スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

欧州連合、ネット配信に向けたBitTorrentクライアント開発に2,200万ドルを提供

Tribler 欧州連合は、複数の大学研究機関および企業からなる「P2P-Next」プロジェクトに対し、2,200万ドルもの資金提供を行い、研究開発をサポートすると発表したよというお話。このP2P技術のコアとなるのは、オランダ デルフト工科大学が開発を進めてきたTribler。Triblerチームは昨年より、欧州放送連合や放送局に対して、Triblerの技術を売り込んでおり、それが実ったというところだろう。TriblerがソーシャルBitTorrentクライアントとしての側面だけではなく、その転送アルゴリズムとして、セントラルサーバに頼らない「分散評価システム」を構築することで、ネットワーク全体のパフォーマンスを安定させるという試みでも注目されていた。

原典:TorrentFreak
原題:EU Invests $22 Million in Next-Generation BitTorrent Client
著者:Ernesto
日付:February 20, 2008

数週間前、EU緑の党が「I Wouldn't Steal」という親ファイル共有キャンペーンをローンしたことをレポートした。P2Pテクノロジーの開発を支持する継続的な取り組みにおいて、欧州連合は現在、2,200万ドルをオープンソースBitTorrentクライアントの開発に投資した。

ソーシャルBitTorrentクライアントTriblerチームは、P2P-Nextと呼ばれるプロジェクトでコアP2Pプロジェクトに関わっている。プロジェクトは、欧州連合から2,200万ドル(1,500万ユーロ)を、パートナー企業から600万ドル(400万ユーロ)の提供を受けている。

このプロジェクトに参加するビッグネームの1つにBBCがある。BBCは、TV番組のストリーミングに新しいBitTorrentクライアントを利用しようとしている。また、P2P-Nextプロジェクトの他のパートナーには、European Broadcasting Union、ランカスター大学、Markenfiilm、Pioneer Digital Design Centre Limited、VTT Technical Research Centre of Finlandが含まれる。主な目的としては、ライブストリーミングをサポートするBitTorrent互換クライアントを開発することとなる。

現在、任意のいかなる時点においても、BitTorrentを利用するユーザのほぼ50%が、テレビ番組をダウンロードしている。現在、このプロジェクトは、放送局がこのオンライン視聴者にリーチするよりよい方法を見出し、高品質なオンデマンドテレビを提供するのを助けるものである。

「英国およびドイツ公共放送局との提携は、P2Pが定着していることを示しています。欧州連合がP2Pに関するこの提案を評価してくれたことを歓迎します。これが意味するところは、欧州がこの重要な領域において、およそ2年は先導的なポジションにいられるということです。」とTriblerのJohan PouwelseはTorrentFreakに語ってくれた。

「Triblerは、いくつかの世界初のイノベーションのテスト基盤として用いられます。それはP2P研究のための活発な研究室となるでしょう。私たちの取り組みに重要なことは、学術的に純粋なアーキテクチャです。つまり、Triblerは、BitTorrentとの後方互換性を維持しつつ、セントラルサーバが存在しない、ということです。」とPouwelseは加える。

Triblerチームは、プロジェクトの一環として、ハーバードの研究者たちとともに、彼らのBitTorrent蔵案とに対し「ノーベル賞を受賞した」メカニズムデザインを実装した。究極的な目標は、share ratio(共有比) による制限をかけることなく、可能な限り人々に共有させ、ユーザに利用可能なコンテンツをモデレートさせることにある。

BitTorrentサイトはこのP2P-Nextプロジェクトに強い関心を示しており、いくつかのサイトは、この新たな技術を持ちいた実験を行うことに興味を持っているかもしれない。我々はJohan Pouwelseに、BitTorrentサイトと協力し合う可能性はあるかどうかを尋ねてみた。彼は「私たちは、既存の放送局と、コンテンツ配信市場への新たな参入者のためのツールを作成しているのですよ。」と答えてくれた。

我々はこの答えを「Yes」と捉えるけれどね。

ついにTriblerが欧州連合や欧州放送連合、BBCその他の企業からのバックアップを得ることに。そのメンバーを見ても欧州全体にわたっている。それだけ、このプロジェクトに対する感心が強いということなのだろう。

TorrentFreakも述べているように、TriblerチームはそのBitTorrentクライアントにメカニズムデザインを実装し、セントラルサーバに頼らない「分散評価システム」を構築し、ネットワーク全体のパフォーマンスを維持しようとしている。簡単に言えば、よりたくさん、より高速にアップロードしたユーザが、よりたくさん、より高速にダウンロード可能となるというもの。

BitTorrentにはtit-for-tat(お返し)アルゴリズムがあるじゃない?と思われるかもしれないが、それは1つのTorrentでのこと。たとえば、あるSwarmでファイルをダウンロードしていたとする。その際、より高速にアップロードしている人ほど、より高速にダウンロードすることができる(これはフリーライドを回避するためではなく、転送の効率を高めるためでもあるけれど)。ただ、これはそのSwarmでの話で、ひとたびダウンロードが終了してしまえば、共有比が低かろうが高かろうが、ユーザにとってそれほど意味はない。Seedしたいかしたくないかだけ、となる。現状では、その状況でSeedを続けるとしても、それに対する見返りはない。

さらに問題となるのは、現状では大半のユーザが上下非対称の回線を使用しているということ。通常はダウンロードが速く、アップロードはその数分の1程度である。そのような状況では、大半のユーザがダウンロードを完了したときには、共有比が1.0を超えることはほとんどない。つまり、ダウンロードが終了してすぐアップロードを停止してしまえば、ますます転送の品質が低下する、ということ。

多くのプライベートトラッカーが一定の共有比を維持するようユーザに制限をかけているのは(たとえば、共有比1.5以上とか。つまり、ダウンロードした分の1.5倍をダウンロードしているという状態をキープすることを求められる)、そうした品質の低下を防ぐためのもの。ただ、プライベートトラッカーの場合、そうした情報はセントラルサーバに保持され、それによってユーザアクティビティを管理するのだけれども、Triblerチームはセントラルサーバを必要としない「分散評価システム」によって実現しようとしている、と。これによって、ダウンロードが終了したファイルであっても、アップロードを継続するというインセンティブが生まれることになる。彼らはこれを"Give-to-Get"アルゴリズムと名づけている。

ただ、こうした帯域をかなり消費するような話であるにもかかわらず、ISPなどネットワーク側の参加者がいないことが少し残念だったりもする。米国ではP4P Working Groupなどで、P2PサービスプロバイダとISPとの間で、より効率的な帯域の利用を模索しているという動きもあり、よりよいコンテンツ配信を考える上では避けることのできない部分でもあるだろう。特に、Triblerがこうした仕組みを模索しているのも、HDコンテンツの配信のためという側面もあり、ISPにとっては懸念の対象となることは間違いないだろう。

さて、Triblerはこうした効率的かつ安定的なコンテンツ配信にも力を注ぐ一方で、そのソーシャル機能もフィーチャーしている。もともと、Triblerチームはそのクライアントを、「ソーシャルBitTorrentクライアント」と位置づけており、ユーザがコンテンツに接触する機会をどのように提供するのか、という点でもプロジェクト参加メンバーたちは期待しているのかもしれない。

また、InternetWatchによると、その他実装される機能としては、

1年以内にRSSフィードのP2Pバージョンといえる「Live Playlist」、Wikiに似たモデレーション機能、スパム対策のためのレピュテーションシステム、ファイルの共有比率強制機能などが公開される予定

であるという。SPAM対策というのは、Triblerがソーシャルな側面を強化しているためでもあるのだろう。

EUのこうした取り組みというのは、非常に評価できる。EUのUnit of Network Media長のLuis Rodriguez-RoselloはこのP2P-Nextプロジェクトに関して、このように述べている。

「この野心的なプロジェクトは、P2Pパラダイムを使ってビデオを配信する新しい方法を模索しており、誰もが、どこからでも、世界中のどれだけの人に対し ても、ビデオ配信できることを可能にしたいと考えている。これは、我々が描いている未来のメディアインターネットの実地試験といえる」

インターネットには国境がないといわれることもあるが、実際にはこうしたコンテンツの提供に関しては数多くの国境が存在する。やむ終えない部分もあるのだろうが、それによって市場拡大のチャンスを失っているのであれば、残念なことだと思う。EUという共同体であればこそ、早期にこうしたアプローチに取り掛かれるのかもしれないね。

Trackback

[回線]EUがTorrentアプリに30億出す件から考える
EU、次世代BitTorrentクライアントのために30億円を投資 - GIGAZINE うーん桁が違う。。 #どこにそんなにお金かかるんだろう?設備投資とか? ただ、こうした帯域をかなり消費するような話であるにもかかわらず、ISPなどネットワーク側の参加者がいないことが少し残念だっ
2008.02.22 03:56 | takumalog
Trackback URL
http://peer2peer.blog79.fc2.com/tb.php/955-3e60b45f

Comment

Comment Form
公開設定

プロフィール
heatwave Author
:heatwave

RSS Jamendo twitter tumblr Creative Commons Attribution 2.1 Japan
ブログ内検索
記事リスト
最新の記事
全記事一覧
他所で書いてるブログ

P2Pとかその辺のお話@はてな

アーカイブ

カテゴリー
最近のコメント
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。