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Trent Reznor:Radioheadのやり方は不誠実だ

先日、4枚組みのアルバム『Ghosts』を複数形態でリリースしたNine Inch NailsフロントマンのTrent Reznorが吼えているというお話。ReznorはRadioheadの手法を不誠実であると主張する。Radioheadの音楽配信は、低音質のMP3のみの配布であり、アルバムとして必要なアートワークなどが省略されているとして、ファンのことを考えていないやり方だと批判している。

原典:Ars Technica
原題:Reznor: Radiohead offering was insincere, industry is inept
著者:David Chartier
日付:March 13, 2008

メジャーなミュージシャンたちは、ファンと直接にインタラクションするためのマーケットの潜在的可能性について模索し、インディペンデントに音楽をリリースしている。Nine Inch NailsとRadioheadは最近、それぞれのインターネットベースでのリリース実験によってヘッドラインをにぎわせたが、NINのフロントマンであるTrent Reznorは、Radioheadのやり方を「不誠実である」と述べている。

「次につなげるというマーケティングギミックとしては、Radioheadの手法は確かに賢明だったと思う。」とReznorは、Australian Broadcasting CorporationのMichael Atkinとの対話の中で述べている。「しかし、彼らが何をしたのか、ということをよくよく考えると、全く旧時代のレコードセールスをプロモートする方法として、MySpaceクオリティのストリームにお金を払わせるという、おとり販売としか思えない。」

Reznorは、Radioheadがリリースした『In Rainbows』は劣化した160kbps(最大)のMP3ダウンロードであり、AmazonやiTunesにて提供されているDRMフリーの楽曲と比較すると(どちらもDRMフリーは256kpbsにて提供されている)、標準以下であると言われている、と述べている。さらに、Radioheadのアルバムは、もはやデジタルダウンロードでは提供されておらず、彼らが公然と述べているように、今後のIn Rainbowsセールスは、依然として既存のレーベル、流通チャネルに依存するだろうという。

「それを間違っているといいたいわけじゃない」。Reznorは続ける。「しかし、言われているほど大きな革命だとも思えない」。さらに、NINのフロントマンは、RadioheadのMP3の品質に加えて、アートワークやその他のものが省略されており、ファンのことを考えていないと批判する。「個人的には、不誠実に思えるね。結局それはいわゆる『初の』という事実に頼ったもので、それゆえにヘッドラインを得たんだろう。」

インディペンデントに、DRMフリーの音楽を配信するという新たな変化は、フロンティアへの第一歩である。そしてこれら両バンドはその一歩に異なるアプローチで挑んでいる。Nine Inch Nailsは完全にレーベルとの関係を絶った、初のメジャーアーティストとなった。彼らはファンとの対話、デジタル配信という点で新たな領域に飛び込んだといえる。一方でRadioheadは依然として明らかにレーベルに依存しており、今となって考えると、Radioheadの『In Rainbows』の実験は、Nine Inch Nailsの大胆な冒険と比較するとつま先をつけた程度なのかもしれない。

では、両バンドの実験は成功したのだろうか。それは疑いないだろう。Radioheadは"pay if you want"実験の詳細な数字を 明かしてはいないが、フロントマンのThom Yorkeは、「デジタルセールスでいえば、これまでのRadioheadのアルバム全てをあわせたものよりも、このアルバムは利益を上げているよ。」と述べている。

一方でNine Inch Nailsは、3月12日のChicago Tribuneに、Webサイト上での"Ghosts"の処理は781,917回あり(訳注:フリーダウンロード、ペイを含めて)、1週間だけで160万ドルのセールスとなったことを明かしている。実質的にはゼロマーケティングであり、インストアルバムであることを考えると、悪くない結果である。制限されたデジタルダウンロードを提供し、その後にCD販売にスイッチしたRadioheadとは異なり、Nine Inch Nailsははじめから複数のフォーマット-ロスレスダウンロード、光学ディスク、更にはビニール盤までを含む-を提供している。また、Reznorはデジタルダウンロードを停止するそぶりを見せるわけでもない。

Atkinが、レーベルがこの「Ghosts」の成功から学んでくれるか、と問いかけたとき、Reznorの反応は冷ややかなものであった。「俺がメジャーレーベルで見てきた愚かしさの程度は、想像を絶するものだったよ。デジタルテクノロジー、ビジネスを衰退させている部分を担当する多くの人々は、インターネットなんて考えてすらいないんだ。」

確かにその点では、オンラインディストリビューションスペースに入り込む多くのベンチャーは、消費者の支持を得たよいものだといえる。しかし、ReznorはRadioheadがそれほど成功してはいない、というかもしれない。「Ghosts」で見せた創造的なプロセスや配信方法の両方をコントロールすることによって、それから多種多様なフォーマット、"try before you buy"のフリーサンプルを提供することによって、Nine Inch Nailsは、この後に続く人々にとってハードルを高めるような良質なエクスペリエンスを生み出したといえる。

なかなか難しい話・・・。確かに今回のNINの手法と比べると、Radioheadのやり方はそれほど良心的ではないかもしれない。ただ、現状を考えるとそれほど悪くはないとは思える。

Trent Reznorがこのように思えるのも、彼がOiNKなどのBitTorrentサイトを利用し、彼自身がユーザとして望むところがある、そして他のユーザが何を望んでいるのかを知っているからこそ、こういった意見が出てくるのかなと思う。だからこそ、『Ghosts』のリリースに当たってはさまざまな葛藤があったのだと思う。熱狂的なファンからカジュアルなリスナーに至るまで、さまざまな層のファンを満足させつつ、アーティストがサポートを受けるというモデルを生み出す、それを実現するための試みでもあった『Ghosts』のリリースだったからこそ、安易にRadioheadモデルとされたことに対して、注目すべきはそこじゃないんだ、という主張なのだろう。まぁ、さまざまな葛藤の中生み出した『Ghosts』を二番煎じのように扱われることがたまらなく悔しいというところもあるのかもしれないが。

ただ、Reznorスタイルであれ、Radioheadスタイルであれ、リスナーに受け入れられるものであれば、それでよいのではないかと思うところもある。もちろん、Arsが指摘するように、この『Ghosts』のリリースは、後に続く人たちのハードルを高めるものであるのかもしれないが、NINのように巨大なファンベースを持ち、熱狂的なファンが多いアーティストと、中堅クラスのアーティストとでは、こうしたモデルの当てはまりは異なるだろう。それぞれの事情を加味したモデルを作り出す必要があるだろうし、少なくともリスナーはそうした限界を超えてまで厳しい評価を下すとも考えにくい。少なくとも、現状のサービスとの対比として、さまざまな手法を評価するんじゃないのかな。

個人的には、中堅クラスのアーティストにとっては、依然として既存のレーベル、ディストリビューターのサポートが必要だと思っている。確かに、RadioheadやNINの配信は新たな時代を感じさせるものではあるが、やはりそれは一部のアーティストの限定されるモデルであるとも思える。それゆえ、中堅どころのアーティストが新たな時代に対応するためには、やはりレーベル、ディストリビューターとの関係の中でモデルが構築されるより他ないのではないか、と感じている。

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