関しては、HiroとYuMeが提供するツールは、広告主の求めるコントローラビリティを保持したままであり、どこで広告メッセージが提示されたのか、どのような人々に対して提示されたのか、といったフィードバックを返してくれる。その点では、広告主は広告効果等の推測や、実際に想定していた層にどの程度リーチで来ているか、といった情報から、戦略を修正することもできるだろう。

ただ、広告主にフィードバックされる情報が、ユーザのプライバシーへの懸念とぶつかるという可能性もある。もちろん、ユーザにとって、自身のパーソナルな情報を基にするとはいえ、自分に最適な広告を提示されるということは、延々と自分とは無関係の、つまらない広告を垂れ流しにされるよりもよいことかもしれない。ただ、そうした適切な広告が表示されるのは、ユーザの情報があってこそだということを明示し、フェアに情報の提供はその利用を求めていく必要があるだろう。また、そうして収集される情報の利用に関して、どの範囲で用いるのか、についてもあらかじめきちんと説明しておかなければ、それに関する不満がいずれは噴出する可能性もあるだろう。

そういった問題はあるにせよ、HiroやYuMeの提供する動的な広告提示サービスは広告主にとっても、コンテンツプロバイダにとっても、ユーザにとっても、非常に魅力的に感じるかもしれない。ただ、それがすべてにおいてうまくいく、ということでもないだろう。たとえば、これらの配信モデルによって生み出される収益は、新作映画におけるハリウッドスタジオの期待を十分に満たしてくれるというものではないだろうとHiroの共同設立者、Ronny Golanは語っている。むしろこのモデルは、ノーカットのテレビ番組においてうまく機能するだろう、と。それはこれまで長きに渡って広告主が対価を支払ってきたモデルと何ら代わるところはない。つまり、テレビモデルこそ、この延長線上にある、と考えられる(もちろん、今の段階では)。特に映画のように、上映、DVD、レンタル、といった一連の流れからの収益モデルを構築している産業にとっては、大幅な変化によって過度に利益を失いかねないという状況にもなりかねない。となると、既存のビジネスを支えている一連の流れを維持しつつ、新たな展開を見せていくのかなと(やはり、テレビと同様のモデルに代わりはない、ってところなのだろうけれど)。

オンラインでの広告サポートモデルでの配信は、次第にスタジオから受け入れられ始めている。たとえば、メジャーテレビネットワークが今シーズンのテレビシリーズをどれほどオンライン配信しているかを見ればよくわかるだろう。しかし、それらはストリーミングに基づいており、ダウンロードすることはほとんどできない。よく知られたものとしては、News Cor.とNBC Universalの合弁事業Huluであろう。Huluは少数のメジャーWebサイトに、広告の埋め込まれたクリップ、テレビ番組、映画をストリーミングで提供する。その一方で、ユーザは自身のブログやSNSにそれらのビデオへのリンクを張り、サイト内に埋め込むこともできる。

ただ、現在ではNBCのNBC DirectやBBCのiPlayerといったダウンロード可能な無料コンテンツ提供もあり、必ずしも管理のためにはストリーミングでなければならないということはないという流れもある。しかしダウンロード可能であることが、ストリーミングのみの提供に比べ、そのエクスペリエンスが必ずしも劣っているというわけではない、ということに注意が必要だろう。少なくとも、ブラウザ上でコンテンツを視聴することに気軽さを感じる一方で、ダウンロードすることを負担に思う人も少なからずいるだろう。

といっても、エピソード全編のストリーミングは非常にコストがかかる。特に、それが高解像度のストリーミングとなればなおさらであろう。一方で、ユーザにファイルをダウンロードさせ、それをユーザ自身に再配布させることはそれほどコストはかからない。そのことは、HiroとYumeにダウンロード後のメディアに広告を挿入させる技術を開発させた理由でもある(ただし、P2Pストリーミングの技術も開発が進められているし、さらに従来のCDNを介してコンテンツを提供することのコストが下がりつつあるという部分もあるので、一概にストリーミングがコストフルだともいえないのかもしれない)。

HiroやYuMeが求めているのは、これまでファイル共有ネットワークに対して防衛的であったメジャーエンターテインメント企業の戦略を180度シフトさせること。現在、スタジオやレコードレーベルは、オンラインでの本物のファイルの拡散を防ぐために、偽のファイルでネットワークを氾濫させるという手法を用いている。「想像してみてください、偽のファイルではなく、合法的なファイルで埋め尽くされているという状況を。」とGolanは言う。

もちろん、こうした試みはインターネットにおいていかにコンテンツビジネスを成功させるか、という点で、その可能性の1つとして考慮するに値するものだと思う。現在、米国ネットワーク各局が行っているストリーミングによる提供は、1つのソリューションではあるが、コンテンツ配信において確実に成功するという方程式が成り立っているわけでもない。少なくとも、自社のサイト内で公開するだけでは、コンテンツ目的的なユーザ以外は集まってはこないだろう。その一方で、こうしたダウンロード済みのコンテンツに動的に広告を挿入する、という手法を用いることで、どのようなルートを経由してでもユーザの手元に届けばよい、という非常にフレキシブルな配信戦略を考えることができるだろう。もちろん、視聴に当たってユーザに一手間かけることになるのはネックではあるが。ただ、そうしてコンテンツを入手したユーザのコンテンツ視聴行動そのものが広告提示のチャンス、ということも非常に強力な武器となるだろう。

ただ、現在は単にPC上でコンテンツを視聴できればよいという時期を通り過ぎつつあるようにも思える。もちろん、今のところはPCとテレビとはまだ距離を保っているが、その一方でPCとポータブルデバイスとの連携は非常に密接なものとなった。今回のHiroやYuMeの話とは別の話になるが、そうした部分をうまくつくことも、今後は必要となってくるだろう。ビデオポットキャストと同じくらい気軽に、iPodをはじめ他のデバイスで、テレビ番組などのコンテンツを定期的に視聴する、というスタイルもまた、ユーザにとっては非常に魅力的なのではないだろうか。今のところ、そうしたスペースをうまく利用して大成功を収めた、という例はそれほど聞かない。何がネックになっているのかは置いておくとしても、少なくともいずれはそうしたスペースが大きな戦場の1つとなることは間違いない。進出するならお早めに。

Trackback

Trackback URL
http://peer2peer.blog79.fc2.com/tb.php/933-ed92c553

Comment

Comment Form
公開設定

プロフィール
heatwave Author
:heatwave

RSS Jamendo twitter tumblr Creative Commons Attribution 2.1 Japan
ブログ内検索
記事リスト
最新の記事
全記事一覧
他所で書いてるブログ

P2Pとかその辺のお話@はてな

アーカイブ

カテゴリー
最近のコメント
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。