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ドイツ連邦憲法裁判所:ファイル共有ユーザの身元開示を認めない方針

これまでドイツにおいて問題視されてきたファイル共有ユーザへの追及手法が、ドイツ連邦憲法裁判所によっても否定されたよ、というお話。ドイツでは被告の身元が不詳のまま民事訴訟を起こすことはできなかったため、著作権団体はファイル共有ユーザを著作権侵害の容疑で訴え、刑事訴訟手続きの中で得られる個人情報を元に民事訴訟に踏み切るという戦略を用いてきた。しかし、その数が膨大なものとなったことで、非常に多くの問題を生み出してしまった。それが今回の判決に繋がっているのだろう。

原典:TorrentFreak
原題:German Court Decision Hands Big Win to File-Sharers
著者:enigmax
日付:March 20, 2008

ドイツ連邦憲法裁判所は、ファイル共有ユーザの身元はプライベートな情報であり、そのユーザを著作権侵害で訴えるメディア企業にもはや開示することはできないとした。今後は、殺人、児童ポルノ、誘拐などの『重』犯罪の被告人に関してのみ、開示されることになるという。

ドイツは一部非常に厳しい著作権法を保持しており、20,000人にも上るドイツのファイル共有ユーザの個人情報がエンターテインメントおよびメディア企業に開示され、それによって彼らが法的措置の可能性に直面している。

ドイツでファイル共有ユーザを弁護するChristian Solmeckeによると、そのシステムはこのように働いているという。「Logistepやその他P2P調査企業によって提供されるデータに基づいて、侵害が報告されます。ドイツでは著作権侵害は刑事犯であるため、検察が調査しなければなりません。」

このことは、著作権侵害の容疑がかけられたファイル共有ユーザの個人情報をISPに開示するよう強制する。そうして彼らは支払うか、-もしくは別の道かという脅威にさらされる。

しかし、これはもはやうまくはいかない。

ドイツ連邦憲法裁判所は、これについて判断を下した。それはファイル共有ユーザにとって画期的な勝利である。これによって、個人のデータと通信と保護する新たなプライバシーのレベルが定められ、ファイル共有ユーザにとって幸運なことに、そのプライバシーのレベルは強化された。

もはや、メディア企業がISPに対し、著作権侵害を疑われている加入者の個人情報を開示するよう強制することはできなくなるだろう。これは間違いなく、ISPにとっても有り難いことだろう。結局のところ、ISPにとって最大の顧客についてのことであるのだから。

少なくとも、ドイツはいわゆる「3ストライクアウト」スキームからは外れるということになった。今後は、テロリズム、殺人、児童ポルノ、誘拐といった『重』犯罪に対処する場合にのみ、IPアドレスから個人情報を得ることが可能となる。

ドイツの法学部生はこう述べる。「現在、ファイル共有ユーザを捕まえうる現実的な方法を想像することはできません。ロビー団体がファイル共有を『重犯罪』としようとすることは考えられる可能性ではありますが、そのためには多くの運を必要とすることになるでしょう。ドイツの刑事司法制度は過度に拡大されすぎています。それによって、人々が振り回されているのです。それは検察官や裁判官も同様で、乱発されるファイル共有事件に時間をとられウンザリしていたことでしょう。それは明らかに刑法の感覚とはかけ離れたものであったのですから。ファイル共有ユーザを刑務所に押し込むことに、公共の利益は単純に存在していないということでしょう。」

この判決は6ヶ月の間、支持され、その後最終的な決定が下される。法律関係のコメンテーターは、憲法裁判所がこの問題に関して、決定を変えることはなさそうだということはイッチしている。

プライバシーの問題は、ファイル共有界隈のホットな話題となっている。ちょうど今週、アンチパイラシー企業Logistepが、イタリアのファイル共有ユーザを違法にスパイしていたと批判されている。

冒頭、および記事内でも触れられているが、ドイツにおいて著作権侵害は日本同様に刑事罰の対象となる。それゆえに、著作権侵害ユーザを刑事訴訟によって罰すること自体には問題はなかったのだが、それによる負担があまりにも大きかったために、このような問題となってしまったという経緯がある。

これまでドイツ著作権団体のとってきたアンチパイラシー訴訟戦略は、非常に回りくどいものであった。ドイツでは民事訴訟を氏名不詳のまま行うことができないため、ISPに対して情報開示請求を行う必要があった。もちろん、ISPもおいそれとはそれに従えるわけもないので、裁判で争うことになる。裁判所が氏名開示をISPに命じれば、著作権団体はそれを元にユーザ個人を特定し、裁判を起こすことができる。

しかし、これとは別の手順によっても、ユーザを特定する方法が存在する。それはドイツ著作権法において著作権侵害に対する刑事罰が存在することを利用したもので、まず、警察に著作権侵害の被害を訴え、捜査させる。その過程でユーザは特定されるのだが、著作権団体はそれを元にユーザを民事で訴えることが可能となる。この手法が、著作権団体に都合が良いのは、ユーザを特定するために必要なコストを警察/検察に任せることが可能となるということ。

これが問題となったのは、そのためのコストが膨大なものであったということにある。捜査の過程で、当該ユーザを特定するためにはISPに照会を依頼することになるのだが、その照会のためにISPに対し1件につき35-40ユーロの支払いが必要であった。しかし、著作権団体からの告訴は数万件にも上り、そのための時間的コスト、金銭的コストは膨大なものとなった。

そうした事情もあり、著作権団体による民事訴訟のための刑事告訴の乱発は当然問題視されることとなった。捜査当局は、よりプライオリティの高いものに注力するためとして、数多くの訴訟を取り下げはじめ、オッフェンブルグ法廷は、単にP2Pユーザがライツホルダーの許諾なく数曲のMP3を共有していたというだけでは、捜査官がそのユーザの個人名を提出するようISPに命ずることはできないという判決を下した。さらにドイツ法務相Zypriesは、ISPがデータ保持法に基づいて保持する接続情報は、重犯罪に対処するためのものであり、音楽産業が民事訴訟において利用する類のものではない、と述べている

と、このような経緯を経て、連邦憲法裁判所によってこの手法を完全に否定されてしまったと。もちろん、プライバシーを配慮し、このような手法を否定するというのは理解できるのだけれども、その一方でWeb上で行われた著作権侵害に対して著作権者がどのように対処しえるのか、という部分を明確にする必要もあるだろう。プライバシーを盾に犯罪行為を見逃すというのも、社会にとって不健全な状態である。

ただ、ソースが明示されていないためどういった判断であったかはわからないけれども、この報道が事実だとしても、こうした状況を招いたというのは、コンテンツ産業の戦略ミス以外の何者でもないんじゃないかなと思うところもある。厳しい言い方だけど身から出た錆というところだろうか。少なくとも、プライバシーの侵害以外の部分でも多くの問題を引き起こすような戦略をとり続けてきたことが、結果的にこのような結果に終わってしまったのではないかと。

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