2008.03.28 Fri
Comcast、態度を一転:BitTorrent Inc.と手を組みネット中立性を約束
BitTorrentプロトコルに対する過剰な帯域制御を行っていたとして批判の的になっていたComcastが、BitTorrent Inc.と共にリッチメディアコンテンツ、ネットワークキャパシティ管理の課題に対処していく、というアナウンスを行っているよというお話。これまでの構図では敵対関係にある2社が協同してP2Pトラフィックへの対処を行っていく、というのはなかなか望ましいことでもある。ただ、Comcastとしては、これ以上FCCに介入されたくない、というところもあり、必ずしも完全に前向きな握手というわけではなさそうでもある。それでもP4PWGの実証実験がうまくいったこともあり、この取り組みも一定の成果を上げてくれるといいなぁと期待している。
原典:TorrentFreak
原題:Comcast Teams Up With BitTorrent and Promises Net Neutrality
著者:Ernesto
日付:March 27, 2008
Comcastは、BitTorrent転送をターゲットとすることをやめ、同社ネットワークキャパシティに投資する(訳注:ことでキャパシティの問題を軽減させる)と発表した。しばらくの間、同社は最も多くの帯域を消費するユーザを制限するという。もちろん、全てのBitTorrentユーザがこの制限にかかるわけではなくなる。
最高技術責任者のTony Warnerは、以下のように述べている。「特定のアプリケーション−たとえばファイル共有ソフトウェアやBitTorentのような企業のもの−によるトラフィックを抑制するのではなく、Comcastはそのようなユーザのうち最も帯域を消費するユーザのトラフィックを抑制することになるでしょう。」
以前、Comcastは多くの注目を集めることなく、密かに加入者のBitTorrentアクティビティを疎題することを望んでいただろう。しかし、彼らには残念なことだが、このような行動は明るみに出ることになる。昨年8月、我々は同ISPが実際の加入者のインターネット接続に干渉しているというニュースをお伝えした。
Comcastの行動は、「適切な」ネットワークマネジメント実行とは何か、ということについて議論を巻き起こし、最終的には先月行われたFCCの公聴会にまで至ることとなった。
現在、ようやくComcastは物事を理解し、結局はインターネットゲートウェイとしての機能を強化するために投資することを選んだ。BitTorrent Inc.は本日、彼らのソフトウェアを最適化するためにISPとともに取り組むことを発表した。これによってネットワークにかかるコストをより提言することが可能となるだろう。
BitTorrent Inc.社長Ashwin NavinはTorrent Freakにこう述べる。「我々は、Comcastが同社ネットワーク上のアップロードキャパシティを増大させ、BitTorrentクライアントに対するTCPリセットを行わないとしたことを喜ばしく思っています。いかにして膨大なP2PトラフィックをISPがより効率的に裁くことができるのかをともにテストし、我々の研究結果をISPやアプリケーション開発者たちをシェアしようと考えています。これは、インターネットコミュニティ全体としての勝利なのです。」
しかし、依然としてComcastはヘビーユーザを制限し続けることになる。しかしその彼らは、実際に彼らの交わした契約によって約束された帯域を利用するだけである。Comcastやその他ISPは、長らく提供を続けてきたall-you-can-eat(食べ放題)プランから距離を置くことも可能性としては考えられる。現状は人々が実際に契約した分の帯域を使い始めたのだから。「インターネットコミュニティ全体としての勝利」なんてまた、Ashwin Navinらしいくさいことをいったりしている。Comcastが折れたわけではない、みんなが勝者なんだー!という。そういうやり方は嫌いじゃないけどね。
ただ、この提携に関しては、当初は中身がない、なんて指摘もあって、それもそのはず、Comcastにしてみれば何とかしてFCCの追及をかわしたい、という思惑があるわけで、そうした中でのこのアナウンス、そしてその中身がよくわからない、というのだから、やはり疑いのまなざしが向けられても仕方のないところだろう。ただ、その後は詳細も報じられていたりするんだけどね。
それでも、Comcastが政府によるこれ以上の介入を嫌っていた、というのは疑いようもない。プレスリリースでは(太字は引用者)
Both BitTorrent and Comcast expressed the view that these technical issues can be worked out through private business discussions without the need for government intervention.
なんて記述があったり、ちょっとあからさまなところもある。ただ、さすがにここまで大事になってしまうと、Comcastとしても早く鎮火したい、という思惑もあっただろう。ユーザからの告訴や、P4PWGの実証実験によるポジティブな結果、Vuzeからの突き上げなど、逆風は強くなるばかりで、一向に弱まることもなかった。個人的にはこの提携はフェイクではないと思っているけれど、それでもこうした状況によって後押しされたのだろうなぁとは感じている。P4P実証実験の結果がポジティブだったことも、逆風というだけではなくて、Comcast自身、その効果を検討したという部分もあるだろうし。
共にP4PWGに参加する企業ということもあって(BitTorrent Inc.はコアメンバー、Comcastはオブザーバー)、実際に協同してより効果的なトラフィックコントロールが行われればよいなぁとは思う。そこまで期待するのもアレではあるけれども、とりあえずのところ、現状では、ここに書かれているようにプロトコル差別的な帯域制御を行わない、プロトコルに関わらずヘビーユーザのみを抑制する、ということになれば、よいのだけれどもね。
なお、paidContent.orgのアップデートによると、今回の取り決めはこのようになっているとのこと。
- ネットワークマネジメントにおいては、プロトコルを差別的に扱わず、その内容を加入者に明示する。そしてコネクションリセットを行わない。
- ネットワークアーキテクチャは、メディアデリバリー向けに最適化される
a. Comcastは全体的なキャパシティ、特にアップストリームトラフィックを強化する(P2Pの効果を増す)
b. BitTorrentは、ISPネットワークに最適化された新たなクライアント機能を開発する(たとえば、キャッシュディスカバリープロトコル)
c. Comcast/BitTorrentは、 ユーザの利益のために、あらなたネットワークアーキテクチャーを協同して研究する(Comcastネットワークのサーバは、ファイル転送を抑制するのではなく、加速させるようにする)
- 開放性:我々は、他のISPやアプリケーション開発者に向けて、オープンフォーラム上で我々の研究結果およびその最適化方法を公開する。[・・・]そこには我々にオープンソースBitTorrent実装も含まれる。
2.b.が気になるところではある。P4Pの実証実験と同じようなことをするのだろうか。ふと思ったのだけれども、この技術がuTorrentにも実装される、なんてことはあるんでしょうか。そしたら、海賊BitTorrentトラフィックの抑制も可能になる?
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Re: Comcast、態度を一転:BitTorrent Inc.と手を組みネット中立性を約束
P4P WGの実験って、スライド "P4P: ISPs and P2P" を見る限り、ISP・キャリア (Verison と Telefonica) のトポロジ情報 (を基にしたデータ) を使ったシミュレーションみたいですよ。なので、実証、というのとはちょっと違うと思ってます。
もっとも、11月に使われたとおぼしき別のスライドには、Liveswarms (BitTorrentベースのストリーミングソフト) を使った PlanetLab 上の実験結果も載ってます。ただ、こちらの実験は詳細不明です。どういうトポロジ情報をつっこんだのか、などはわかりません。
| shudo | 2008/03/30 05:13 | URL | ≫ EDIT