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P2Pデリバリーの更なる効率性を目指して:P4P Working Group、実際のネットワーク実験に着手

Napsterが華やかな脚光を浴びていたころ、peer-to-peerという言葉はそのユーザからは魅力的な言葉として、著作権者や報道からは悪魔の言葉として、用いられてきた節がある。違法ファイル共有ユーザからは、P2Pはどんなファイルでも手に入れることができる魔法のツールと考えられてきたし、コンテンツ産業からは、彼らの財産を蝕む海賊ツールとみなされてきたし、さらに最近ではISPからはネットワークを崩壊させる抑制させるべきツールとみなされているかもしれない。いずれの人々も「P2Pの用途は違法なファイル共有である」という前提があってこそ、そうした考えにいたっているのだと思う。

しかし、時代は変わりPeer-to-Peerは単に海賊のための違法ファイル共有ツールという用途以外でも活用され始めている。たとえば、BitTorrent Inc.は同社ストアでBitTorrentを利用したビデオストアを展開し、さらに広告モデルによるビデオストリーミングを行っている。またJoostも多数のコンテンツプロバイダとの契約を結び、無料で膨大な数のコンテンツの視聴を可能にしている。さらに最近ではBBCのiPlayerが放送から2週間のコンテンツを英国視聴者に対して無料で提供している。また、VoIPのSkypeなどは世界中に膨大な数のユーザを抱えているし、P2Pファイル転送サービスのPandoはコンテンツデリバリーにまでその範囲を広めている。いずれもP2Pパワードなサービスである。そうした状況では、ISPがP2Pトラフィックに頭を悩ませているからといって、単純にそれを抑制・遮断すれば全て解決する、というわけにもいかなくなってくるだろう。

大容量、高解像度のビデオや巨大なサイズのゲーム用パッチなど、現在は以前に比べて、大容量のファイルが扱われるようになり、多くの人々がそれを必要とするようになった。そのような状況が進むにつれて、ますますP2Pの必要性が高まってきている。つまり、望むと望まざるとにかかわらず、生き延びるためには、ISPもコンテンツプロバイダもP2Pとうまくやっていくための方法を見つけなければならない。その中でもISPとP2Pサービスプロバイダとの間で、より効率的な配信を目指した動きがある。以前にも紹介したP4P Working Groupなのだけれども、今回はそれについて再び紹介するよ、というお話。現在、PandoとVerizonによる実際のネットワークを使った実験が行われているようだ。

原典:ZDNet News
原題:Harnessing the power of P2P
著者:Marguerite Reardon
日付:Jan 24, 2008

「P2Pはメインストリームになりつつあります」とは、P2P市場動向のレポートを行っている市場コンサルタントEmerging Media DynamicsのCynthia Brumfield。「テクノロジーは大小の企業から合法的な用途で既に利用されています。それは非常に効率的な配信技術です。しかしそれは管理されなければなりません。それは現在必要とされているものです。」

これが現在の問題点でもあるのだけれど、複数の企業が共同して、そのソリューションを模索している。米国ISPのVerizonとP2P企業のPandoはYale大学の研究者たちとともに、ファイル共有テクノロジーのよりよい利用を求め、P4P Working Group(P4PWG)というDistributed Computing Industry Association (DCIA)の内部ワーキンググループを発足した。現在のところ、AT&TやTelefonica、Cisco Systems、Verisignをはじめ、11社が参加している。

実際にどのような試みが行われているかというと、ISPから加入者の基本的な情報を取得し、そのような情報に基づいたソリューションを開発することで、ISPのネットワークにおけるP2Pトラフィックは現在の60%にまで抑えられ、さらにP2Pダウンロードを3倍にまで高めることができる、という。今月から、VerizonとPandoによる実際のネットワーク上での実験が予定されている。また、AT&TやTelefonicaも同様の実験を計画している。

ISP、特にケーブルプロバイダたちは、以前からP2Pトラフィックがネットワーク全体に与える悪影響について主張し、P2Pトラフィックを帯域制御によって抑制してきた。たとえば、昨年のComcastの一件などもまさにその一例であろう。Comcastによる過度の帯域制御が行われたという主張に対し、FCCは現在調査に乗り出している。また、AT&Tは同社ネットワークを流れる著作権侵害コンテンツのネットワークレベルでのフィルタリングを行う可能性を示唆しているし、Time Warner Cableは、膨大なP2Pトラフィックに対処するためとして従量課金、つまり多く使用したユーザがより多く支払うというシステムのテストを開始するという。

Time WarnerのスポークスマンAlex Dudleyはこう述べる。「P2Pトラフィックは我々のネットワークにとって重大な問題です。しかし、それが他の顧客のサービスの速度低下をひき起こすことで、迷惑をかけること、それこそがもっと重大な問題でしょう。ほんの一部の顧客が帯域の大半を利用しているのであれば、彼らはその分の代金を支払わなければなりません。」

また、P2Pを取り巻く問題としては、上りと下りの非対称性にもある。米国において、ほとんどのISP、特にケーブルプロバイダが加入者にそのようなサービスを提供している。たとえば、Time Warner Cableの高額プランでは、下り10Mbpsに対して、上りは512Kbpsである。また、Verizonは下り15Mbps、上り2Mbpsとこちらも非対称である。たとえ下りが高速であっても、P2Pダウンロードを支えるアップロードが低速であれば、ダウンロード速度はそれほど期待できないだろう。

ただ、こうした問題を抱えているということはお構い無しに、P2Pはその扉は開き続けている。特にビデオコンテンツがオンラインに乗り出してきているのを考えると。P4Pワーキンググループの共同議長でもある、VerizonのDoug Paskoは、以下のように述べている。

従来のクライアントサーバ方式では、非常に高いコストを必要とするようなHDビデオなどのコンテンツを、P2Pが配信可能にしてくれます。また、それはインターネットの利他性を強調するばかりではなく、コストを削減することもできるのです。たとえば、ガレージクリエイターが映画を製作し、それを配信するとしても、大手スタジオと同じ方法でそうすることができます。つまり、P2Pを利用することで、幾分競争を公平なものとすることが助けられるのです。

P2Pの持つ費用対効果の良さは、大手メディア企業、たとえばNews Corp、BBC、NBC Universalがビデオコンテンツ配信にその技術を用いていることからもわかるだろう。また、ビデオ配信における経済性を変えるため、JoostやVuzeといったプレイヤーの市場参入を可能にした。ただ、そういったコストの節約は同様にISPに対してももたらされる。DCIA CEOのMarty Laffertyはこのように述べる。

放送モデルにおいては、たとえ視聴者が1人であれ2000万人であれ、ビデオを届けるためには同じだけの金額が必要となります。しかし、インターネットでは、それぞれのストリームは直接ネットワーク運営者にコストがかかります。P2Pはダウンロードされたものを、再び共有することを許すものです。実際、人々がファイルを望めば望むほど、その配信はより効率的なものとなります。

VerizonのDoug Paskoもまた、このような効率性を主張する1人である。同社のSTBを利用した映画配信においても、効率的な配信のためにP2Pを利用することも検討しているという。ただ、彼は現行のままでも多少の利益をもたらすものだとは考えているものの、より効率を挙げるためには更なる修正が必要であるとも考えているようだ。

現在のP2P技術では、地理的な要因が考慮されているものはほとんどない。それが意味するところは、私が共有しているファイル(やそのピース)が、ともすればブラジルの人を経由してあなたに届くということ。そのような不必要に長い経路ではなく、より短く(短ければよいというものでもないが)かつ効率的な経路を通るほうが、ISPのトラフィックに望ましい結果をもたらすだろう。P4Pでは、そうしたネットワークインテリジェンスをピアリングプロセスに加えることを目指している。つまり、P2Pアプリケーションがより効率的なルートを決定する、ということである。Paskoはこう述べる。

国をまたいだPeerから任意のファイルを手に入れるのではなく、最も近接したPeerにファイルをリクエストするようネットワークを構成するための方法を、P2Pサービスプロバイダが理解することができれば、より多くのネットワークリソースを節約することができるでしょう。ビットを通過させる全てのリンクは、何らかのコストを生じさせます。ですから、もし、同じビットを入手するにしても、台湾やシンガポールの誰かからではなく、地元もFios加入者から手に入れることができれば、国をまたいだ、太平洋を越えたネットワークリソースを消費する必要はないのです。

また、こうした効率性は、ISPだけではなく、より高速なダウンロードが可能となるために、そのユーザやコンテンツプロバイダにとっても望ましい結果をもたらすだろう。

ただ、このようなインテリジェンス・ピアリングシナリオを実現するためには、世界中のネットワーク運営者とP2Pサービスプロバイダとが協力し合わなければならない。歴史的に、ISPやその他のネットワーク運営者は、ネットワーク情報を互いに共有することに対して慎重であった。ましてやP2Pサービスプロバイダのような第三者などはもってのほかである。

しかしPaskoは、共有される情報は、ネットワークトポロジーと顧客に関する一般的な情報にとどまるという。少なくとも、個々の加入者を特定できるような情報が含まれるわけではないため、プライバシーの問題にまでは発展しないだろう。

また、Paskoは今回の実験が、世界中のキャリアに対して、P4Pワーキンググループへの協力を求める説得材料になってほしいと願っているという。現在、Comcast、Time Warner Cable、Cox Communications、Cablevisionといった米国大手のケーブルオペレータもP4Pのオブザーバーとなっており、P4Pに対するサポートが十分なものとなれば、どのようにして情報を共有するかについての標準かも始められるだろう。この点についてPaskoはこう述べている。

キャリアに我々の成果について話し合ったキャリア達は、非常に強い興味を示していました。以前には、P2P問題の解決に関しては誰とも対話したくはない、そう考えられてきたでしょう。でも実のところ、そうではなかったのです。

個人的には、1つ考えるところがあって、このような情報の共有をどこまで許すのだろうということ。現時点では、P4PWGに参加しているP2Pサービスプロバイダは全て商用サービスを提供している企業である(Pando、BitTorrent、Joost、LimeWireなど)。しかし、現実にISPの頭を悩ませているP2Pトラフィックは、これらの企業の活動のためではない。もちろん、将来的な問題を見越して、こうした試みがなされるのは非常に望ましいことではあるが、現在の問題にいかに対処しえるか、という点ではこのままではソリューションとはなりえないかもしれない。

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